シンガポール政府系テレビ局 元BBCジャーナリストの人種差別をめぐる発言に反論

シンガポールの政府系テレビ局メディアコープは8月11日、英公共放送BBCのインド系シンガポール人元ジャーナリスト、シャランジット・レイルさんが、「メディアコープの編集者の1人が“視聴者は肌の色が濃い司会者を見たいとは思っていない”と主張した」と語った問題をめぐり、「具体的な詳細が示されていない事柄については、コメントできない」とする声明を発表しました

シャランジットさんの発言は8月に、BBCの海外向け国際放送BBCワールド・サービスのラジオ番組がシンガポールにおける民族調和に関し、取り上げたコーナーで放送されたものです。

シャランジットさんは番組内で、自身が20年ほど前に、カナダの大学で修士号を取得し、同国で放送ジャーナリストとしての経験を積んで、シンガポールに帰国した後、シンガポール国内の放送局の採用試験に臨んだ際の苦労にも触れ、「中華系に生まれていたら、私の人生はずっと楽だっただろう」と述べました。

一方、メディアコープは、シャランジットさんの発言を受け、「当社は採用に際し、能力に基づき、平等な機会と多様性を保証するようコミットしている」と主張。

同社のニュース専門チャンネルCNAでは、レポーター、プロデューサー、編集者などニュースの制作現場で働くスタッフの40%を少数派民族が占め、国全体の民族構成の比率を大きく上回っているとするデータも提示しました。

また、シャランジットさんがコメントの中で言及した司会者とみられるメディアコープのウォルター・フェルナンデス編集長は、「シャランジットさんとは、2018年11月にメディア業界の夕食会で同席し、言葉を交わしたが、覚えている限り、私は民族や肌の色については一切語っていない」と述べています。

多様な民族が暮らすシンガポールでは、民族をめぐる問題が社会のさまざまな場面で生じうるようです。



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SingaLife編集部

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