シンガポールで更年期障害にお悩みの方必見!ニホンプレミアムクリニック 〜「女性の健康」お悩み解決!特集~

お悩み相談

Eさんは48歳、半年前に中学生のお子さんとご主人とシンガポールにきました。更年期障害かしらと心配のようです。

“最近疲れやすいし、肩こりがひどいんです。そういえば些細なことでイライラしたりして自分が嫌になってしまうこともあります。それに、急に大量の汗をかくこともあるんです。これは更年期障害というものかと思うのですが、実際どうしていいものかわからずこまっています。”

漠然と更年期障害というのは知っていても実際はどういうものなのかよくわからないでいることも多いと思います。今回はニホンプレミアムクリニック婦人科の洲河 美貴先生に聞いてみました。




更年期障害とは

—まず更年期障害とはどういうものですか。

更年期とは閉経前後の10年のことを言います。日本人女性の平均閉経年齢は約50歳なので大まかに45歳から55歳くらいまでに経験されることが多いです。なかには個人差があるので40歳前半から始まる方もいます。

更年期には卵巣機能が低下して女性ホルモンであるエストロゲンを充分に作れなくなります。何十年もの間エストロゲンでうまく調節されていた体の機能が、急激にエストロゲンが減ることでうまく働かなくなってしまい更年期障害と呼ばれるつらい症状を引き起こすのです。また、社会的なストレスで更年期障害が出てくることもあるので、ストレスも原因の一つと考えられています。そのため治療に当たっては身体的な面だけでなく精神的な面もケアすることが大切です。


更年期障害の症状

—身体がエストロゲンの低い状態に慣れるまで長く付き合わないといけない可能性もあるのですね。具体的にはどんな症状の人が多いですか。

日本人女性は肩こり、疲れやすさ、頭痛、ほてりや不快な汗をかくホットフラッシュと呼ばれる症状を感じる方が多いことがわかっています。他にも腰痛、不眠、イライラ、動悸、息切れ、うつ状態、不安感、めまいもよくある症状です。

治療を行うことによって改善が見込めますから是非抱え込まずに受診してください。それにこれらの症状は大きな病気のサインであることも考えられるので自己判断は禁物ですよ。

よくある更年期症状

⧫ 顔や上半身がほてる(熱くなる)
⧫ 汗をかきやすい
⧫ 夜なかなか寝付かれない
⧫ 夜眠っても目をさましやすい
⧫ 興奮しやすく、イライラすることが多い
⧫ いつも不安感がある
⧫ ささいなことが気になる
⧫ くよくよし、ゆううつなことが多い
⧫ 無気力で、疲れやすい
⧫ 眼が疲れる
⧫ ものごとが覚えにくかったり、物忘れが多い
⧫ めまいがある
⧫ 胸がどきどきする
⧫ 胸がしめつけられる
⧫ 頭が重かったり、頭痛がよくする
⧫ 肩や首がこる
⧫ 背中や腰が痛む
⧫ 手足の節々(関節)の痛みがある
⧫ 腰や手足が冷える
⧫ 手足(指)がしびれる
⧫ 最近音に敏感である



更年期障害の治療

—そうすると私は更年期障害の可能性が高そうですね。様子を見てしまうような症状も多いですが、症状によって生活を楽しめる時間が減ってしまいますし、治療で楽になるなら更年期は長そうなので受診してみようと思いました。治療にはどういう方法があるのですか。

大きく分けて3つありますが、組み合わせることもできますよ。

1.ホルモン補充療法

エストロゲンが減っているのが原因なのでお薬でエストロゲンを補います。特にホットフラッシュや動悸、不眠、感覚異常の改善に効果があります。他には夫婦生活の際の痛みの改善やお肌のはりやつやを保ちます。また骨粗しょう症や脂質異常症の予防と改善もはかれます。

ホルモン補充の方法ですが、クリームや錠剤、夫婦生活の痛みが主であれば膣剤など色々ありますのでお悩みやその方の状況(子宮摘出をされているかなど)を考慮して決めていきます。

2.漢方薬

日本人の方はまず漢方薬を試す方が多いです。既往歴などのためにホルモン補充療法が使えない方であっても使うことができます。代表的なものは加味逍遥散、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散などですが、その方の症状の出方や運動習慣の有無など総合的に判断して処方します。精神的な症状にも効果があります。

漢方薬で上手に更年期を乗り切るかたもいますが、更年期に気を付けたい骨密度や脂質異常症の改善は見込めないので忘れずチェックしていく必要があります。

3.抗うつ薬、抗不安薬

うつや不安感がつらく、ホルモン補充療法や漢方薬が効かない方には抗うつ薬や抗不安薬を処方することがあります。またこのような症状の方は精神的なストレスを抱え込んでいることが多いので、お友達や家族、カウンセラーと話をすることも有効と言われています。心療内科の先生にご紹介することもあります。


骨粗しょう症や脂質異常症との関係

—ありがとうございます。先ほど骨粗しょう症や脂質異常症と先生がおっしゃっていましたが更年期障害と関係あるのですか?

大いに関係します。

まず骨粗しょう症ですが、エストロゲンは骨を作るように働き、骨からカルシウムが溶け出すのを抑えます。そのためエストロゲンが低下するとどうしても骨がもろくなってしまいます。閉経すると1年に2%ずつ骨量は減り、10年後には20%も減少するといわれています。

若いときに骨量を高めておくのが大事なのですが、体質やダイエットなどで骨量がもともと多くない人はそうでない人に比べて骨折の危険が高い状態に早い段階でなってしまいます。足の付け根の骨が折れて寝たきりになったり、腰の骨が圧迫骨折してしまって背骨が曲がって呼吸が楽にできないという状況は誰でも避けたいものです。

まずは骨密度測定を行い自分のベースラインを知っておくことが大事です。骨密度は痛みなく計測できますので気軽にご相談下さい。骨量が少なくなっているのであれば十分なビタミンDやビタミンKを摂取したり、運動習慣を付けましょう。

もし更年期障害もあるのであれば前向きにホルモン補充療法を考えるといいと思います。更年期障害治療をかねてホルモン補充療法を行った後は骨のみにエストロゲンが働くようにする骨粗しょう症のお薬へ変えていくこともできます。


次に脂質異常症ですが、エストロゲンは血管を硬くする悪玉コレステロールをおさえ、血管をしなやかに保つ善玉コレステロールを増やしています。そのためエストロゲンが低下すると、同じ食事、同じ運動をしていても善玉コレステロールは減り、悪玉コレステロールが増えてしまいます。

そのまま放置すると血管が硬くなり、内腔がせまくなって詰まりやすくなります。その結果、命にかかわる病気である心筋梗塞や脳梗塞などにつながります。脂質異常症も採血で簡単に状況が把握できますので、まずはご相談ください。

もし更年期障害に加えて脂質異常症があるようでしたら、食事や運動に加えホルモン補充療法で両方が改善することも多いですよ。


大豆イソフラボンの効能

—手軽な対処法として“大豆のイソフラボンがいいよ”、と聞くこともあるのですがどうでしょうか?

おっしゃる通り大豆イソフラボンはエストロゲンのようにからだで働くと一般的にいわれており、健康食品も多く販売されています。しかし、実は大豆イソフラボンそのものがエストロゲンのようには働いているのではないのです。

エストロゲンのように体に作用するのは、大豆を食べた際に腸内の細菌が生み出す「エクオール」なのです。一方、日本人では約半分の人にはエクオールを生成する腸内の細菌がいないことがわかっています。日本では尿検査で自分がエクオールを作る細菌を持っているのかどうか調べることができますが、シンガポールではその検査ができません。そのためエクオールをサプリメントとして加工したものを摂ったほうが確実です。

エクオールの日本人女性に対する効果に関しては更年期障害が軽減されたという報告や骨密度が軽度上昇したという報告もありますので試してみても良いかと思います。しかしながら、偽造品も出回っているようですので信頼できる所で購入なさるようにしてくださいね。


更年期障害が心配な方へ

—最後に更年期障害か心配な方に対してメッセージをお願いします。

いろいろなつらい症状があっても“更年期はみんな通る道だし我慢できる範囲だから”と様子を見る方が少なくないです。診察してみると甲状腺の病気や肝臓の病気が原因だったとわかることもあります。治療をすることで生活の質が上がりますので、一度ご相談くださいね


洲河医師のご紹介

洲河美貴医師

婦人科担当医
信州大学医学部医学科卒
東京大学医学部健康科学科卒
日本産婦人科学会認定専門医

婦人科、産科、不妊治療など幅広い経験を生かし、診療をしています。ベビー待ちの方のご相談もお気軽にお越しください。

取材協力:ニホンプレミアムクリニック 洲河美貴医師 

Nihon Premium Clinic(ニホンプレミアムクリニック)
住所:Novena Medical Centre, 10 Sinaran Drive, #11-12/13/30, S307506
診察科目:総合診療科、内科、外科、皮膚科、小児科、整形外科、婦人科、予防接種
受付時間:月・火・水・金 9:00- 12:30、14:00-17:30
     木 9:00-12:30、14:00-17:30、菊地医師・黒川医師・赤井医師のみ19時まで診療
     (尚17:30以降は時間外料金となります。)
     土 9:00-12:30
休診日:日・祝日
電話番号:6397-2002
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この記事を書いた人

SingaLife知りつくし隊

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