シンガポールで多い詐欺の手口5選!対策と相談先もご紹介
東南アジア経済の中心地シンガポール。お金が集まるところには、悪い人も集まってきてしまうもの。さらにCOVID-19の感染拡大以降、詐欺被害が急激に増加していることをご存知でしたか。
この記事では、「シンガポールの詐欺被害の実態」や「シンガポールで多い詐欺の手口」、「詐欺にあわないための対策」をご紹介しています。
万が一詐欺にあってしまった時の対応と相談先もお伝えしているので、ぜひ最後までお読みください!
増加する、インターネットを使った詐欺
2021年、シンガポールにおいての詐欺の被害額は$6億3330万にのぼると報告されています。この額は前年の被害総額$2億6840万の約2.5倍。年々増加傾向にありますが、特に2020年以降は被害額が大幅に増えているのが現状です。
背景にあるのは、COVID-19による人々の生活の変化。ステイホーム期間が長くなり、「以前のように色々な人と交流したい」や「将来どうなるのだろうか。不安だ」と考える人が多くなりました。詐欺師はこのような状況の変化を、巧妙に利用しているのです。
コロナ禍でこれまで以上に自宅からインターネットを利用する機会が増え、詐欺師の格好の標的となっています。
また詐欺師の多くはシンガポール国外から犯罪行為を行っているとみられています。そのため警察も捜査に苦戦を強いられているのです。シンガポール国外からの詐欺事件の捜査や起訴は、現地の法執行機関の協力にも左右されるため、捜査そのものが難航しがち。加えて盗まれたお金がシンガポール国外に渡ってしまった場合、流出先を追うことは非常に困難となります。
こうした理由から、詐欺被害に遭った場合、盗られたお金を回収できる可能性は非常に低いのです。
シンガポールで多い詐欺の手口5選
ここでは具体的に、シンガポールで現在多く報告されている詐欺の手口を5つご紹介しましょう。
①フィッシング詐欺
フィッシング詐欺とは、インターネットを通してクレジットカード情報や銀行口座情報を騙し取る手口の犯罪。クレジットカード会社や銀行、ショッピングサイト等の実在する企業HPを装ったものが多いのが特徴です。
※具体例
ある日、DBS銀行の行員を名乗る人物からメールで、「あなたの口座がロックされました」という内容のメッセージが届きました。
ロックを解除するためにDBS銀行のHPらしきサイトへ誘導され、口座番号や暗証番号を入力。後日、詐欺師によって口座からお金が引き出されてしまいました。
②技術サポート詐欺
技術サポート詐欺とは、専門の技術者やエンジニアを名乗る人物から、ありもしない不具合が報告されるという手口。「不具合の原因は海外からの不正アクセスである」と言われる場合が多く、最終的に偽の警察から「手続き上必要である」と、クレジットカードや銀行口座の情報を求められます。
※具体例
ある日、大手電話会社のオペレーターを名乗る人物から電話がかかってきました。「Wi-FiI接続に不具合がある」と言い、パソコンなどでWi-Fi接続するよう求めます。
次に「リモートコントロールが可能なアプリをダウンロードしてくれれば、技術担当者がリモートで操作する」と、アプリのダウンロードを勧められました。
その後、技術担当者を名乗る人がリモートで被害者のパソコンを操作しながら「あなたのWi-Fiに海外から複数のアクセスがあり、警察に報告の必要がある」と偽の警察官に電話を転送。
その後「おとり捜査に協力願えないか」や「不正アクセスの発信元の特定に協力してもらえないか」などと依頼し、被害者にIDとパスワードを打ち込ませ、個人情報を盗み取ったのでした。
③投資詐欺
投資詐欺とは、高金利の投資を持ちかけ、登録料と元金を指定する銀行口座に振り込ませるもの。さらに悪質なものになると、「報酬の支払いのため」と称し、口座情報を聞き出すケースもあるといわれています。
例えば、ある日電話で、偽の高金利の投資が案内されます。出資を承諾すると「手数料の支払いのため」と、個人情報の提供を要求。もちろん投資話は嘘なので、手数料と個人情報は盗まれ損です。
多くの人がこの手の詐欺に気付けないのは、Googleで検索すると偽の投資会社などのホットラインの番号が表示されるため。その番号に電話をかけると、会社員のふりをした詐欺師につながり、さもその投資話が本当であるかのように納得させられてしまうのです。
シンガポールの警察や裁判所、中央積立基金(CPF)理事会も、近年は特にこのタイプの詐欺に注意するよう呼びかけています。
④電子商取引&配達詐欺
電子商取引詐欺とは、出品者のふりをした詐欺師がネットの販売サイトで偽の商品を売り出し、購入者から入金が確認された途端に行方をくらますというもの。ゲーム機やコンサートチケットなど、需要の高い商品を安く出品し、掘り出し物を探しているユーザーを罠にかけるのです。シンガポールに到着するまでに時間がかかる「予約販売」として出品され、被害者が通報するのを遅らせるケースも報告されています。
もう一つの配達詐欺とは、商品を注文していないのに偽の配送業者会社から「荷物が輸送中に止まっており、確実に届けるには追加料金が必要」などと、金銭を要求されるという手口。追加料金を支払っても、架空の配達のため商品が届くことは当然なく、業者とも連絡がつかなくなります。
⑤マッチングアプリ詐欺
マッチングアプリ詐欺とは、マッチングアプリで真剣にパートナーを探す人々の心につけ込む卑劣な犯罪。細やかな気遣いや、頻繁なメッセージなどで巧妙に信頼関係を築いたところで、「お金がない」などと金品を要求してくるのです。詐欺にあっていることに気づくのが遅れるケースが多いのも、この詐欺の特徴。
※具体例
某出会いアプリで他人の写真を利用して登録した詐欺師。丁寧なメッセージを交わし、被害者とかなり親しい関係になったところで、「愛の証」として金品を要求されました。また、「会いに行きたいから、渡航費を貸してほしい」と言ってくるケースも。
手口がエスカレートすると、被害者が惚れ込んでいることをいいことに、多額の投資話やベンチャービジネスへの出資を持ちかける詐欺師もいるそうです。
シンガポールにおける詐欺対策【相談先もご紹介】
ここでは、詐欺にあわないためにできることと、万が一詐欺にあってしまった際の対応をご紹介します。
シンガポールで詐欺にあわないために
まず、何より、詐欺にあわないことが重要です。そのためには様々な詐欺の手口が存在すること、近年どの様な手口の詐欺被害が多いのかを認識することが大切。
以下では、詐欺の現状を確認できるサイトを2つご紹介します。
①在シンガポール日本国大使館 https://www.sg.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html 詐欺に関する注意喚起が定期的に出されています。 ②The Straits Times https://www.straitstimes.com/global シンガポールの詐欺に関する記事が多数掲載されており、最新情報の獲得に有益です。 「Nearly $1 billion lost by scam victims in Singapore since 2016」という記事では、2019年から2021年の間の詐欺の手口がランキング形式で紹介されています。 |
また、電話やSMSでいきなりキャッシュカードや銀行の話が出たら、まず詐欺を疑ってください。さらに、より詳細な個人情報、IDやパスワードまで要求してくる場合は詐欺である可能性が非常に高いです。すぐ電話を切り、連絡が再度来ても無視すると良いでしょう。
「詐欺かな?」と感じたら、以下のホットラインへの相談もオススメです。
・Anti-Scam Hotline
電話番号:1800-722-6688 (営業時間 9:00 – 17:00)
・National Care Hotline
電話番号:1800-202-6868 (営業時間 8:00 – 12:00)
万が一、詐欺にあったら…
詐欺だと気づいたら、相手に情報が渡ってしまった口座やカードの利用をすぐに凍結することをオススメします。利用を停止するための方法を次に紹介しましょう。
①カードの場合
キャッシュカードやクレジットカードの場合は、カード裏に緊急電話番号が記載されています。
②口座 / 電子マネーの場合
銀行等の場合は窓口で詐欺に遭った旨を相談し、次に取るべき手続きを教えてもらいます。
また、電話の途中で詐欺だと気づいた場合は、すぐに電話を切り警察に連絡して被害届(Police Report)を出すことが望ましいです。
シンガポール警察 電話番号:999
その際、会話の内容、被害状況の有無をあらかじめまとめておくとスムーズに相談できます。
そして被害の状況によっては弁護士等に相談し、法的措置を取ることが望ましい場合もあります。シンガポールに事務所を持つ日系の法律事務所も複数ありますので、英語で相談することに不安がある方は、こうした事務所を探すと良いでしょう。
また、金融、IT、不動産、個人情報など、得意とする分野は法律事務所により異なります。可能であれば、自分の依頼する分野を得意とする事務所を調べた上での相談がオススメです。
最高の詐欺対策は、毎日を充実させること!
この記事では、「シンガポールの詐欺被害の実態」や「シンガポールで多い詐欺の手口」、「詐欺にあわないための対策」、「万が一詐欺にあった時の対応」をご紹介しました。
記事の中でも書きましたが、詐欺師は私達の「寂しさ」や「将来の不安」という心の隙間を巧みに狙ってきます。詐欺被害にあわないために、普段から友人に相談したり、リラックスできることをしたりして、毎日を今まで以上に充実させてみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
SingaLife知りつくし隊
シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、現地のトレンド情報やライフスタイル情報をお届けします。「知り尽くし隊にこんな情報を取り上げてほしい」各種SNSにてリクエストも随時募集中です!