【データリテラシー×日本・シンガポール】データリテラシー研修に対する考えの違い、日本とシンガポールの比較

元外交官 × エコノミスト 川端 隆史のアジア新機軸

データ解析ツールを提供する成長企業のタブローソフトウエアは、米国フォレスターコンサルティング社に委託して、データリテラシーに関する意識をテーマとして20か国で調査した報告書を4月20日に発表した。日本とシンガポールの差をみてみよう。

まず、データリテラシー研修の対象社員について、日本では全従業員に提供されていると43%とほぼ半数が回答したが、シンガポールは28%にとどまる好対照の結果だった。

一方、「狭義のデータ分析業務に関わる社員のみに研修を提供」と応えたのは日本の36%に対して、シンガポールは41%となった。そして、狭義のデータ分析業務以外の社員にも「ある程度の範囲で研修を提供」と回答したのは日本では21%に対して、シンガポールでは31%だった。

日本では全社員まで対象とする傾向があるが、シンガポールはデータ分析業務に携わる社員に寄せて研修を実施する傾向があるようだ。

従業員側の意識には多少の違いが見られる。「データ分析に関する効率的な研修が受講できれば当該企業にとどまる」という質問に対して、日本は71%に対して、シンガポールは83%となった。

また、「データ分析スキルがあれば、より良い意思決定ができる」という質問に対して日本は80%であり、シンガポールは86%となった。

また、「データ分析に強い会社にとどまりたい」という問いについて日本は69%、シンガポールは77%である。シンガポールの従業員の方がデータ分析を重視する傾向が高めと言える。

他方、差があまりなかったのは経営者が持つ問題意識だ。例えば、研修担当社員の不足が問題と応えたのは日本で45%、シンガポールで43%である。

その他の質問に対しても、日本とシンガポールでは近い数字が出ている。そのなかでも差がみられたのは、「従業員の反発」という項目で、日本は31%と世界的に見ても低かったのに対してシンガポールは40%となった。

最初に紹介したデータも考慮すると、シンガポールではデータ分析を必要とする社員にとってデータリテラシー研修は歓迎されているが、直接必要だと感じていない社員にとっては余計な研修と受け止められている可能性がありそうだ。

※2022年4月22日脱稿



プロフィール

川端 隆史 かわばたたかし

クロールアソシエイツ・シンガポール シニアバイスプレジデント

外交官×エコノミストの経験を活かし、現地・現場主義にこだわった情報発信が特徴。主な研究テーマは東南アジアや新興国を軸としたマクロ政治経済、財閥ビジネスのグローバル化、医療・ヘルスケア・ビューティー産業、スタートアップエコシステム、ソーシャルメディア事情、危機管理など。

1999年に東京外国語大学東南アジア課程を卒業後、外務省で在マレーシア日本国大使館や国際情報統括官組織等に勤務し、東南アジア情勢の分析を中心に外交実務を担当。2010年、SMBC日興証券に転じ、金融経済調査部ASEAN担当シニアエコノミストとして国内外の機関投資家、事業会社への情報提供に従事。2015年、ユーザベースグループのNewsPicks編集部に参画し、2016年からユーザベースのシンガポール拠点に出向、チーフアジアエコノミスト。2020年12月より現職。共著書に「東南アジア文化事典」(2019年、丸善出版)、「ポスト・マハティール時代のマレーシア-政治と経済はどうかわったか」(2018年、アジア経済研究所)、「東南アジアのイスラーム」(2012年、東京外国語大学出版会)、「マハティール政権下のマレーシア-イスラーム先進国を目指した22年」(2006年、アジア経済研究所)。東京外国語大学アジアアフリカ言語文化研究所共同研究員、同志社大学委嘱研究員を兼務。栃木県足利市出身。




この記事を書いた人

SingaLife編集部

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