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駐在夫、子を育てる-7- 産褥アマさん

これはシンガポールに駐在する妻に帯同し、“駐在夫”として家事や育児に奮闘する日々を綴ったコラムです。シンガポールのフリーマガジン「シンガライフ」誌上で連載しているものに一部加筆して、ウェブでも公開しています。


妻の予定日が固まって来たころから、出産直後の過ごし方の話題が自然と増えてきた。コロナの影響で、頼りにしていた親がシンガポールに来ることが叶わず、夫婦だけで生まれた直後のモモタの世話をしながら生活しなくてはならない。どうしたものか。そこで頼ったのが産褥アマさんである。

産褥という言葉に馴染みがある人は多くはないはずだ。特に男性は。駐在夫の私は、これまでの人生で聞いたことがなかった。産褥とは「さんじょく」と読み、wikipediaによると「妊娠および分娩によってもたらされた母体や生殖器の変化が、分娩の終了(医学的には分娩第3期、いわゆる後産期終了)から妊娠前の状態に戻るまでの期間のこと」だそうだ。

妻が里帰り出産をする場合、その期間の大半は親に頼れるから心強い。そうでない場合は非常に心もとない。シンガポールでは入院期間が三日間しかなく、それはつまり生後3日の赤ちゃんが自宅に来ることを意味している。

「みんなやっているんだから、なんとかるでしょ」と楽観的に考えていた私だが、妻は違った。「やばいお世話の仕方が分からなくて、モモタを死なせてしまったらどうしよう」と悲観的。前回書いたように、ここでも二項対立が生じた。

妻が駐在妻ブログを読み漁って見つけたのが、産褥アマさんのシャーリーさん。シャーリーさんはシンガポール人で、姉妹して産褥アマさんを生業としている。日本語も多少話せる。コロナのせいで、親が来星できなくなったケースが多いのか、9月の時点で21年2月まで予約でいっぱいだった。月〜金の5日間、9時〜17時のお世話で800ドル。モモタのお世話のほか、昼食と夕食の用意もしてくれた

連絡してみると、運よく1週間だけ空きがあったので依頼した。シャーリーさんの手にかかれば、世界の終わりが来たかのようにギャン泣きしていた沐浴でも、モモタは泣くことなく大人しくしている。恐るべき経験値。滞在してくれている日中は、ほとんど泣かずに過ごしているモモタ。どんな魔法を使っているのだ。
世の中がみんなシャーリーさんであったらなんと平和なことか。シャーリーさんが去ってからもモモタはスクスクと育ち、今では3ヶ月を過ぎたものの、相変わらずお風呂では日本の終わりぐらいのスケールで泣いている。


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