ラマダン期間中の食事無料提供にデジタル技術を導入。人の密集を避けるため。シンガポール・ウッドランズの自治組織
シンガポール北部ウッドランズで行われているイスラム教の断食月ラマダン期間中、住民にビリヤニ(インド風炊き込みご飯)を無料で配給する取り組みに、2021年初めてデジタル技術が導入されました。無料配給は2016年から続けられていますが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、人の密集を避けるためです。
ビリヤニの炊き出しは例年、HDBフラット1階の公共スペースで行われ、毎回、数百人が集まるにぎわいを見せてきました。
しかし、2021年4月時点で、新型コロナウイルスの感染は抑制されているものの、大勢が集まれば、住民への感染リスクが生じると懸念。オンラインで予約して、近隣の指定されたホーカー(屋台)やコーヒーショップから受け取るという仕組みに変わりました。週に1回、希望日に食事を受け取れる仕組みになりました。
利用希望者はオンラインで利用予約を行い、予約完了後にスマートフォンに送信されるQRコード付きのe-カードを、屋台で食事を受け取る際に、提示します。毎週最大1000食が提供され、予約は先着順ですが、低所得世帯からの申し込みを優先的に受け付けています。スマホを持っていない場合は、ウッドランズ・コミュニティー・クラブで配布されるカードで利用できるとのことです。
ウッドランズが位置するセンバワン選挙区選出のマリアム・ジャファール国会議員は4月18日、この取り組みが始まるのに際し「新型コロナウイルスをめぐる状況に伴う制約を考慮すれば、適切な方法だ」と述べるとともに、「ホーカーもお客さんが来て、もうかる」として、その利点を強調しました。
また、住民からも「家計が苦しく、食べるものが十分にない時は、パンだけで済ますこともあり、こうした取り組みはとても助かる」などと、地域ぐるみの支援を歓迎する声が上がっています。
コロナ禍のなか、ラマダンの過ごし方も変容しつつあるようです。
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SingaLife編集部
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