シンガポールで開催予定の世界経済フォーラム年次総会が中止。シャングリラ会合は引き続き実施の構え
世界経済フォーラム(WEF)は5月17日、8月にシンガポールで開催を予定していた特別年次総会を中止することを決定しました。中止の理由として、シンガポールと各国間の渡航の見通しが不透明であることや、新型コロナウイルスの変異株の感染拡大、国や地域によって予防接種の普及速度の違いなどを挙げています。WEFは「予定していた規模で実現することができなくなりました」と述べています。
WEFの年次総会は、毎年1月にスイスのダボスで開催されることからダボス会議とも呼ばれ、世界の官民トップが集結し幅広いテーマで議論が行われます。欧州での新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今年はシンガポールに開催地を変更。シンガポールでの開催が決定してからも二度延期されていました。
今年の年次総会は、マリーナ・ベイ・サンズで8月17日から20日に開催され、1,000人以上の参加者が見込まれていました。WEFのクラウス・シュワブ会長は、中止について難しい決断であったものの「関係者全員の健康と安全が最優先」と説明しています。
WEFによると、次回の年次総会は2022年前半に開催される予定です。最終的な開催地と日程は、今夏以降の状況を見極めて決定するとしています。
一方、英国国際戦略研究所(IISS)は、6月初旬にシンガポールで開催するアジア安全保障会議(シャングリラ会合)について、中止の意向はないことを発表。「WEFの決定が我々の計画に影響を与えることはありません」と述べています。
シャングリラ会合は毎年シンガポールで開催され、各国の防衛政策担当者が参加する国際会議で、今年は6月4日から5日に開催される予定です。IISSは、「すでに実施している厳格な安全対策を強化し、参加者と地域社会の両方を守るために必要な調整を行っていきます」と述べています。
シャングリラ会合は現時点で実施される予定ですが、WEFの判断は新型コロナウイルスの深刻な影響を改めて示すこととなりました。
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SingaLife編集部
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