シンガポールでの住まい探しの基本情報。日本と異なる賃貸住宅のルールには注意を

東京23区とほぼ同じ国土面積のシンガポールには、約570万人が住んでいて人口密度が世界第二位(日本の外務省の調べ)。そのため日本の都心部と同じように高層マンションが林立しているエリアも多く、一軒家が広がるのは郊外です。

これからシンガポールに移り住む読者の方に向けて、シンガポールでの住まい探しの情報や、日本では馴染みがないシンガポール特有の賃貸習慣などをまとめました。


シンガポールの主な住宅の種類

シンガポールは狭い国土に人が多く住んでいるために集合住宅一つ一つが高層化しています。低層(3〜4階)の集合住宅は一部高級住宅地や昔ながらの建物などに限られ、数は少ないです。

シンガポールで生活する日本人の多くは、

・コンドミニアム
・HDBフラット
・サービスアパートメント

のいずれかに居住しています。

コンドミニアム(Condominium)

日本のマンションに当たる高級賃貸住宅。敷地内にはプールやジム、テニスコート、子ども向けプレイグラウンド、BBQピットなどの共用施設があることが多いです。

セキュリティ面も充実し、入り口にはゲートが設けられ、警備スタッフが常駐していることも。日本人を含む外国人駐在員の多くはこのコンドミニアムで生活しています。

HDBフラット

日本の公団住宅のような位置付けで、政府系機関のHDB(Housing & Development Board=住宅開発庁)が建設を主導。プールはジムなどの共用施設やセキュリティゲートもないのが一般的です。シンガポール国民は、HDBフラットで生活するのが標準モデルです。

外国人がHDBフラットを購入することはできませんが、賃貸契約で入居することができます。ただ、各種の制限があるので、事前に確認しましょう。シンガポール国民やPR(永住権)保持者は、HDBフラットを購入することができます。

サービスアパートメント(Service Apartment)

ハウスキーピングや食事が付く高級マンション。もちろんプールやジムなどの共用施設も充実しています。その分賃料も高いので、一時的な仮住まいとして利用するケースが大半。日本人がサービスアパートメントを利用するのは、駐在員がシンガポール赴任後に住宅を契約するまでの数週間というケースが多いです。

他にも、郊外を中心に戸建て住宅がありますが、ここでは説明を割愛します。

賃料は東京よりも高い!?

冒頭にも書いたようにシンガポールは狭い国土に対して、人口が多いため住宅需要が高く、そのため賃料は、東京都心部と比較しても高いと言われています。もちろん立地や築年数、設備によって賃料は大きく上下します。

シェアハウスも一般的

シンガポールでは、その家賃の高さから、3〜4部屋あるHDBフラットやコンドミニアムを数人でシェアして暮らすことも一般的です。入居までの流れは単独で暮らす場合と大きな違いはありません。

シェアハウスメンバーを募集している不動産情報サイトで、希望の物件を探して内覧。入居を決めたら契約書にサインし、家賃1カ月〜2カ月のデポジット(預入金)を納入し、住所登録をします。契約期間は、単独入居が2年が原則であるのに対して、半年(6ヶ月)契約・1年契約・2年契約といった契約パターンが多いようです。

多くの外国人が暮らすシンガポールなので、ルームメイトもさまざまな国籍の人となるのが一般的。インターナショナルな交流をするのもいいかもしれません。

シンガポールで住宅の探し方

慣れない外国で暮らすには不安がつきもの。住宅の探し方は日本と同じで、インターネットで探す、もしくは仲介業者に依頼するのが一般的です。

仲介業者

信頼感で選ぶなら仲介業者ですよね。シンガポールの不動産事情に精通し、多くの日本人駐在家庭を案内してきたエージェントなら不測の事態が起きても安心。入居後もサポートしてくれる会社も多いです。

<主な仲介業者>
東京不動産
フォーランド

インターネット

よく利用されている住まい探しの情報サイトは「プロパティグル(propertyguru)」。賃貸と購入の不動産情報が集まっています。

使い方は日本の不動産情報サイトと同じで、エリア名やMRTの駅名と希望の条件(部屋の広さ、築年数など)を入力すれば該当する物件が一覧で表示されます。

契約期間は2年が一般的

シンガポールでは賃貸契約は2年が一般的で、原則として契約の中途解約が認められてません。

ただ、契約時に転勤中途解約条項(Diplomatic Clause)という条項を設けるケースが多く、この条項は契約から1年(12カ月)経過後は、2ヶ月前通告で借り主は中途解約ができるという内容です。ただし、この条項はシンガポール国外への転勤(日本への帰任など)が前提となっており、シンガポール国内で引っ越す場合には、適用されません。

シンガポールのちょっと変わった賃貸ルール

エアコンは3カ月に一度の掃除が義務

常夏のシンガポールでは、エアコンは必須。一日中稼働させているという家庭も珍しくありません。設置も各部屋に一台が基本で、家に3台、4台あるという家も多いです。

エアコンが壊れることを予防するためにも、エアコンのクリーニングが法律で義務付けられています。3カ月に1回、業者に依頼してクリーニングをしなければなりません。エアコンが稼働しなくなったケースに備えて、業者から発行される領収証は保管しておきましょう。

内見は居住中であっても行われる

転居先の様子を実際に見る「内見(ビューイング)」。住まいを探す時の基本です。日本では前の居住者の退去後に行われますが、シンガポールでは賃貸契約中の居住者が生活していても、次の居住希望者が内見に来ることがあります。

さらに内見希望者に対しては「協力しなければならない」などと契約書に記載されていることが一般的です。

少額修理費用は借り主が負担

入居中に起こるあらかじめ設置されていた家電や家具の不具合。シンガポールでは少額の修理費用は借り主が負担することが契約書に定められてることがほとんどです。(例えば、150ドルまでの修理費用は借り主、その金額を超えた分は貸し主負担など)

家具や家電を普通に使用して故障した場合でも、少額修理が適用されると借り主が負担しなければなりません。

退去時にカーテンはクリーニング

こちらも日本の賃貸習慣からすると不思議に感じますが、入居時に備え付けのカーテンを退去時にクリーニングして返却すると契約書に記載されているケースが多いです。

シンガポールの住宅設備

バスタブなしが主流

シンガポールの住宅では、バスタブがなくシャワー設備だけというのが主流になっています。その理由については、暑い国なので湯船につかるという習慣がそもそもないからだ、などと言われています。

一部ファミリー向けの物件には、バスタブがついているケースもあります。

換気扇が排気しない

日本の住宅には必ずある換気扇。シンガポールの住宅では換気扇はあるものの、換気扇が吸った空気は、屋外に排気されません。屋外に排気されずに、また室内に吐き出されます。つまり循環させているだけです。

家具付き物件も多い

日本では備え付け家具(例えば、クローゼット)を除いては、家具なしでの引き渡しが基本ですが、シンガポールでは家具付きの状態で引き渡されるのが主流です。

一部家具付(Partially Furnished)
こちらのパターンでは、冷蔵庫や洗濯機などの白物家電のほか、照明やカーテン、クローゼットなど一部の家具が備わっています。

全部家具付き(Fully Furnished)
一部家具付きで備わっている家具に加えて、ソファやコーヒーテーブル、テレビ、ベッドなどが予め備わっています。

いかがでしたでしょうか。シンガポール生活の拠点となる住まいは少しでも自分の好みに合致した快適なところに住みたいものです。

日本とは異なる商習慣や設備に当初は戸惑うかもしれません。ただ「住めば都」という諺があるように、いずれ慣れます。

ぜひ住宅を探す時の参考にしてください。




この記事を書いた人

SingaLife編集部

シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!

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