シンガポールでメイドの定期検査に身長・体重測定とけがの診断を追加。虐待の発見徹底が狙い

シンガポール人材開発省(MOM)は8月5日、6カ月ごとに行っている外国人メイドの定期健康診断に、同29日以降、BMI(体格指数)の測定や原因不明のけがの診断を加えると発表しました。雇用主などによるメイドへの虐待の発見徹底が狙いです。

外国人メイドの定期健康診断は、これまで妊娠と伝染病の検査のみが実施されていました。

これまで許可されていた自宅検診は禁止され、メイドが支援を求めやすい環境を整えるため、検査は医療機関内で行い、雇用主の同席は認められません。医療機関は、検査結果にかかわらず、診断書すべてをMOMに提出するよう義務づけられます。

シンガポールでは近年、雇用主などによるメイドの虐待事件が続発。

2020年11月に、インドネシア人メイドが雇用先で繰り返し虐待を受け、高層住宅の15階にある雇用主の自宅のバルコニーから逃走した事件で、加害者の女に禁錮10カ月と2週間が言い渡されたほか、2021年4月には、雇用していたミャンマー人メイドに虐待を加えるとともに、食事を与えず、餓死させた主婦に禁錮30年の判決が下されています。

このメイドが2016年7月に死亡した際の体重は、24kgにすぎず、2015年5月に雇用主の下で働き始めた当時から38%減っていたとのことです。

こうした事件を受け、MOMは、保健省(MOH)、医師、雇用主、メイド紹介業者と再発防止策を協議。

協議の結果、導入が決定したメイドの身長・体重を測り、BMIを算出して、記録を比較する措置について、「メイドの体重の著しい減少など危険な兆候を、医師らが察知できるようになる」とし、「メイドの雇用先の家庭訪問やメイド紹介業者による新規就労メイドへの面談(就労開始初年度に2回)など、その他のメイド支援策によって補完されるものだ」と説明しています。

ただ、メイドへの虐待をめぐっては、こうした対応に加え、コミュニティーによる見守りの必要性を訴える声もメイド支援団体関係者らから上がっています。

夫婦共働きが主流のシンガポール社会で欠かせないメイドの存在。安全な就労環境の確立が何よりも求められます。



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SingaLife編集部

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