今年9月からEP/Sパス就労ビザ最低給与金額の引き上げが決定 ますます取得が厳しくなる?!

先月18日、ローレンス・ウォン財務相が本年度(2022年4月〜2023年3月)の予算案を発表し、新型コロナウイルスパンデミックの回復後を見据えた持続可能な様々な経済施策を打ち出しました。

中でも、EPビザ取得のための最低賃金の引き上げや、後に発表されたポイント制度については在星外国人の中では大きな話題となったのではないでしょうか。(シンガポールの就労ビザの種類については、リーラコーエンのブログのこちらをご覧ください)





EPやSパスの最低月額給与、どのくらい上がるのか

ウォン財務相は、外国人労働者の給与金額はその能力に直結するとし、より優秀かつシンガポール経済へ貢献できる人材を求めて最低給与金額の引き上げを行うと演説しました。

現在、EPビザ新規取得のための最低月額給与は4,500SGDですが、今年の9月より500ドル値上がりし、5,000SGDとなることが決定しました。一部金融領域に携わる専門職の最低月額給与も、現在の5,000SGDから5,500SGDに上がります。また、新規申請分だけでなく、現在のEP保持者がビザ更新をする場合についても、来年9月以降は同じ条件が適用となりますので注意が必要です。

EPだけではなく、Sパスにおいても同様に最低月額給与が現在の2,500SGDから3,000SGDへの値上げが発表されました。金融領域の専門職のSパスにおいても、3,500SGDとなります。こちらも9月から適用される予定です。また、値上げ金額は追って発表としていますが、Sパスは来年度および2025年度にも値上げをするとしています。


今回の変更のまとめ

今回の変更をまとめると以下のようになります。

就労ビザ種類現在(SGD)2022年9月以降(SGD)
EP4,5005,000
EP(金融・専門)5,0005,500
Sパス2,5003,000
Sパス(金融・専門)3,0003,500



EPビザの最低給与額引き上げの背景

シンガポール政府がEPビザ取得のための最低給与額を引き上げるのは2020年5月以降3回目です。では、なぜこのような外国人労働者の引き締めを行っているのでしょうか。

シンガポールには、ローカル人材の雇用創出と育成を主目的に外国人労働者数を規制するという「シンガポーリアンコア政策」というものがあります。この政策に準じて、外国人の労働者に対してはPMET (professional, manager, executive and technician)という、専門的かつ高いスキルとパフォーマンスを期待しており、それをローカル人材へ伝授することを期待しているのです。

ウォン財務相も、今回のビザ取得のための最低賃金の引き上げにより、海外各地からの選りすぐりのプロフェッショナルとローカル人材の相乗効果から、シンガポール経済のより一層の活性化を期待しているとしています。


今後の課題と新制度「COMPASS」の導入

とはいえ、最低月額給与が一気に500シンガポールドル(日本円で約43,000円)引き上げられたことにより、採用する側もされる側もハードルが上がることは間違いありません。

また、今回の変更と合わせて来年9月からはポイント制度「COMPASS」も導入することが分かりました。これは、Complementarity Assessment Framework(相補的な評価を行う枠組み)の略語で、評価項目は給与水準やスキルといった個人属性項目と、国籍の多様性やローカル人材の割合などの企業属性項目で構成されています。

4つの項目に加え、特別項目も2つ加味され最終ポイント数が決まりますが、EPビザの候補者はこのCOMPASSの項目から40ポイントを上回らなければなりません。この制度は、新規EPビザ申請については来年2023年の9月1日から、更新の場合は再来年2024年の9月1日から適用されます。

以上のことから、一層ビザの取得のハードルが上がり、外国人の雇用の選考が難しい分、競争率も激化することが予想されます。すでにEPビザで就労している方の給与も、来年以降のビザ更新時にどうするか、などについても課題が残ります。

一方で、EPビザの最低月額給与は、申請対象となる方の年齢や学歴によって左右されます。ご自身の申請に必要な最低月額給与額は、MOMのSelf Assesment Toolから詳しく調べることが可能です。




最後に

今回は2022年度シンガポール予算案でローレンス・ウォン財務相が発表した、就労ビザ最低月額給与の引き上げ、及び新制度「COMPASS」についてお届けしました。今後は、ローカル雇用のますますの加速と、外国人に対するより専門的な知識や同業種における経験者が優遇される状況になっていくことが予想されます。外国人の就労を規制しつつ、ローカル人材との協業を通して経済成長を図っていくシンガポールですが、EPビザのハードルは年々上がっています。

今回の詳細は、金融庁のホームページ、またはMOMのホームページでもご確認いただけます。本記事が、皆様のご参考になれば幸いです。


※本記事はリーラコーエンよりご寄稿いただいたものです。


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この記事を書いた人

SingaLife編集部

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