映画「ブローカーBroker」シンガポール公開!是枝監督が描く、新しい家族の形。

韓国を代表する名優ソン・ガンホは、「ブローカー」で今年のカンヌ映画主演男優賞、そして独立賞の一つであるエキュメニカル審査員賞も受賞しました。

今、世界が注目する映画「ブローカー」をご紹介します。




ストーリー

ある雨の夜、ベイビーボックスの前に赤ちゃんが捨てられた。借金に追われるサンヒョン(ソン・ガンホ)はそこで働くドンス(カン・ドンウォン)の協力の元、赤ちゃんを売るためにこっそり連れ去る。しかし、翌日思い返して戻った母親ソヨン(イ・ジウン、IU)に怪しまれ、赤ちゃんを幸せにするために養父母を探すのだ、と言ってしまい理想の養父母を探しに行くことに。そんな3人を追うのは、赤ちゃん売買の現場を押さえようとするスジン刑事(ペ・ドゥナ)とイ刑事(イ・ジュヨン)だった。


監督 是枝裕和

テレビのドキュメンタリーで多くの賞を受賞後、「幻の光」で映画監督デビュー。その後、「誰も知らない」で柳楽優弥がカンヌ国際映画祭最優秀主演男優賞、「万引き家族」でカンヌ国際映画祭パルムドール、その他、多くの賞を受賞。「ブローカー」でソン・ガンホがカンヌ国際映画祭最優秀主演男優賞。


キャスト

サンヒョン:ソン・ガンホ(殺人の記憶、弁護人、パラサイト 半地下の家族)

クリーニング屋を営んでいるが、ギャンブルの借金に追われている。

ドンス:カン・ドンウォン(ゴールデンスランバー、新感染半島 ファイナルステージ)

自身も養護施設出身で、今はベイビーポストでヘルパーをしている。

スジン刑事:ペ・ドゥナ(グエムル 漢江の怪物、空気人形)

子どもを利用する奴らを許せない刑事

ソヨン:イ・ジウン (マイ ディア ミスター)

孤独なシングルマザー

イ刑事:イ・ジュヨン (梨泰院クラス、野球少女)

スジンの後輩刑事


先行上映会開催

6月15日にゴールデンヴィレッジ サンテックで先行上映会が行われました。劇場はほぼ一杯で、注目度の高さがわかります。

どしゃ降りの中、若い女が歩いて行く。一歩一歩階段を上がり、教会のベイビーボックスに向かいます。そこだけが柔らかい光が差しています。ここだけで、これから話がどう展開して行くのか、心がざわっとします。ただひたすら思うのは、赤ちゃんが幸せになってほしい。バッドエンドは嫌だ、ということだけでした。


爆笑も起こります

ストーリーはゆるやかに進み、サンヒョンやドンスたちがどんどん深みにはまって行き、いろいろなハプニングの連続に劇場では笑い声が響きます。決して重い話ではなく、日々生きていて起きるささいなことが明るく、笑いを生みます。

そしてスクリーンを見つめているうちに、鼻の奥がツンとして涙が頬を伝います。それは私だけでなく、劇場のあちらこちらから鼻をすする音が聞こえます。

サンヒョン、ドンス、ソヨン、そして強引に仲間になったヘジンの4人は擬似家族のようになって行きます。



そして映画は終わり…

最後にもう一度思ったのは、血のつながりは必要ない、絆が必要なんだと言うことです。是枝監督の家族を描いた作品は、家族としての正解はないということではないかと思います。

子どもの取り違えを描いた「そして父になる」、孤独な人たちが擬似家族となる「万引き家族」、そして「ブローカー」「家族」3部作とも言われていますが、「誰も知らない」を入れて4本かもしれませんね

この物語がどうなって行くのか、ぜひ劇場で見届けてください。今年、忘れられない映画がもう一本増えることでしょう。笑って泣けて、そして感じる優しさ。改めて考えさせられる作品です。

カンヌ映画祭では上映後、12分間のスタンディング オベーションがあったという本作。字幕も気にならず、ぐっと入り込める映画です。そしてラスト近くでソヨンが話す言葉は、今でも響いてきます。そして出演している、全ての俳優たちの演技は心を打ちます。


映画は世界共通語

映画は国境を超えて、言葉を超えて、人々の心の奥にある優しい部分に染みていきます。そして映画の魅力はやはり大スクリーンで見てこそ。目の動き、口のほんの少しの動きに百万の思いが込められていて、それを見られるのは劇場なんですね。そして見知らぬ観客と共有する想いも。


ブローカー Broker
公開日時:2022年6月23日より一般公開
上映館:ゴールデンヴィレッジ他
チケットはこちら

写真提供 @Golden Village  Pte Ltd

この記事を書いた人

林じゅん子

長崎県出身。バブル期の東京で浮かれて過ごし、そのままシンガポールへ。気がつけば20数年!香港映画がきっかけでアジア芸能にはまり、シンガポール初日本人芸能記者(自称)に。ラジオ、雑誌ともに芸能一筋、出会った芸能人は数知れず。 現在はエンタメ以外の3大好物、イケメン、おいしいもの、アニマルネタ目を光らせる。期間限定&新製品にも目がない、ローカルどっぷりジャパニーズ

  • 帰国生のミカタ
  • SingalifeBiz