「サウンド オブ ミュージック」日本人キャスト中尾レンくんにインタビュー!オーディション&ミュージカル舞台裏に密着
現在、マリーナベイ サンズのサンズ シアターで、12月18日まで絶賛公開中の「サウンド オブ ミュージック」ミュージカルの古典と言ってもいいような、知らない人はいない作品です。
1959年にロジャースとハマースタインによってブロードウェイで上演され、1965年にはジュリー・アンドリュース主演で上演されたこの作品は、修道女見習いから大佐夫人になったマリアの感動的な実話を描いています。
ナチス・ドイツによるオーストリア併合までの数ヶ月間、音楽を通して、海軍大尉ゲオルク・フォン・トラップとその7人の子供たちの人生を優しく変えていくストーリーです。
子役はオーディションで選ばれ、ストーリーを盛り上げています。そして子どもたちの中の唯一の日本人キャストがカート役の中尾レンくんです。
笑顔がキュートなレンくんに、オーディションのお話などを聞きました。
オーディションに出たきっかけ
日本でレ ミゼラブルを見て感動して、人に感動を与えたいと思いました。それでインターネットでオーディションを探して、このオーディションを見つけました。「シンガポール オーディション」と、日本語、英語で打ち込みました。
そうしたらサウンド オブ ミュージックのオーディションを見つけ応募しました。その後、すぐに書類審査合格の知らせが来ました。
第2次オーディション
第2次オーディションは歌唱です。みんなサウンド オブ ミュージックの歌を練習していったと思いますが、オーディションではオーバー ザ レインボーを歌わされました。(サウンド オブ ミュージックの歌を)練習していても無駄でした。その後、いろいろな歌を歌いました。
第3次オーディション
前日のオーディション後、次の日の歌と台本を渡されました。覚えろとは言われないけど、覚えていきました。曲はこのミュージカルのメインの曲である「サウンド オブ ミュージック」。ハーモニーが難しい曲で、しかも曲を聴いて覚えないといけないので大変でした。
僕はピアノをやっているので楽譜を見てやることに慣れているから。
第4次オーディション
最後はダンスのオーディションです。第2次から3次までいろいろなオーディションをやってきて、バランスが大事だなと思いました。
確かに歌だけでなく、演技、ダンスなどいろいろな要素が必要ですよね。そして恐らく性格もその過程で見ているのではないでしょうか。
ミュージカルなど1つの舞台をみんなで築くには、歌やダンスだけでなく子役がちゃんと監督の指示に従い、コラボレーションすることが求められますよね。
最終オーディション終了後、ドキドキで待っていた親御さん達を会場の中へ入れ、発表となりました。オーディション風景のビデオを見たのですが、発表前に監督が「受からなかったから僕たちが君を嫌いということじゃない。みんな、愛しているよ」と感極まった声で話していたのが印象的でした。長いオーディションで監督自身も全ての子どもたちを選びたい気持ちになっていたのでしょう。
そして長い長いオーディションは終わりました。
落ちた子の「オーディションに参加しても無駄、長い時間かかって。という人もいるかもしれないけど、僕はそう思わない。オーディションに参加した事ですばらしい経験ができた。またもし何かチャンスがあればトライします」と言っていたのに胸を打たれました。
名前を呼ばれた時の気持ちについて
うれしかったけど(受かったということだけじゃなく)歌やダンスの先生がすごい人達ばかりと知って、これから新しい世界が見れるということへの期待が高まりました。
実際にサンズのステージ立ってみて
ステージに立つのは楽しいと思うタイプなので、緊張はしません。まず心に思っていたのは、観客に戦争の悲惨さ、国を愛する心、家族愛を伝えたいということです。伝えられたかな?と思います。
監督の「戦争は過去のことでなく、現代のウクライナでも起こっていることだから」このミュージカルで戦争の悲惨さを伝えたいという思いを聞いていたので。実際、ミュージカルのラストで、キャストがいなくなって、セットだけが残されるんですが、その悲惨さを表していると思います。
両親役の演技を間近で見て
演技を間近で見ることができたのは、本当にすばらしい経験です。
プロを見て、自分もこんな風に人を感動させられる人になりたいという思いが強くなりました。今は他にヒップホップダンス、クライミング、水泳、パルクール、数学も好きなので、どれか一つを選ぶことはまだ出来ません。でも人に感動を与えられる人になりたい、そんな仕事をしたいという思いは同じです。
※使用写真全て Base Entertainment Asia
もしまたオーディションあったら、やりたいです。もしまたサウンド オブ ミュージックがシンガポールに来ることがあったら、お兄ちゃん役をやりたいです。ただ高音があるから、声変わりしてたらだめだけど。
と驚くほど大人っぽく、自分で考えてきちんと話してくれたレンくん。正直驚きました。これもレンくんを支え、自分で選ばせるという事を幼い頃から続けてきたご両親の教育が影響しているのは間違いなさそうです。
お母さんのなぎささんによると長男(14歳)も同じようにやりたい事は全てやらせて、その中から自分で選ばせたので、この子にもそうさせましたとすてきな笑顔で応えてくれました。
レンくんもそんなお母さんに感謝しており、3日間のオーディション、13時間のリハーサルなど、常に付き添ってくれて送り迎えをしてくれたお母さんに感謝していますとのこと。
思い返すと筆者は子どもに強制するばかりで、全て選んでやらせてしまっていました。今更ながら後悔です。自主性を身につけたレンくん。これからも自分で考え、自分で選んで進んでいく事でしょう。
10年後には「あの中尾レンくんに最初にインタビューしたのは、SingsLifeよ」と言える日が来そうな予感がします。
サウンド オブ ミュージック、ラストスパート!
11月22日から始まったショーも12月18日に千秋楽を迎えます。
トリプルキャストで演じている子役たち。しかも子役はシンガポールの子供たち。通常のステージだと、親役と同じ人種が選ばれますが、サウンド オブ ミュージックはグローバルな社会に合わせて、純粋に役に相応しい子を選びました。そこがすばらしく画期的だなと思いました。
みんなが人種や国籍を超えて一つの家族に、というメッセージがあるような気がします。
頑張り屋のレンくんの残りの出演は12月13、16、17日の3回ですが、もちろん他のキャストの子どもたちも全力で頑張っています。トラップファミリーの子ども達は生き生きとパワフルに演じていたと賞賛されています。2022年最後に家族で見るのにぴったりの名作「サウンド オブ ミュージック」ぜひ。劇場へお急ぎください!
中尾レンくん
年齢:12歳
アメリカンスクール 6年生
身長:146cm、でも最近伸びたとか。
サウンド オブ ミュージック 場所:Sands Theatre@Marina Bay Sands 最寄り駅:BayFront駅 期間:2022年11月22日〜12月18日 時間:火〜金 19:30 土 14:30、19:30 日 13:00、18:00 チケットはこちら |
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この記事を書いた人
林じゅん子
長崎県出身。バブル期の東京で浮かれて過ごし、そのままシンガポールへ。気がつけば20数年!香港映画がきっかけでアジア芸能にはまり、シンガポール初日本人芸能記者(自称)に。ラジオ、雑誌ともに芸能一筋、出会った芸能人は数知れず。 現在はエンタメ以外の3大好物、イケメン、おいしいもの、アニマルネタ目を光らせる。期間限定&新製品にも目がない、ローカルどっぷりジャパニーズ