シンガポールのヘイズ(Haze)とは?健康への対策方法やお役立ちサイト活用方法のご紹介

シンガポールやアジア一帯で環境問題となっているヘイズ(Haze)。大気汚染物質も含まれ、ひどくなると私たちの健康にも影響を及ぼします。今回はそのヘイズの対策方法などを詳しくご説明します。



ヘイズとはなにか?

ヘイズ(Haze)とは、直訳すると「もや、かすみ、煙霧」のこと。インドネシア、スマトラ島での大規模な野焼きや森林火災で発生した煙がモンスーンによりシンガポールやマレー半島に広がる現象のことです。例年、インドネシアの乾季にあたる5月〜10月に観測され、市内の大気がかすみ、視界が悪くなり、焦げたような臭いがしてくることが特徴です。

人体にも有害な物質が含まれ健康リスクもあるため、国を超えた環境問題としてASEAN各国が協力し、対策に乗り出しています。


ヘイズが及ぼす影響は?

健康被害

MOH(Ministry of Health)によると、シンガポールでは長期的なヘイズの発生はなく、短期的なものであることから、ヘイズの影響としては目や鼻、のどへの刺激で、咳やくしゃみ、喘息、気管支炎、結膜炎などの症状ありますが、一般的には大きな健康被害は生じないとしています

ただし、心臓や肺に持病のある方は薬を常備し、医療機関の受診をするなどの備えが必要としています。また、汚染物質に対する反応は個人で異なるため、持病がない方でも気になることがあれば医療機関の受診をすすめています。特に、高齢者や小さいお子様、妊娠中の方には注意が必要です。


経済活動への被害

エルニーニョ現象により1997年のヘイズはより深刻なものとなり、より多くのシンガポール人が呼吸器系やヘイズの病気にかかり、観光産業に打撃を与えたことがあります。また、ヘイズにより飛行機の運航のとりやめなどにより活動日が制限され、生産性の損失が生まれる場合もあります。


ヘイズの注意度を表すPSIとPM2.5の指数

ヘイズの発生状況はシンガポール国家環境庁(NEA=National Environmental Agency)が毎日発表しているPSI(汚染物質基準指数)、PM2.5(微小粒子状物質指数)で確認ができます。

それぞれの指数は外出予定や屋外での活動予定の参考になります。また、健康な方、持病のある方、高齢者やお子様、妊娠中の方それぞれの屋外での活動範囲の目安が掲載されています。なお、職場の閉鎖はありませんが、学校はレベルによって授業内容が変更されたり、閉鎖となる場合があります。


PSI(大気汚染指数)

汚染物質基準指数(PSI)は、翌日の煙害ヘイズの深刻度を示すものです。

大気汚染指数大気汚染状況
0-50良好
51-100普通
101-200不健康
201-300とても不健康
300超危険



PM2.5(微小粒子状物質指数)

過去1時間のPM2.5の観測値データです。直近の外出や行動計画の参考にします。印象です。知らなかった!では済まされませんのでご注意ください。

過去1時間のPM2.5指数レベル(バンド)状況
0-551普通
56-1502上昇中
151-2503高い
251以上4非常に高い

出典:シンガポール国家環境庁



ヘイズが発生したら家庭でできること

家庭の中にできるだけヘイズ粒子を持ち込まないため、下記のようなことに気をつけるよう、シンガポール国家環境庁(NEA=National Environmental Agency)から喚起されています。

・屋外の空気の質が悪化している時はヘイズ粒子の家庭内への侵入率を減らすため、ドアや窓を閉める。
・屋外に出ず、運動量を減らす。
・タバコ、キャンドルなど屋内の空気汚染の原因を減らす。
・掃除機や乾拭きはほこりがたつため、モップや拭き掃除が効果的です。
・空気の循環、冷却のために扇風機やエアコンを使用できますが、エアコンから外気を取り込む場合は外気取り入れ口を閉じるなどの工夫が必要。
・空気清浄機を利用する。
・屋外の大気汚染指数が良好となれば、換気を行う。
・手洗い、うがいをする。



マスクは必要?

通常のマスクはヘイズ粒子を通してしまうのでヘイズに有効なマスクはN95マスクです。

健康な方:

自宅から学校や職場への通勤、バス停からショッピングモールへの移動など、短時間の屋外での滞在時にはNEAのホームページでは不要と明記されています。

ただし、健康な方でも大気質が危険域「PSI >300(危険なレベル)」の屋外に長期間いる必要がある場合、N95マスクを着用することで暴露を減らすことができます。

慢性的な肺疾患や心臓疾患のある方、子ども、高齢者、妊娠中の方:

大気汚染度が「とても不健康」というレベルの場合には慢性的な肺疾患や心臓疾患のある方は屋外活動を避け、子ども、高齢者、妊娠中の方に関しても屋外に出るのは最低限にとどめることが推奨されています。けれども、どうしても屋外に出る必要がある場合、N95のマスクは有効とされています。


ヘイズの情報をいち早く確認できるサイト

●シンガポール国家環境庁(NEA)のホームページ
PSI(汚染物質基準指数)、PM2.5(微小粒子状物質指数)

●アプリ「myENV」
シンガポール国家環境庁(NEA)の公式アプリ「myENV」で確認することが可能です。

myENV アプリでは、シンガポールの環境、水、食品に関する情報を確認することができます。最新のPSIと毎時のPM2.5情報はもちろん、天気、ホーカーセンターや食品衛生関連の情報を受け取ることができます。ダウンロードはこちらより。


実際にシンガポールでヘイズを体験した人の声は?

実際にヘイズの時期、シンガポール在住のSingaLife編集部員はどのように過ごしたのか、経験談を語ってもらいました。

体験談①
私の場合、学校や仕事以外ではあまり外に出ることはありませんでした…家族で空気清浄機を買って、窓を閉めてエアコンをつけていました。N95マスクを使っている人が多いです。

【関連記事】 
空気清浄機 シンガポール在住妊婦さんの体験レポ

体験談②
ヘイズがひどい場合は、屋内にとどまるか、屋外ではN95マスクを着用するようアドバイスされます。普通のマスクでも大丈夫なのですが、あまり効果がないようです。

私が直面した唯一の物理的な問題は、呼吸困難と視界のぼやけでした(ただし、これは霞が非常に高いときです)。N95マスクは決して安くはなく、入手も困難なため、前回ヘイズの時期に着用したシンガポール人は少なかったようですが…。

体験談③
我が家がシンガポールにきたのはコロナ禍(2021年1月)だったので、ヘイズが抑制されてる時期でした。しかし、コロナも収束に向かい、今年からヘイズが悪化するのではないかと言われています。
N95マスクを買ったり、屋内にいる時は窓を閉じるのがいいと、現地の方からは聞いています。

ちなみに去年の3月ごろ花粉症のような症状になり、ヘイズか?と思っていたのですが、病院の先生にマンゴーの花の花粉症とのことでご回答いただきました。シンガポールらしいなと思いました。

 

シンガポールに滞在するなら知っておくべきヘイズ

年によっては健康や経済に深刻な被害をもたらすヘイズ問題。さらに学校での教育活動やさまざまなイベントが中止される事態にもなり、私たちの生活に直接影響をもたらします。ヘイズが発生したら、すぐに状況を把握できるようにアプリの登録などをして備えておきましょう。また、空気清浄機の清掃やエアコンの排気口の確認もお忘れなく!

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。


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この記事を書いた人

SingaLife編集部

シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!

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