【大人の社会科見学】
シンガポールで楽しむイベントその305
-フォート カニングパーク-
歴史と熱帯雨林が調和する フォート カニング パーク
年間を通して強い日差しが降り注ぐシンガポールは、常夏の島でありながらも、快適な生活環境が整っています。その理由の一つは、街全体に豊かな緑があふれているからでしょう。
建国以来「グリーン シティ」を目指し、都市と自然が見事に調和するシンガポールは、世界的にも珍しい都市といえます。街中のあらゆる場所に公園が点在し、建物の壁面にも緑が施され、環境への配慮が感じられます。特にボタニック ガーデンは世界自然遺産に登録され、チャンギ空港内の庭園は、空港としては世界でも珍しい自然を重視した造りになっています。
そんなグリーン シティ シンガポールで、私が一番好きな公園が「フォート カニング パーク」です。この公園は自然に囲まれ、歴史やアートに触れられる上に、コンサートなども開かれるため、都会の喧騒から離れてリラックスできる特別な場所です。
フォート カニング パークはかつて「禁断の丘」を意味するマレー語「ブギ ラランガン」と呼ばれていました。王族が住む地として一般人の立ち入りが禁止されていたことに由来し、シンガポールの歴史的なルーツが感じられます。
現在も公園内にはマラッカ王国の創設者であるラジャ・イスカンダル・シャーの墓があり、多くの参拝者が訪れています。また発掘調査も行われ、当時の王族が身につけていたと思われる装飾品が見つかり、王族がここに暮らしていた証拠とされています。
やがて王族がこの地を離れた後、一度は忘れられた丘となったフォート カニングですが、1819年にシンガポールに上陸したスタンフォード・ラッフルズ卿の目に留まります。ラッフルズはここに邸宅を建て、シンガポールの街づくりをここから指揮しました。この建物は現在も残り、当時の雰囲気を感じることができます。
その後、この丘は軍事拠点としても重要視され、「フォート カニング」という名称が付けられました。この名前は、当時の総督、チャールズ・ジョン・カニング伯爵に由来しています。第二次世界大戦中には、イギリス軍の指揮拠点として機能し、日本軍の進攻を受けた際には、英軍の降伏に至る歴史的な決断がここでなされました。この出来事は「General Percival’s crucial decision」として、現在もバトル ボックスでその歴史を知ることができます。
公園内には、フォート ゲート、フォート カニング グリーン、フォート カニング センター、バトル ボックス、スパイス ガーデン、9ポンド砲、最初のキリスト教墓地、灯台など、多彩な見どころが揃っています。またSNS映えするスポットも多く、写真撮影を楽しむ人々の姿が見られます。
フォート カニング パークは、日本の吉野ヶ里歴史公園や荒神谷史跡公園に似た史跡公園ともいえるでしょう。ラッフルズ卿以前のシンガポールの歴史を感じる旅に出てみてはいかがでしょうか。幾層にも重なる歴史の魅力を味わえる特別な場所で、きっと新たな発見があるはずです。
◆大人の社会科見学 筆者
森山 正明 大人の社会科見学シンガポール版は、シンガポールで生活している方々へ、シンガポールの奥深さを知ってもらいたい思いで活動を始めました。「3カ月も住んでいればシンガポールは飽きてしまう」と巷では言われますが、なかなかどうして、この地ならではの楽しみは、尽きることはありません。 2013年11月からこのサークル活動を始めて約11年。行ったイベントは、200回を超え、その中から読者の方にもシンガポールの文化や習俗について年中行事を軸に紹介をして参ります。 ●大人の社会科見学の電子書籍版完成! 詳細はこちらから |
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
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この記事を書いた人
SingaLife編集部
シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!