【家庭内暴力が22%増】シンガポール警察調べ、外出制限の開始前と比較して。

世界中に拡大した新型コロナウイルスによって、多くの国で外出が禁止されたり制限されたりしています。
ストレスを感じる生活を強いられていることを背景に、懸念点として指摘されるのが家庭内暴力(ドメスティックバイオレンス=DV)です。
国連はDVの「パンデミック(世界的大流行)」が起きていると警鐘を鳴らしています。その懸念はシンガポールも例外ではありません。

「シンガポールでもDVが増加」と警察調べ

シンガポールで4月7日から始まった新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出制限措置(サーキットブレーカー=CB)。4月22日からはさらに制限が厳しくなり、理美容院の営業が停止(5月12日に営業再開)されたほか、屋外での運動も最小限にしてできるだけ自宅近くで単独で行うように通達されました。
このような制限措置の期間中、シンガポールでも家庭内暴力(ドメスティックバイオレンス=DV)が増えていることが、シンガポール警察の調べで分かりました。

4月7日〜5月6日で476件

シンガポール警察の調べでは、4月7日〜5月6日の期間中に、476件のドメスティックバイオレンス=DVが報告されています。この件数は、外出制限措置が始まる前の月平均(389件)と比べて22%の増加となっています。
DVの内容には、直接的な暴力のほか、脅したり不法に監禁したりする精神的な暴力も含まれています。

被害発生前に警察が介入

シンガポール警察はDVが行われる前に、DVのリスクが高いと判断した家庭に社会福祉サービス機関を紹介する取り組みをしています。その判断材料として、警察はその家庭で過去に起きたDV事案の内容や加害者の犯罪歴といった要因を勘案するとしています。
この取り組みは従来のものより一歩踏み込んだ対応で、DVの被害者が助けを求める前に警察が介入し、被害が深刻になる前に助けることを目指します。

DV発生家庭には定期的にコンタクト

また、シンガポール警察はDVの被害者に定期的にコンタクトを取り、現在被害を受けていないかどうかや、助けが必要かどうかを確認します。

加害者にも必要な支援を提供

シンガポール警察のDV事案に対する取り組みは、被害者だけでなく加害者にも支援を行います。
まず、DV加害者へソーシャルワーカーを紹介し、ソーシャルワーカーはカウンセリングをした上で、必要時応じてメンタルヘルスのサポートや財政的な支援を行います。
この取り組みは2019年にシンガポール警察の一部で始まりましたが、現在ではシンガポール警察全体で行っています。

当事者だけでなく周辺からも通報促す

シンガポール政府は、DVの被害が深刻になる前に被害者を救うためには、当事者だけでなく周囲もDVに気を配り、不自然な点を見つけたら報告するように求めています。
シンガポール内務省のSun大臣は、5月13日に次のように述べています。「報告するという簡単な行為が、DV被害者を苦しみから救うことに繋がります」

DV被害関連のホットライン

総合ケア
ナショナル・ケア・ホットライン:
1800-202-6868

暴力や虐待事案
Big Love Child Protection Specialist Centre:6445-0400
Heart @ Fei Yue Child Protection Specialist Centre:6819-9170
Pave Integrated Services for Individual and Family Protection:6555-0390
Project StART:6476-1482
Trans Safe Centre:6449-9088

婚姻関係や育児関係
Community Psychology Hub’s Online Counselling platform:CPHOnlineCounselling.sg

カウンセリング
Touchline (Counselling):1800-377-2252
Care Corner Counselling Centre:1800-353-5800

高齢者関係
Agency for Integrated Care Hotline:1800-650-6060

新型コロナウイルス感染者は2万6千人を突破

シンガポールでの新型コロナウイルスの感染者は、5月14日に新たに1,164人が確認され、感染者数の合計が26,098人となりました。


1日の感染者数が1,000人を超えるのは、4月23日以来で依然としてワークパーミットの外国人労働者間での感染が続いていることを示しています。

 

この記事を書いた人

SingaLife編集部

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