シンガポール国民がこよなく愛するタピオカドリンク。日本のように流行は終わってしまうのか。。。
シンガポールでは、新型コロナウィルスの感染拡大を食い止めるために4月に「サーキットブレーカー(CB)」と呼ばれる外出制限措置が導入されました。その時、愛好家が心配したのは、学校、仕事、外食はどうなるのか、ではなくバブルティー(シンガポールでのタピオカドリンク)でした。
“飲めなくなる”その前に深夜に買いに走る
インテリアデザイナーのシンガポール人、サビエルさん(25)は、タピオカドリンク店が4月21日に閉まると聞いてから、仕事に集中できなかったといいます。仕事がようやく終わった午後9時に、何度も買ったタピオカドリンク店に到着すると、長い行列が。サビエルさんがタピオカを買えたのは、2時間後だったそうです。
これはサビエルさんに限った話ではなく、シンガポール人のタピオカ好きは驚くほどです。ジョイスさん(48)は20年も前からタピオカのファンだそうです。20年前、タピオカドリンクは、今のように専門店はなく、露店や夜店で販売されていました。
ジョイスさんは、一回に6から8杯のタピオカドリンクを買い溜めするほどだったそうです。そして、2000年代後半になると、今でも有名なKoi茶やGong Chaなどの専門店が登場し、タピオカドリンクにさらにのめり込むことになります。
ジョイスさんは「バブルティー(タピオカドリンク)は私のエネルギードリンク。特に仕事で疲労がたまっている時の景気付け、または仕事中の気分転換にもバブルティーにお世話になっているのよ」と語ります。
ジョイスさんの夫はこう話します。「サーキットブレーカー中、大好きなバブルティーが購入できないジョイスはイライラしがちだった」と。
シンガポール人がタピオカを好きな理由
自身もタピオカドリンクが好きだという、シンガポール社会科学大学の心理学科長のエミリーさんは、その理由を「周りの友人や社会と簡単にその体験を共有できるから」と述べています。
一般的にタピオカドリンクは、それほど高価ではない上に甘さなどを自分好みにカスタマイズできます。それをSNSなどで発信することで、交流が生まれ、相手と絆が深まったように感じさせるといいます。
また、デザートと飲み物の中間のような位置付けなので、心理的に「支出に見合う効用を得られる」と思われているそうです。さらに、生物学的観点からは「タピオカドリンクには砂糖とカフェインが入っているので、中毒性も多少ある」と付け加えました。
シンガポールのバブルティー革命
シンガポールで初めてのタピオカドリンク店ができたのは、1992年と言われています。マリーナスクエアにできたそのタピオカドリンク店は、今のようなタピオカドリンク店とはコンセプトが全く異なりました。
当時のその店で出されていたタピオカドリンクは、カクテルグラスに注がれて、トッピングやフレーバーの種類も限られ、値段も2ドル程度でした。人気に火が付き、その後シンガポール内で店舗が増加し、飽和状態に。シンガポール工科大学ビジネススクール講師のリム氏の調べによりますと、当時の記録を参考にすると、2002年までにシンガポールにおよそ5,000ものタピオカドリンク店があったそうです。
乱立した結果、タピオカバブルは弾け、タピオカ熱は下火になります。
タピオカ熱再び
現在、シンガポールでのタピオカ熱はまた高まっています、その理由を一つに絞ることは難しいですが、多様化が一つのキーワードになることは間違いなさそうです。
価格帯
価格帯も広がりを見せ、高いものでは$5を超えるような店もあります。
抽出方法
・水出しのタピオカ。
「”水出し”はカフェにとっては目新しくはありませんが、タピオカではかなり革新的です。茶葉を冷水に10時間浸す必要があります」とシェラティーの広報は説明しています。
手作りタピオカ
PlayMade(プレイメイド)は材料から作り上げ、様々なタピオカを提供しています。焦がしキャラメル、ブラウンシュガー、シュガー液などもイチから作っているそうです。
自宅で楽しめるキット
The Whale Tea(ザ・ホエール・ティー)は、自宅でタピオカ入り焙煎ウーロン茶や、ブラウンシュガータピオカ茶などの飲み物を作ることができる自作キットを販売。オンラインオーダーもできます、予想以上に好評で、1000セット以上売り上げたそうです。
健康的視点からタピオカを考える
健康の面からタピオカを見てみましょう。身体への影響はどのようにあるのでしょうか。シンガポールのバークウェイイースト病院の栄養士であるシムさんは、お茶自体のカロリーは低くポリフェノールが豊富に含まれていると話します。
ただ、その一方で、タピオカバール、シロップ、砂糖などの成分は炭水化物を大量に含み、糖分も多いため、肥満や心臓病、糖尿病などのリスクが高まる可能性があると指摘しています。たとえ、砂糖を少量にしたとしても、タピオカを飲むのは、週に1杯から2杯にとどめておくことが重要です。
シンガポールのタピオカの行方
2000年初頭に起きたようなバブルが弾けるという可能性は低く、タピオカ市場は2023年までに4.4億シンガポールドルに達すると予測されているそうです。
シンガポールのタピオカ業界は、価格や風味、品質、糖レベルのチョイス、市場のニーズへの適応能力があるため、流行ではなくシンガポール内で定着した感があります。
味だけではなく、インスタ映えを狙うなどマーケティング 活動にも力を注いでおり、過度な値引きをしてブランドイメージや利益率を下げるようなこともしない企業が増えています。
そのため、シンガポールでのタピオカは安定的な人気を維持し続けることでしょう。
日本では、過熱した流行が弾けて閉店が相次いでいるというニュースも見かけましたが、シンガポールでへ引き続き美味しいタピオカを楽しめそうです。
あ!摂取量は程々に。
この記事を書いた人
SingaLife編集部
シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!