シンガポール政府 女性看護師のヒジャブ着用解禁を検討

シンガポールのシャンムガム内相兼法相は3月23日、イスラム教指導者らとの協議の中で、女性看護師が勤務中にヒジャブ(イスラム教徒の女性が頭髪を隠すためにかぶるスカーフ)を着用することを禁止している方針を転換し、着用を認めることを検討していることを明らかにしました。

シャンムガム氏は、ヒジャブをめぐる規定について「政府は変更する十分な理由があると認識しており、政府内の議論やイスラム・コミュニティーなどとの協議を進めている」と説明。話し合いにあと数カ月を要するが、規定が変更される可能性が高いとの見通しを示しました。シャンムガム氏の発言を受け、イスラム教団体からは、歓迎の声が相次ぎました

その1つ、シンガポール・ムスリム女性協会(PPIS)のハズリナ・アブドゥル・ハリム会長は24日「公共の場において多様性と包摂性が育まれる女性にとって平等な社会の実現には、社会の協力が欠かせない」とコメント。その上で「性別や宗教などのアイデンティティーを表す目印は、仕事の質に影響を及ぼさない」として、実績に応じて勤務評価が行われる必要性を強調しました。

ただ、ヒジャブの解禁をめぐっては、話し合いに出席したイスラム教宗教師の車の上に、何者かが侮蔑的なメッセージを記した封筒を置くといった事件が発生。宗教や民族といった機微に触れる問題を考慮して、解禁の是非を問う議論は非公開で行われるとのことです。

多様な民族から成るシンガポール社会。宗教がからむ問題は、私たち日本人の想像以上に複雑なようです。

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SingaLife編集部

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