駐在夫、子を育てる-27- 公園

これはシンガポールに駐在する妻に帯同し、“駐在夫”として家事や育児に奮闘する日々を綴ったコラムです。シンガポールのフリーマガジン「シンガライフ」誌上で連載しているものに一部加筆して、ウェブでも公開しています。

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保育園に通わせているモモタ(仮名)のお迎えの帰りによく近所の公園に立ち寄る。夕方の公園に流れている”ゆるさ”がとても心地いい。乳幼児を連れた母親(父親はあまり見かけない)やメイドさんが、それぞれのスタイルで赤ちゃんとの時間を過ごしているのを見ると、和やかで、微笑ましい。

その公園は広場のイメージに近く、芝生エリアのほか、ゴンドラ型のブランコが数台あるだけの広場だ。ただ、そこは午後4時半を過ぎると、近所の乳幼児を抱える家庭の母親やメイドさんで賑わい始める。もちろん散歩中の成人もいるが、この時間帯の主役は圧倒的に子どもたち、それも乳幼児たち。

公園のベンチで生後数カ月と思しき子どもに離乳食を与えている欧米系のお母さん。「昼間そこは犬がおしっこしていたぞ」という芝生エリアをずり這いさせているメイドさん。おじいちゃんと、ブランコにゆらゆらと揺られる孫?ひ孫?は、ブランコの手すりを舐めまくっている。

日本人の感覚からすると「虫が怖いし汚れるし、ええそんなところ汚いでしょ!」と思うような場所でも構わず、子どもを自由にさせている。モモタをベビーカーに乗せて広場内を周遊していると、こうしたゆるい光景が見られることが微笑ましいし、シンガポールで子育てをする楽しみの一つだと思う。”多様性”をこんなにも実感できるのが公園なのだ。いい時間の流れ、いい場所だと感じている。

「うるさいから子どもたちを公園で遊ばせるな!」と怒鳴りつけるような頑固親父もきっとシンガポールにはいないんだろう(と勝手な思い込み)。

ただ、少し寂しさを感じるのは、こんなにも”多様性”がある広場なのに、日本人の姿が少ない(子連れの男性が少ないのは平日だからだろう)ことだ。日本人が多く住むエリアなのに。今はまだずり這いしかできないモモタだけれど、歩くようになったら公園(広場)デビューをさせてみよう。保育園とは違う場所でモモタが他の子どもたちとどんな交流をするのか、楽しみだ。

そして親たちは、私の拙い英語でコミュニケーションが成立するのか、そこは不安だ。


この記事を書いた人

SingaLife編集部

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