シンガポール開運ウォーク|第三回「マリーナ地区一周で体感する富の風水マスタープラン」

シンガポールを歩いていると、不思議なデザインのビルに出逢います。「これは、風水を考慮して造られたものなのだろうか」そう思いながら見上げることも多く、好奇心をかきたてられます。

中華系の人々は開運習慣を自然に生活に取り入れているそうなので、その事とも関係がありそう…。

そんな疑問を掘り下げるべく、世界的に活躍をされ、シンガポールにも多くのビルを建築された藤堂高直さんにお話を伺う大人気連載、最終回です!

藤堂高直さん

シンガポールの建築事務所での藤堂さん(写真右)

バンコク在住の建築家/陶芸家/執筆家。1983年東京生まれ。15歳で渡英し、ケンブリッジ・アート・アンド・サイエンシズ(高校)を経て、世界最古の建築専門大学AAスクールで学び、卒業後建築家としてのキャリアを開始。2019年よりタイの最高学府であるチュラロンコン大学の国際建築学科(INDA)にて教鞭を執る

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シンガポールと言えば思い浮かべるのは何でしょうか?多分、マーライオン。最近ではマリーナベイサンズだと思います。それらはマリーナ貯水湖を囲む様に配置されています。

これら以外にも水上に浮かぶ球形のアップルストア、ドリアンに似たアルミニウム折版の外観が特徴的なエスプラナード、蓮の花を連想させるアートアンドサイエンス・ミュージアム、シンガポールフライヤー、マリーナ地区の高級ホテル群、重厚な外観の旧中央郵便局であるフラトンホテルなどなど。

マリーナ貯水湖を囲むマリーナ地区の景観はシンガポールの歴史、富と成功を象徴している場所と言えます。そして、その象徴性の裏には壮大な風水のマスタープランが隠されております。

マリーナ地区

先ずは風水の語源から説明したいと思います。

風水とは本来、悪い風を防ぎ、良い風を招き、水の恵みと財を得る、ということです。つまり、水と風を操作して良い気を招く考え方と言えます。

特に「水は気」と読み替えても良いほど、風水では大切にされています。この良い気の中心がマリーナ貯水湖です。そして、この貯水湖を守るべくマスタープランが作られております。この様な風水の考え方をラン頭と言います。ラン頭では「龍(りゅう)・穴(けつ)・砂(さ)・水(すい)」と言う四要素から土地の吉凶を判断します。

シンガポールでは、古来は川が龍の象徴でした。最近では道路も龍とみなす場合もあります。マリーナ地区においてはシンガポール川が「龍」にあたります。

因みに龍が通る流れは「龍脈」と言います。龍は蛇行した起伏のある土地を好むと言われていて、平坦な土地には不作をもたらし、起伏に富んだ土地には実りをもたらすと言われます。

実際にシンガポール川沿いを歩いてみると高低差のある開発が続いており、人工的に起伏のある土地を構築していることがわかります。

建物の高さ制限やボリュームは都市開発省(URA)が強い権限を持っているので、意図的に建物のボリュームを操作させたのでしょうか。ちなみに、シンガポール川はカラン川と河口で合流して水門に到達するのですが、上空写真でマリーナ貯水湖周辺を確認をすると全体で龍の頭のように見えるのは風水的な意図であるように思えます。また、一説には子宮の形を模しているとも言われており、マリーナ地区へ向けて富を生むと読む場合もあります。

龍脈であるシンガポール川から運ばれて来る強い気は、マリーナ貯水湖に流れ込みます。ここには強い気が集中するため、世界の金融中心地の一つであるCBD、文化活動の中心地エスプラナード、国家の象徴であるマーライオン、商業活動の中心であるマリーナベイサンズが集まっており、正にシンガポール成功の象徴とも言えます。

これらは全て国家繁栄を達成させるという強い意志で人工的に構築されました。このような場所があれば強い気が集まる場所と考えて良いでしょう。気の流れを活用するためには、気の流れである龍脈と気の集まる場所である龍穴を見つける必要があります。

砂は小さな山や丘を指します。穴は気の集まる場所です。しかし、そこに風が吹くと気は吹き飛ばされてしまいます。ですので、穴の左右を囲むように山や丘に当るものを配置して風を防ぎます。

マリーナ地区においてその役割を果たしているのがマリーナベイ・サンズです。この特異な形状の建物は三棟のタワーとそれらが支える船の様なプールから構築されております。この三つのタワーは漢字の山を象徴しており左右に広がりマリーナ地区の気を逃さないように設計されています。

また、マリーナベイサンズの形は風水的に「三人の衛兵」と言われたり、船の部分は「智慧の帽子」と言われています。

もし、良い気の溜まる場所を見つけても周りに砂に当るものがないと、力を蓄えることができないので気を付けないといけません。

マリーナ地区を上空から見るとマリーナベイサンズの背後に「ガーデンバイザベイ」という公園が見えます。そこには人口の川が設けてあり水の役割を果たしています。このようにマリーナ地区は教科書的なラン頭を用いた強い気を蓄える場所となっています。

マーライオン

では、全体のマスタープランから、マリーナ貯水湖を散策しつつ、運気を高めて行きたいと思います!先ずはマーライオンから移動を始めましょう。

今ではマリーナベイサンズの方が有名になりましたが、一昔前のシンガポールの象徴と言えばマーライオンでした。マーライオンは11世紀ごろのマレーの伝説に由来しております。

あるマレーの王族が対岸に見える大地を目指して航海に出た際に海が荒れました。王族が自らの王冠を海に投げると海は平穏になり大地にたどり着きました。その際にライオンが現れ王族に大地を収める事を許し、以来その大地をライオンの町、シンガプラ、としてマーライオンを守り神としました。

マーライオンはシンガポールの守護神であると同時に口から水を提供している事から、シンガポール川と共に龍としても扱われています。また、ここはシンガポール誕生神話を象徴する場所とも言えます。

エスプラナード

時計回りに湖を移動するとエスプラナードが見えてきます。ドリアンの様な特異な外観が特徴的です。

これらは太陽の運航に対応したアルミニウムの折板で出来ており直射日光を遮りながら反射光を建物内部に取り入れる工夫がされた建築物です。

それぞれ折板の角度はコンピューターの計算で導き出されており、コンピュテーショナル・デザインの先駆けとも言えます。同時にこの場所はシンガポールにおける文化活動の象徴でもあります。

マリーナ地区のホテル群

13の文字を描くコンラッド・ホテル

その先にはマリーナ地区の高級ホテル群が見えます。それぞれの建物には風水の工夫が散見されます。

リッツカールトンホテルは吉数である八角形の窓を有しています。「八」は「発」と広東方言で音が似ています。「発」は金持ちになるとの意味があります。また、八角形は風水で調和をする形として認識されています。

コンラッドホテルの外観には数字の13が描かれております。広東方言では「十三」は「実生」と音が近く「実る」と言う意味があります。13は世界的に凶数と言われているので、面白いですね。

奥行きがきっちり280メートルのミレニアムウォーク

ミレニアムウォークは全長280メートルあります。28に関してご説明をすると、2の事を「両」と呼びつがいの意味があります。8の「発」と組み合わせると「つがいで金持ちになる」という縁起の良い意味になります。

また、ミレニアムタワーは最上階がピラミッド状になっており、夜には赤く発色する特徴的な外観です。この建物は火の属性を持っているそうです。

少し先のシンガポール・フライヤーは28個のポッドで構成されており、それぞれのポッドの定員が28名です。完成は2008年で、これまでかと28を多用しています。

ですが、シンガポール・フライヤーは開業時には外向きに回転しておりました。これが原因で2008年のリーマンショック時に富(水)が外に流れたと言われており、至急回転方向を内向きに変更すると世界でも最速で景気回復をしたそうです。

観覧車

マリーナベイサンズ

高級ホテル群を抜けヘリックス・ブリッジを渡るとマリーナベイサンズに到着します。ベイサンズ地区にはこの橋とガーデンバイザベイへと繋がる橋とモール正面の入口の三か所にある入口で三角形を構築しており、これが七星打劫と呼ばれ北斗七星の一部を構築します。これにより繁栄を招くと言われています。

ただ、風水を優先させた構成の為に一部動線が不便にはなっています。また、北斗七星や北極星は古来より天を支配する王として考えられておりました。その周りには王を守る四方神象、朱雀、玄武、白虎、青龍がおります。

マリーナベイに面した湖畔はアップルストア等の浮島を設けて鳳凰が翼を広げる様な形をしており、朱雀を表しております。

蓮の花を表しているアートアンドサイエンスセンター

アートアンドサイエンスセンターは白く塗装されている様から白虎。マリーナベイのモールは内部に水脈を抱える事から青龍を表しております。ベイサンズは玄武を司るそうです。

不思議な点はマリーナベイは全体のマスタープランもそうなのですが正確な風水とはズレております。ただし全体の配置は正しいので問題はないのかも知れません。

これらとは別に、アートアンドサイエンスセンターは蓮の花を表しており、人を迎える意味合いがあります。また、地下階に二か所で流れる滝はマリーナ湖の富を取り込む意味を表しています。

プロモントリー公園とCBD

プロモントリー公園からマーライオンまではシンガポールのCBD(商業的中心地区)となっております。背後に見える高層ビル群もそれぞれで風水的な表現をしておりますが、詳しくは第二回を参照にして下さい。

マリーナ地区を一周する事でシンガポールの国柄(マーライオン)、文化(エスプラナードとアートアンドサイエンスセンター)、富(マリナーベイサンズとCBD)を肌で体感する事が出来ます。また、ラン頭で守護されたマリーナ貯水湖や四方神象に守護されたマリーナベイサンズからは成功するための良い運気を受ける事が出来でしょう!

3回に渡りお送りしました藤堂さんの開運ウォーク解説、いかがでしたでしょうか?

シンガポールの街が風水的な見地から計画されていることをよくご理解して頂けたかと思います。是非、皆さんも気持ちの良いウォーキングの時間をお過ごしください。



この記事を書いた人

栗尾モカ

ライター/ コミックエッセイスト 美大デザイン科卒業後、航空会社CAを経て出版社へ  「女のネタ帖」(学研)「サロン・ド・勝負」「おしゃれレスキュー帖」(KADOKAWA)