【現代ポップアート×シンガポール】話題のカウズホリデー、シンガポールで開催。一時中止になるも無事終了

元外交官 × エコノミスト 川端 隆史のアジア新機軸

11月13日から21日、マリーナベイに巨大な愛らしいキャラクターが登場した。コンパニオンというポップカルチャーの芸術作品だ。

作者は、米国ニュージャージー州生まれのカウズ(KAWS)という人物であり、本名はブライアン・ドネリーだ。カウズは日本でも人気があり、直近では10月に東京の森アーツセンターギャラリーで行われた「カウズトーキョーファースト」という展示会が催された。UNIQLOとのコラボ商品が記憶にある読者もいるかもしれない。

シンガポールに登場した巨大コンパニオンは、全長42メートル。マリーナベイサンズを背景に、親子で寝そべっているバージョンだ。2018年にスタートした「カウズホリデー(KAWS:HOLIDAY)」という世界各地をまわる展示の一環として行われた。

シンガポールの前には6カ所で実施済みである。日本では富士山の麓に登場し、有名人も駆けつけるなどポップアートファンの話題をさらった。他には、ソウル、台北、香港、ブラッドフォード、そして宇宙にまで行ってしまった。

シンガポールの展示は、微笑ましい雰囲気だったが、実は裁判沙汰が発生していた。展示の開始直前になって、イベントを主催している香港のクリエイティブスタジオであるオール・ライツ・リザーブド社(ARR)に対して、裁判所が展示中止の命令を出した。

訴えを起こしたのは、シンガポールのNGOであるザ・ライアン・ファンデーション(RF)である。RFは過去にARRとカウズホリデーの共同企画をしていたが、ARRが無断に単独開催をし、知的財産権の侵害に当たると主張した。これを受けて、裁判所は借り差し止め命令をしてグッズの販売も一時停止を命じた。

ただ、結局のところ、2日後には取り消されて、ARRは、「シンガポールの人々が“KAWS:HOLIDAY”を楽しむことでパンデミックによるストレスを解消し、美しいマリーナベイの海岸でリラックスできることを願っています」との声明を出し、無事に最終日を迎えた。

現代ポップアートの巨匠による作品が登場する次の都市は、世界のどこになるだろうか。

Float@Marina Bayに現れた巨大な「コンパニオン」(筆者撮影)

*2021年11月22日脱稿

プロフィール

川端 隆史 かわばたたかし

クロールアソシエイツ・シンガポール シニアバイスプレジデント

外交官×エコノミストの経験を活かし、現地・現場主義にこだわった情報発信が特徴。主な研究テーマは東南アジアや新興国を軸としたマクロ政治経済、財閥ビジネスのグローバル化、医療・ヘルスケア・ビューティー産業、スタートアップエコシステム、ソーシャルメディア事情、危機管理など。

1999年に東京外国語大学東南アジア課程を卒業後、外務省で在マレーシア日本国大使館や国際情報統括官組織等に勤務し、東南アジア情勢の分析を中心に外交実務を担当。2010年、SMBC日興証券に転じ、金融経済調査部ASEAN担当シニアエコノミストとして国内外の機関投資家、事業会社への情報提供に従事。2015年、ユーザベースグループのNewsPicks編集部に参画し、2016年からユーザベースのシンガポール拠点に出向、チーフアジアエコノミスト。2020年12月より現職。共著書に「東南アジア文化事典」(2019年、丸善出版)、「ポスト・マハティール時代のマレーシア-政治と経済はどうかわったか」(2018年、アジア経済研究所)、「東南アジアのイスラーム」(2012年、東京外国語大学出版会)、「マハティール政権下のマレーシア-イスラーム先進国を目指した22年」(2006年、アジア経済研究所)。東京外国語大学アジアアフリカ言語文化研究所共同研究員、同志社大学委嘱研究員を兼務。栃木県足利市出身。



この記事を書いた人

SingaLife編集部

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