シンガポールの国旗の由来や意味、取り扱いルールまで!まるごと解説
2022年8月に建国57周年を迎えるシンガポールですが、皆さんはシンガポールの国旗の由来や意味、取り扱いルールなどについてはご存じですか?シンガポールで暮らす際に、ぜひ知っておきたい「国旗」のこと。
今回は、シンガポールの国旗に込められた意味や制定の歴史、取り扱いルールについてご紹介します。
シンガポール国旗の色・三日月と星の意味
1959年に制定されたシンガポール国旗ですが、上下を二分して、上が赤、下が白になっています。赤は「普遍的な親愛」と「人類の平等」を、白は「澄みわたり、永遠に続く純潔と美徳」を意味しているそうです。
また、国旗の赤いところの左上には白い三日月があり、その隣には、五つの星が円形に配置されていますね。この三日月は「勢いのある若い国家」、五つの星は「民主、平和、進歩、正義、平等」を表しているそうです。
シンガポールの空にはためく国旗には、建国の想いがたくさん込められていることが分かります。
シンガポールの国旗ができるまでの歴史
現在の国旗は1959年にはできていた?
現在使われているシンガポール国旗は、実は1959年には完成していたというのをご存じでしょうか。
シンガポールは、18世紀以降にイギリスの植民地になったり、1942年から1945年の間には日本軍占領下にあったりという経緯があります。第二次世界大戦後、日本が降伏したことで、シンガポールの統治権は再びイギリスに移りました。
そのイギリスから自治権を獲得し、1959年シンガポール自治州となります。建国の父、リー・クアンユー首相が誕生したことは、誰もが知る史実ですね。このとき、内閣で協議が重ねられ、完成したのが現在も使用している国旗です。
国旗のデザイン制定の歴史
1959年にシンガポールがイギリスから自治を獲得したとき、シンガポール自治政府の副首相トー・チンチェ氏は、約140年近くにわたり掲げられていた、イギリスのユニオン・ジャックに替わる新しい国旗を制定するよう任命されました。
トー副首相は、国旗のデザインについては、揺るがないアイデアを持っていました。現在の国旗に表現されている三日月と五つの星のことです。
他の国旗と混同しないよう、トー副首相は国連に参加する国の国旗を調べ、いくつものデザインを内閣に提案したそうです。
しかし、トー副首相は、現在の国旗の「赤と白」のデザインについて、実は賛同していなかった?!のでした。
シンガポール国立アーカイブの歴史インタビューで、トー副首相は次のように語っています。
「私は内閣が決定するために、(赤と白とは)違う色の見本を制作しました。なぜ赤と白、あるいは白と赤の組合わせが使えないかについて説明しました。赤の上に白の国旗はポーランド、白の上に赤の国旗はインドネシアの旗だったからです。」 トー・チンチェ氏(1989年) |
※National Heritage BoardのNational Flag参照
しかし、慎重に審議した結果1959年11月18日、議会によって、赤と白のシンガポール国旗、さらに国章と国歌が制定されました。
そして、同年12月3日、元首にユソフ・ビン・イサーク氏が就任。宣誓式が行われ、シンガポール国旗は、市庁舎の階段に初めて掲げられました。
その後、1965年の国家独立の際に、正式にシンガポールの国旗として採用されることになりました。
シンガポールの国旗には、取り扱いのルールがある?
シンガポールの建国の想いが詰まった国旗は、国家のアイデンティティを示す大切な象徴だということがよく分かりましたね。
こうした経緯から、実は、シンガポールでは国旗の取り扱いルールが細かく決められているのです。ルール違反してしまうと、罰金も規定されているので注意が必要です!
シンガポール政府のサイトを参照し、気を付ける点をまとめてみました。ぜひご参考になさってみてください。
シンガポール国旗の取り扱いルール
① いかなる時も、国旗は「尊厳」と「敬意」をもって扱うこと。
② 常に国旗の正しい色と形を保つこと。(縦横比は「3:2」)
③ 旗を屋外に掲げる場合、建物の上または前に掲げること。
④ 建国を祝う期間(7月1日~9月30日)以外は、国旗はポールからのみ掲揚し、夜間はライトアップすること。
⑤ 国内では、国旗は他の旗よりも上もしくは左に掲揚して、敬意を払うこと。
⑥ 使用できないもの:
-商用、広告としての使用
-家具や装飾の一部としての使用
-個人葬儀の際の装飾など
-衣装として使用したり、自家用車に使用する
-国旗に描画したり、文字を挿入する
ちなみに、国旗が退色したら交換し、破損した際は、黒いごみ袋に入れて見えないように廃棄するそうです。また、汚れて洗った場合は、他の洗濯物と一緒に干さないこと、とも書かれていますよ!
国旗の取り扱いが緩和される時期
細やかなルールに基づいたシンガポール国旗の取り扱いですが、毎年7月1日から9月30日までの建国を祝う期間においては、そのルールが緩和されます!
もちろん、8月9日の建国記念日を盛大に祝うためですが、この期間には、ミニフラッグやポスターなどが至るところに飾られ、国旗がより身近に感じられます。
ルールの緩和例としては、他にも、衣装や自家用車(霊柩車は除く)に国旗を使用できたり、ポール以外への掲揚が可能になったり、夜間のライトアップが不要になったりします。
この他、政府のサイトでは、国旗の掲揚の仕方やたたみ方など、細部にわたり記載があります。シンガポールで生活する上では大切なルールですし、中にはユニークな記載もあります。ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。
国旗から分かる、シンガポール建国の想い
以上、今回は、シンガポールの国旗について、意味や制定の歴史、取り扱いルールについてご紹介しました。
激動の歴史をたどってきたシンガポール。そんなシンガポールの国旗には、多くの意味が込められていたことが分かりますね。
ルールばかりで大変だなと思うことがあるかもしれませんが、制定された背景を知ると、国旗をより大切にしたくなりませんか?次の建国記念日には、ぜひ友好の印または敬意を込めてシンガポール国旗を手にし、お祝いしましょう!
この記事を書いた人
SingaLife編集部
シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!