駐在夫、子を育てる-50- しゅふの力

これはシンガポールに駐在する妻に帯同し、“駐在夫”として家事や育児に奮闘する日々を綴ったコラムです。シンガポールのフリーマガジン「シンガライフ」誌上で連載しているものに一部加筆して、ウェブでも公開しています。

載の過去記事一覧はこちらから


長男のモモタ(仮名)が生まれてからおよそ1年半。兼業主夫として育児と家事を担ってきた。これまでの1年半で身についた、しゅふ(主婦、主夫)の力をここで列挙したいと思う。ときに「無償労働」と揶揄され、履歴書に書くことすらままならない「しゅふの力」。だが、実際にはこんな力(能力)を発揮しているんだぞ、というのをみなさんに知ってもらいたいのである。


経理の力
毎日、毎週、毎月という超短期、短期、中長期という視点で、やりくりする経理の力。会社員であれば、決算が赤字になってもすぐに自分の給与が激減することは少ないだろうが、家計では赤字になるとダイレクトに跳ね返り、切り詰めなければならなくなる。珈琲ですら外でなく家で飲もうとなるのだ。

生産管理の力
2〜3日分の食材を一度に買うことが多い、しゅふ。それは数日先の献立まで見据えているからにほかならない。食材を無駄にしないように、かつ同じ食材でも前日と同じ味付けを避けるために頭の中で複数のパターンを組み立てる。そして、どれくらいのご飯を作れば(生産すれば)家族が満たされるのか。それを見極める力が生産管理の力。ご飯が余っても困るし、足りないともっと困る。日常から家族の食べる量を観察しているからこそ、なしえることである。※だからいきなり「今日は晩ご飯、要らないから」と言われると計算が狂うので、腹立たしくなる。

納期を守る力
お腹を空かせている子ども(時に配偶者)に時間通りに食事を提供しなければならない。一番気を抜けないシーンだ。時間を守ればよし、ではなく、納品物(食事)のクオリティも高いレベルで求められる。低いクオリティだと、食べてもらえない。家族は取引先よりもシビアなのだ。

タイムマネジメントの力
1時間のお昼休みを少し早めに切り上げて夕飯の下準備を行う。トイレ休憩の際に、洗濯物を干したり、取り入れたり。仕事のことだけに集中することが難しいのが働くしゅふ。家事のことを、頭の片隅に置きながら勤務している旦那はどれくらいいるのだろうか。

コスト削減の力
日々の買い物の中で身に付くのが、コスト意識。この食材は、この店で買うのがお得、あの食材はあの店で買うと質も価格もGood。日々の生活で、とても価格に目ざとくなる。それは、企業の経理以上にシビアだ。事業に欠かせないコスト意識を最前線で実践しているのがしゅふ。

コミュニケーションの力
勤務先という組織に放り込まれれば、いやでもコミュニケーションを取らなければならない状況になるけれど、勤務先がない場合には、新たに人間関係を築くためには高いコミュニケーション力が必要となる。とくに圧倒的マイノリティの駐在夫の場合には。

ーーー

これだけの力を発揮させて、毎日毎日家族の生活を回しているのである。


この記事を書いた人

SingaLife編集部

シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!