シンガポールのビーチを綺麗に保つため、ゴミを拾う団体Small Change Lasting Impactの代表者にインタビュー 〜第一歩を踏み出すためのきっかけに、小さな変化を人々へ〜

最近メディアでもよく取り上げられるSDGs。新聞やニュース、学校でも授業で取り扱われるようになり、地球規模の大きな問題として危機感が高まっています。

ここシンガポールでも環境問題への関心は高まり、2021年の2月には環境行動計画「シンガポール・グリーンプラン2030」として、国を挙げて取り組むべき環境政策のプランを提示しました。環境に優しいエネルギー源を確保し、クリーンな燃料車の普及を後押しする方針を示しています。

そこで今回は、普段からゴミ拾いの活動をしている筆者が、シンガポール人で海洋ゴミを拾う団体「Small Change Lasting Impact」にインタビュー。主に海沿いでゴミを拾っていると話してくれた代表のTeck Koonさんに、どういった活動をしているのか、海でゴミを拾う理由、自身の活動がSDGsにどう繋がるかなど質問に答えていただきました。

代表のTeck Koonさん




シンガポールの廃棄物処理の現状

・シンガポールの廃棄物は過去40年間で7倍に増加。

・2017年には約770万トンの廃棄物が発生。
毎日、発生する家庭ごみの約79%が、4つのごみ焼却プラント(WTE)の1つで焼却される。ただし、焼却する廃棄物が多いほど、二酸化炭素排出量は多くなる→地球温暖化と気候変動の一因に。

・焼却された灰と他の焼却不可能な廃棄物は、セマカウ島の埋め立て地へ。
セマカウ埋立地はシンガポールで唯一の埋立地。毎日2000トン以上のWTE焼却灰と焼却不可能な廃棄物を受け取っている。

・現在の廃棄物の増加率では、セマカウ埋立地は2035年までにスペースが無くなる




[Small Change Lasting Impact] Teckさんへインタビュー

-ゴミ拾いグループの活動はいつから始めましたか?

2017年に、サステナブルな取り組みを共有するためFacebookグループを立ち上げたところからスタートしました。

2017年10月と11月にダイバーでもある、Small Change Lasting Impactの創設パートナーが、シンガポールの無人島「ラザロー島」でダイビングと海でのクリーンアップを始めることにし、少しずつ規模を広げていきました。

毎月ボートチャーターの助けを借りながら1年ほど海のクリーンアップをしていましたが、チャーターの都合がつかなくなった後は場所をビーチに移しました。これをきっかけに、より多くの人が参加できるようになりました。



-何人の会員が参加していますか?

チームは現在、私と調整役の2人のボランティアです。それ以外はクリーンアップに参加したい時に誰でも参加できるように都度、ボランティアの募集をして活動しています。


-ゴミ拾いの場所はどのように選んでいますか?

雨季、乾季など季節によって変わります。ビーチのゴミの量は年間を通じて季節によって変動があり、クリーンアップする場所を決めるために事前に視察にいくこともあります。特に汚れているビーチを見つけたら、次のクリーンアップの場所として決定しています。


-ゴミはどこにたくさんあり、どんなものが多いですか?

場所にもよりますが、毎回平均して約100〜150kgのゴミが集まります。500kgを超えるゴミが集まることもあります。

ゴミの種類は、食品包装、ストロー、ビニール袋、ボトル、食品包装紙、フォームボックスなどの小さなプラスチック製品が多いです。バッテリーや携帯電話、ドローンなどの電子製品、または、ドア、ジムのベンチ、家電製品、冷蔵庫のドアなど大きいゴミが見つかることもあります。



-ゴミ拾いから見えてくる問題点はありますか?

私たちが拾っているゴミから、シンガポールにはポイ捨ての問題があることがはっきりとわかります。ビーチで見つけたゴミのラベルを見ると、ローカルでビーチに行く人がかなりの量のゴミを残していることがわかります。

また、使い捨て包装、容器、ビニール袋の使用量も多く、食べ物を持ち帰る際の使い捨てのゴミがかなり多いことも示していると思います。



-ゴミ拾いをすることはSDGsの解決策につながると思いますか?

クリーンアップのアクションは、SDGsの目標とターゲットに対して直接的にも間接的にサポートできると思っています。

たとえば、ゴミ拾いが行われると、その場所は実際拾う前と比べゴミは無くなり、きれいになります。私たちは、自分達の力でゴミを拾って、きれいになったビーチを見ることで満足感を得られます。また、その周りの小動物たちは、自分達がゴミを拾うことで、ゴミに絡まったり、間違って食べてしまったりすることが無くなります。

ビーチの野生生物はたいてい保護されていますが、ゴミ拾いをすることで、私たちがゴミの実態を知ったり、環境問題について考えるきっかけとなります。その写真をシェアすることで環境メッセージを伝える手段にもなります。ゴミ拾い、クリーンアップするという具体的な経験によって、多くの人に対して環境問題への提起と学びになります。ゴミの荒廃の現状とそこから見る過剰消費の問題を目の当たりにすることで、問題と解決を探るきっかけ作りと、変化を呼び起こすことができると思っています。



-活動を通じて何を伝えたいですか?

ゴミ拾いという地域貢献イベントを通じて、人々が自分達の生活がどう影響していくのかを考えるヒントにしてもらえたら嬉しいです。また公的な地域貢献イベントやワークショップにも興味を持って、今問題となっている持続させるのが難しい生活習慣についてもう一度考え、枯渇しそうな環境資源の消費を減らす必要性を認識するきっかけとなってもらえたら本望です。

私たちの活動を通して、若い世代の教育が持続可能な未来への鍵になると信じています。私たちの活動の柱は

1)自然と環境への愛を共有し、広めること
2)クリーンアップの体験を通じて、環境と自然を保護したいという願望を呼び起こすこと

です。


-どのように参加したらいいですか

誰でもいつでも参加できるように、数ヶ月毎にクリーンアップのイベントを企画し開催しています。少しでも環境を考えたい人、ポイ捨てのゴミが気になる人など年代、性別を問わず集まって互いに励ましながら活動を続けられる場を設けています。いつでも参加をお待ちしています。

Small Change Lasting Impactの情報
Instagram:https://www.instagram.com/smallchangelastingimpact/
Webサイト:https://smallchange.peatix.com/
http://www.smallchangesg.com/
メールアドレス:smallchangelastingimpact@gmail.com



みんなで取り組めるSDGsとは

筆者は昨年12月にチャンギポイントのビーチでSmall Change Lasting Impactのゴミ拾いイベントにはじめて参加しました。ビーチにはプラスチックの包装紙などがたくさん落ちていて、割と新しいものから古いものまであり、砂浜の奥の方にまで埋まってしまって届かないゴミもありました。拾われなかったゴミは埋まるか、どんどん海の方へ流れていくと思うとなんとも悲しい気持ちになったことを思い出します。

それでもその日は距離をとって20人ほどの参加していた人々全員で集めたゴミが130kgにまでのぼり、2時間ほどゴミ拾いした後はかなりビーチがきれいになり達成感があったこともよく覚えています。

SDGsと聞くと、大きな問題すぎて自分にできることなんて無いのではないか、と思えてくることもあると思います。でも、小さな取り組みでも一歩を踏み出すことで少しずつ物事が好転するきっかけになるかもしれないと思いました。

自分にも何かできることから始めたい!と考えている方のヒントになれば幸いです。自分なりの環境への取り組みの参考にしてくださいね。


この記事を書いた人

Natalie

駐在4ヵ国目、2児の母。 日本で旅行情報誌の制作・編集を経て、在住国の海外邦人向け情報誌のライターへ。 お値打ちで美味しいもの、安く手に入る雑貨などを好むプチプラ・ラバー。激辛激甘に目がない。推しのKPOPを聴くこと、ドラマや映画を観ること、ゴミ拾いが趣味。