カード会社「JCB」がシンガポール現地法人に新組織を設立。ASEANのスタートアップとの提携で新たなビジネスの創出を目指す

日本のクレジットカードのパイオニアであるJCB。国際カードブランドを運営する日本で唯一の企業として世界を舞台に様々な事業を展開していますが、今回シンガポールに新たな事業部「ASEAN事業創造部」を立ち上げました。

その狙いは、日系企業を含む現地企業との協業を通じた決済サービスの拡充やスタートアップ企業との戦略的提携による既存のカード決済事業の枠組みを超えたサービスの開発、新たなビジネスの創出です。

ASEAN事業推進の責任者である片野さんに話を伺いました。

片野裕之
株式会社ジェーシービー ASEAN営業部長。
1996年に株式会社JCBに入社。以後、総合企画部やマーケティング部などを経て、2021年から現職。

 




Q.まず会社紹介をお願いします

1961年に創立して以来、日本にクレジットカードという新しい決済方法を導入したパイオニアです。その後国際展開を行い、その後国際カードブランドを運営する日本で唯一の企業として世界を舞台に様々な事業を展開しています。

世界中でJCBカードを利用できる加盟店ネットワークを展開するとともに、国内外のパートナーとJCBカードの発行拡大をめざしており、現在はアジア地域を中心に、1億4,000万人以上の会員に利用されています。


Q.事業部立ち上げの場所としてシンガポールを選んだ理由を教えてください

JCBとしてASEANを戦略的需要マーケットとして捉えています。その理由としては、

・ASEAN自体が人口・経済ともに成長しており、ポテンシャルの高いマーケットであること

・決済という観点において、銀行口座、クレジットカードを保有している人がまだ少なくビジネス機会として成長余力があること

・ASEANの人々は日本に対してポジティブな考えを持っていて、日本企業であるJCBが価値を提供できると考えていること

の3点です。そして、シンガポールはASEANにおける金融ビジネスのハブ機能を持っており、様々な情報収集を行い新規ビジネス創出につなげるチャンスがあると考えたため、シンガポールを選びました。


Q.ASEAN事業創造部の概要を教えてください

すでにあったシンガポール法人の傘下で、2021年6月に創設しました。日本からは2名の社員が駐在しており、独立した組織となっています。

大きく二つの背景があります。

一つ目は、これまで日本企業(ブランド)である武器を使って、会員・加盟店を共に伸ばしてきましたが、それだけでは限界を感じ、それ以外の強みである新規ビジネスを立ち上げる必要がありました。

二つ目は、例えば外部パートナーとの連携、スタートアップへの出資などが考えられますが、既存の組織に新たなミッションとして、この領域を動いてもらうのは難しい部分があるため、自由に動き、新しい発想で考えられるようにという発想で今回新しい部署を作りました。


Q.すでに展開している案件があれば教えてください

ASEANの新規ビジネスの一つとして、マレーシアのフィンテック企業であるSoftSpace社への投資を実施して、取り組みを開始しています。

SoftSpace社は、タップオンモバイル端末を提供するクアラルンプールに本社を置くフィンテック企業ですが、約500万米ドルを出資するとともにマレーシアでのJCBカード発行および加盟店獲得業務に関するライセンスを付与しました。

短期的なアクションとしては、SoftSpace社が提供しているタップオンモバイル端末を活用することで、JCBの既存のクレジットカード事業との連携ができます。

次に、中長期的なアクションとしては、将来的にSoftSpace社が持っているテクノロジーを、JCBのビジネスと掛け合わせて、JCBの顧客である銀行やカード会員に対して新しい価値とソリューションを提供できると考えています。特にASEANは銀行口座の保有率やクレジットカードの普及率が低い一方で、スマホの普及率は高いため、テクノロジーを使い、スマートフォンを使ったマーケティングソリューションのような新しい価値を提供できると評価しています。

一方で、SoftSpace社も、JCBと連携することでSoftSpace社のマーケットシェアも広がっていくため、両社Win-winの関係を作れるという構想があります。


Q.SoftSpace社の取り組みを通じたASEANマーケットに対する意義を教えてください

短期的にはマレーシアのマーケットシェアを広げていきたいと考えていますが、中長期的には、インドネシアやベトナム、フィリピン、タイなど他の国でもビジネスを拡大していきたいと思います。

SoftSpace社が持つフィンテックの技術力とJCBが持つネットワークを掛け合わせて、マーケティング施策を行うことをASEAN全体で推進したいです。

ベトナム、インドネシア、フィリピンのような、まだまだ現金中心の国に関しては、JCBがSoftSpace社との取り組みを通じて、国としてのキャッシュレスに貢献し、消費者の決済活動をより便利にしていきたいです。

ASEANのキャッシュレス推進という社会的意義の元、JCBがASEANの中で存在感を増すことを目指します。


Q.今後の展望を教えてください

JCBはASEANマーケットでは、まだまだチャレンジャーの立場です。様々な仮説を立ててトライし、検証するというPDCAをどんどん回していきたいと思っています。この意味でも、SoftSpace社との取り組みを深めることの他に、パートナー企業やスタートアップとの提携にも力を入れていきます。

外部との連携によりJCBとしての足元のクレジットカード事業拡大と、中長期的には新規ビジネス創造のための戦略を並行して進めていきます。


ーありがとうございました。

お問い合せ先:Asean_business_development_department_representation@jcb.co.jp


この記事を書いた人

SingaLife編集部

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