シンガポールの官僚の給与はケタ違い?!その理由に迫る!

日本で「公務員の仕事」というと、「公共サービス」に従事して、安定した給与とキャリアが期待できるというイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか?そのためか、日本の首相や大臣、市長が高額な給与を得ていると、つい話題になってしまいます。

しかし、今回ご紹介する、シンガポールの上級官僚の給与について知ると、新しい発見があるかもしれません!




シンガポール官僚は実力主義?!

皆さんは「公務員の仕事」というと、どのようなイメージをお持ちでしょうか?

日本では公務員とは「公共サービス」に従事する方々ということで、どちらかというと、安定したキャリアと給与を得ることができる職種というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。そのため、日本の首相や大臣、市長などが高給を得ていると、ニュースで話題になることもありますよね。

ところが・・シンガポールの首相や大臣、いわゆる上級官僚や要職にある人々の給与額を知ったら、これまでの価値観はひっくり返るかもしれません!

まさに「ケタ違い」の金額だからです!

シンガポールは、世界の中でも教育熱心な国として知られており、優秀な人材が国内外から集まることでも有名ですね。シンガポールの上級官僚も、優秀な人材がその職に就くことが多いと言われていますが、日本の公務員制度にはあまり見られない評価方式があるようです。

いったい、なぜ、シンガポールの首相や大臣、市長といった上級官僚の給与は破格なのでしょうか?その理由をひも解いてみましょう!


シンガポール市長の給与とは

ご存じのように、シンガポールには日本のような地方自治体は存在しませんが、国内を5つのエリアに分け、各エリアに社会開発協議会(Community Development Councils)の代表がおり、地域住民と国とをつなぐ存在として、市長のような役割を担っています。その市長もシンガポールの上級官僚の一人と言えますが、給与はいったいどのくらいなのでしょうか?

ずばり、年収は、日本円で約5,740万円(S$660,000)だそうです!

アメリカのニューヨーク市長の年収ですら、日本円で約2,900万円(S$335,000)。日本の自治体で2020年に最高額を記録したのは、横浜市長の年収で、約2,578万円だそうですが、大きな差がありますね。

日本の中では、公務員の給与は税金で賄われているという認識が強いので、高額な給与についてはすぐニュースになりそうですが、シンガポールの市長の給与は破格と言えますね。


シンガポールの大臣の給与とは

それでは次に、シンガポールの大臣の給与はいったいどのくらいでしょうか?

実は、首相や大臣、市長といった上級官僚の給与の計算式については、2012年の内閣で制定された白書に基づくと言われています。それによると、まず、内閣を支える大臣にはM4からM1までの階級があり、M1が最上位になるそうです。そのM4クラスの大臣の給与というのは、シンガポールの国民所得者のうち、上位1,000名の収入の中央値の40%という指標があるそうで、その年の経済情勢に応じた計算になっているようです。

ちなみに、このM4クラスの大臣の年収は約9,570万円(S$1.1million)。月収で約470万円(S$5,500)だそうです!日本の大臣クラスだと、年収は約2,941万円。月収で約176万円とのことで、シンガポールの大臣の給与とは大きな差がありますね。

シンガポールでは、M4クラスの大臣の給与の2倍相当の額が、首相の給与と言われているので、M4クラスの大臣の給与額というのはひとつの基準になるようです。

その給与の内訳は下記のようになっています。

1.固定給
固定給では、業績に関係なく、月収と、シンガポールで「13カ月目の給与」と言われるAWS(Annual Wage Supplement)が支給されます。

2.変動給
内訳としては、はじめに年次変動給(AVC: Annual Variable Component)として月給1カ月分、そして業績給(Individual Performance Bonus)として月給3カ月分、さらに国のボーナス(National Bonus)として3カ月分が支給されるそうです。

この「国のボーナス」というのが、下記の項目を踏まえて決められているそうです。世情を考慮しながら金額が変動するようですね。

1)    国民所得の成長率の中央値
2)    国民所得の最低値20パーセンタイルの成長率
3)    失業率
4)    GDP成長率

何より驚くのは「業績給」が導入されていることです!民間企業であれば、業績給は当然のことですが、大臣の給与に業績給が反映されるというのは、日本ではちょっと考えられないですよね。

ちなみに、大臣の業績給の評価は、首相によって行われるそうです。官僚としての1年の成果を問われるので、気が抜けませんね。

しかし、業績給に反映されるために、各大臣がよりよい公共サービスの施策を行っていくとしたら、国民にとってはありがたいことかもしれません!


シンガポール首相の給与額は世界一?!

これまで、シンガポールの市長、大臣といわゆる上級官僚の給与を見てきましたが、いずれも破格で驚きました!それでは、シンガポールを率いる首相の給与とは、いったいどのくらいなのでしょうか?!

現首相のリー・シェンロン氏の給与は、ずばり・・日本円で約「1億9,000万円」(S$2.2 million)と言われています。首相の給与額としては、なんと世界一だそうです!単純計算で、月収約1,600万円、週給約360万、日給でなんと約51万円・・になります!ケタ違いすぎて、イメージがわきません・・。

あの大国アメリカの新しいリーダーになったバイデン大統領の年収でさえ、約4,760万円。日本の岸田首相にいたっては、約4,000万円。しかも日本の首相は、2012年に制定された、東日本大震災の復興財源確保のための臨時特例法により、給与の3割を返納しているので、実際の年収はもっと少ないようです。

世界一の給与を得ているシンガポールのリー・シェンロン首相ですが、2018年、年収が約3億9,000万円(S$4.5million)であるというニュースが駆けめぐり、政府が事実誤認だと正式にコメントする騒ぎにもなりました。政府の公式サイトにその発表記事がまだ残っていますが、日本と違って堅苦しくなく、親近感のある書き方と、給与の根拠がしっかり示されていて好感が持てます。

首相の給与は、MR4クラスの大臣の給与(S$1.1 million)の2倍相当と言われているそうですが、大臣の給与の特色だった「業績給」は、首相はもらわないそうです。首相自身が自分の業績を評価することは難しいため、そのかわり、国のボーナスというものをもらうそうです。大臣の給与のところでもご紹介しましたが、国民所得や失業率、GDP成長率の統計値を反映させて金額が決まるようで、その年の経済情勢を考慮して変動するそうです。

スイスの国際経営開発研究所(IMD)が毎年発表する「世界競争力ランキング」で、シンガポールは、2020年に1位になりました。こうした実績からも、シンガポールの国力は、世界から高く評価されていることが分かります。

首相の給与額は世界一、大臣も市長も破格の給与・・・一見すると、なぜこんなに高いんだ!と思われる金額かもしれませんが、国力もきちんと評価されていて、実績が出ていることを考えれば、もしかしたら妥当な金額なのかもしれませんね。国の運営に貢献できる優秀な人材には、正当な評価を与えて、高額の給与も支払うという姿勢に、シンガポールの成長の一端を見ることができるのかもしれません。


「公務員」の仕事が魅力的なシンガポール

今回は、シンガポールの首相や大臣、市長といった上級官僚の給与について見てきました。いかがでしたでしょうか?上級官僚が高給であることについては賛否両論あると思いますが、2020年には新型コロナウイルス感染症の拡大で、首相や閣僚が1カ月給与を返上するなど、経済情勢に応じて柔軟に対応していることが分かります。

また、国の運営という重要なミッションの一端を担う上で、給与体系を明確にして、優秀な人材には正当な評価と十分な給与を用意している点は、注目に値します。特に、公務員の仕事に業績給が導入されている点は、とてもユニークですね。国家をいい方向に導くことが業績であり、その業績アップのために努力できるとしたら、とてもやりがいを感じますよね。

シンガポールの公務員局のサイトでは、さまざまな職種の公務員の仕事やキャリアパスの紹介、インターン募集や、求人情報など、幅広い情報を提供しています。

国籍や年齢を問わず、ご自身のキャリアでチャレンジできる部門もあるようなので、興味がある方は、ぜひご覧になってみてください!新しいキャリアがシンガポールで始まるかもしれません!

また、今回の内容は「SingaLife TV」でも詳しくお伝えしています。シンガポールの最新情報をお届けしているユニークなYouTube番組。ぜひ、ご視聴とチャンネル登録をよろしくお願いいたします!名物MC・イモキンさんのトークも必見です!

●本文中の外国通貨については、2022年3月中旬時点の為替レートで記載しています。





この記事を書いた人

SingaLife知りつくし隊

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