シンガポールの祝日、ベサックデーは何を祝う日?

お釈迦様は2500年以上も昔に真実の悟りを得て、知恵と慈悲の境地に達したと信じられています。お釈迦様の誕生から入滅を記念して、仏教徒が法要に参列するために各寺院に集まるシンガポールの祝日、べサックデーを深堀してみましょう!




世界中の仏教徒にとって特別な日、べサックデーとは?

シンガポールをはじめ世界中の仏教徒の大切な祝日、ベサックデー。お釈迦様の誕生、成道(悟りを開いた日)、入滅(亡くなった日)を記念する日であり仏教徒にとって最も神聖な日とされています。同時に喜び、平和、そして沈思の日でもあります。

日本ではお釈迦様の誕生は4月8日とされています。またお釈迦様が誕生した日と亡くなった日は別とされていますが、上座部仏教を信奉するシンガポール、タイ、マレーシア、ベトナム、カンボジア、スリランカ等の東南アジアの仏教国では5月または6月の満月の日にお釈迦様は生まれ、悟りを開き、そして亡くなったと考えられています。

ベサックデーの日付は毎年変わりますが、これはベサックデーが太陰暦に沿って決まるからです。旧暦(太陰暦)の最初の満月の日とされており、これは現在日本で使われている新暦(太陽暦)では5月頃となります。シンガポールでは1955年以降に国民の祝日になり、タイやマレーシアでも祝日となっています。

1999年には多くの仏教国の要請を受けて、国連がベサックデーを世界で唯一の「仏教徒の宗派、人種、国境を越える平和の祭典」の日と認定しました。多民族・多宗教国家シンガポールであるシンガポールでは、各宗教の大切な日をそれぞれ国民の祝日として定めています。それぞれの宗教の文化を大切にしている証拠です。現在はコロナ禍ですが、宗教の枠を超えた皆の祈りが届くといいですね。


シンガポールのべサックデーには何をするの?特別な食べ物は?

多くの参拝者で賑わう仏教寺院

シンガポールのベサックデーは当日の夜明けとともに始まります。法要に参列するために各寺院に集まる仏教信者たち。仏旗が掲げられ、三宝を称えた讃美歌を歌い、一連の儀式に参加します。三宝とは、仏(仏陀)、法(仏陀の教え)、僧(教団)の3つを指しています。

オレンジ色の袈裟をまとった僧侶たちは祝福を唱え、信心深い仏教徒に聖水を振りかけます。多くの仏教徒にとって釈迦の中心的な教えである、殺生と煩悩から脱して再び精進する時なのです。

以前はシンガポールのいたるところにあるお寺で行事が行われていたり、駅前などのスペースに一時的に行事の為の施設が作られたりしました。またこの日は各仏教寺院にベサック用のカラフルなランタンがずらりと吊るされたり、お花やフルーツが並べられて多くの参拝者で賑わいますが、現在はコロナ禍で参拝制限などもあります。開催の可否については事前にご確認ください。


お供え物と善行

べサックデーには花やろうそく、線香などがお供え物として捧げられます。ろうそくや線香は燃え尽き、花は枯れることから「全ての物には終わりがある」ということを信者に説くためだとされています。お線香は無料で振舞われるところもあり、参拝者はお辞儀をしてから色々な方向に線香を立てていきます。ろうそくは購入して自分の名前を書いてお供えします。部屋いっぱいに並べられたろうそくはカラフルでとても美しいです。

またこの日は仏教徒にとって善い行いをする日とされており、病院で集団献血を組織したり、お年寄りの家を訪ねたり、恵まれない人々に贈り物やお金を配ったりします。仏教徒の人々はべサックデーに善い行いをすると、通常の何倍もの徳を積むことができると信じているからです。

いかなる形の殺生も控える様に奨められていることから、多くの仏教徒はベジタリアンとして1日を過ごします。日頃から動物の命をいただいて生活していることに感謝し、この日は肉類は食べません。一部の国では川に魚を放流したり、檻に入れられた鳥や動物の解放が行われることがありますが、解放された動物の生存率の問題や地域の生態系の保守の理由からシンガポールでは禁止されています。



三歩一拝(ろうそく行列)

三歩一拝は、約2時間かけて行われる参拝方法です。信者は両膝をついて一歩ずつ歩き三歩目に一礼します。これは仏教に伝わる3毒と言われる貪(貪欲)、瞋(怒り)、癡(愚かさ)を振り払う目的とされ、世界平和や個人的な願いを祈ったり悔恨の念を抱えながら実践していきます。通常は1日の最後に道を行進する、このろうそく行列で幕を閉じます

ブライト・ヒル・ロードのコンメンサン・ポーカークシー・モナストリーでこのような行列を見ることができます。



仏陀像への水掛け

ベサックデーで最も人気の高い儀式の一つが、日本でも見かけるような仏像への水掛けです。仏像や神像などに水を掛ける行為は、宗教・宗派を問わず世界各国で見られます。日本では地蔵や観音、不動尊などに水を掛けることが多いですよね。

その目的も様々で多くは像の埃や汚れを落としたりして清めることを目的とする儀式であり、水を掛ける行為は「お清め」を意味することが多いです。仏陀像への水掛けは、仏陀が誕生した際に聖水を浴びせられたことが起源となっているのだとか。そのため寺院の祭壇には花輪で飾られた幼い釈迦の像が置かれ、仏教徒の人々が水場の周りに集まります。「釈迦が誕生するとすぐに9頭のドラゴンが水をかけた」という伝説になぞって、仏教徒は用意された水を柄杓を使って像に掛けていきます。


ミルクで炊いたキリバット

上座部仏教(主にシンガポールのビルマ人やスリランカ人のコミュニティー)では、べサックデーを祝う際にミルクで米を炊く儀式を行います。これは釈迦が悟りを開くための長い断食を始める前に食した、最後の食事とされるミルクがゆを象徴しています。どれだけ激しい苦行を続けても悟りを得ることができずにいた釈迦が、苦行によって衰弱した身心の力を回復する際、そこを通った村娘スジャータからミルクがゆを捧げられたという逸話もあります。

スリランカでは炊飯中の米にココナツミルクを混ぜ炊き上げた、日本のお赤飯のような存在のキリバットがお祝いやお祭の席でおめでたい食べ物として振舞われます。昔は牛乳を使って炊いていたそうですが、神様に近い料理ということで現在は生き物の牛乳ではなくココナツミルクが使われています。

 

シンガポールのベサックデーで仏教を知る

シンガポールの必見文化スポットである仏牙寺龍華院では、ワークショップを通して釈迦の教えを学ぶことができます。仏教美術や仏教史にまつわる幅広い展示は、数千年を超える文化を今に伝えてくれています。印象深い仏教遺物を心ゆくまで見学するのもいいですね。シンガポールの祝日、ベサックデーを肌で感じにお寺へ出かけてみませんか?


この記事を書いた人

SingaLife編集部

シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!