SIFA(シンガポール国際芸術祭2023)、今までに体験したことのないアートの世界を!5月19日から6月4日まで開催

2023 Singapore International Festival Of Arts、SIFA 2023は演劇、音楽、ダンス、映画、ビジュアルアートなどの作品を紹介する、シンガポール国内最高峰の芸術祭です。

2022年から2024年を手がける、フェスティバル ディレクターNatalie Hennedigeの継続するテーマは「The Anatomy of Performance」。そしてサブテーマは毎年変わり、今年は「Some People」です。人とのつながりや経験、通ってきた歴史などに焦点を合わせたものとなっています。

さまざまなアート空間に観客が集まり、互いの視点に注目し、世界観を広げ共感する、そんなアート作品をシンガポールのあちらこちらで見ることができます。



プログラム紹介

出典:Arts House Ltd

「The Anatomy of Performance –Some People」と題して行われる今年のフェスティバルは、フェスティバル コミッションや招待作品を含む15のユニークなプレゼンテーションを行う「CREATION」SIFAの仮想テーブルである「LIFE PROFUSION」実験的表現のためのプラットフォーム「SIFA X」の3つのプラットフォームで構成されています。


「CREATION」

「CREATION」では、世界的に著名なアーティストの作品や海外アーティストとローカルアーティストとのコラボ作品、ローカルアーティストの新作であったり、これから海外での公開も視野に入れた作品などが発表されます。

中国、台湾、韓国、日本、オーストラリアやイギリス、世界中からアート作品やダンスパフォーマンスまで幅広い芸術作品に触れる貴重な機会となっています。

出典:Ontroerend Goed

その中の一つ、ベルギーの劇団Ontroerend Goedによる「£¥€$ (LIES)」は、金融の世界をゲームのような設定に置き換え、お金や市場に対する信頼が失われ始めたときの人間の行動を表現しています。

出典:Camilla Greenwell

またオリヴィエ賞受賞の英国のダンスアーティストBotis Sevaによる「BLKDOG」は、自由な演技とヒップホップの融合で感情を揺さぶります。


「LIFE PROFUSION」

出典:Mojoko

「LIFE PROFUSION」はSIFAのバーチャルプラットフォームです。その中で、Steve LawlerがMojokoというアーティスト名で作り上げた「PRIVACY」は、監視や個人情報の扱いに関する概念を探求する、国内外のトップアーティストのデジタル作品で制作されており、強い印象を残す作品ばかりです。


「SIFA X」

SIFA Xは、新しい革新的な表現のための機会を演出します。

出典:Arts House Limited, Artwork for CHILDREN OF VENUS by Karolina Skorek

マリーナベイサンズの人気クラブCÉ LA VIを舞台に、アーティストSUKKI(元Sukki Singapora)とDaniel Kok & Luke Georgeがフィーチャーし、バーレスク、ボードビル、ロープパフォーマンスなどを展開するLOVE DIVINE(18歳以上対象)は注目です。

その他、Centre 42はシンガポールの劇作家と新作を活性化する多層プロジェクトを展開します。


岡田利規さん特別インタビュー

出典:©︎Kakuko Usuyama

 

映像演劇「ニューイリュージョン」

「Creation」のカテゴリーの中でも、演劇を映像で見せる「映像演劇」という新しい手法で注目の岡田利規さん(チェルフィッチュ主宰)。今回はSIFAからの招待で、最新作「ニューイリュージョン」がシンガポールで初公開となります。その岡田さんに映像演劇、そして「ニューイリュージョン」についてお話を伺いました。

1997年にカンパニー「チェルフィッチュ」を設立。以来、国内以外に海外でも「3月の5日間」を90カ国で上演するなど、注目を集めています。岸田國士戯曲賞や第二回大江健三郎賞受賞など、劇作家であり小説家としても活躍している岡田利規さん。

映像演劇を体現化し始めたのは、7〜8年前。演劇の大きな要素はライブパフォーマンスだと思っていたけれど、そうではないと考え始めたそうです。「パフォーマンスによって作られた、ある種のフィクションをそこに居合わせた観客が経験すること、それが演劇ではないか」。それならそれを引き起こすものは、生身の人間がいる必要はなく、映像でもできるのではないか」と。

そうして生まれたのが映像演劇。シンガポールでは「Eizo Theater」と表記されています。奇しくもこの英文が1番しっくりとくる気がします。

出典:Ryohei Tomita

インタビューにあたって、芸術性がない筆者は「映像演劇」が理解できず、お願いしてサンプル映像を拝見させていただきました。見た瞬間に「これは演劇、映画ではない」と腑に落ちました。等身大の二つのスクリーンに映し出されたのは、2人芝居の演劇でした。セリフを語る声の響き、そして流れるような動作、スクリーンからスクリーンへ移る間も全て演劇でした。

岡田さんが舞台映像作家の山田晋平さんと共に作り上げた舞台が、目の前に広がります。そこにはスクリーンでなく、舞台に立つ俳優の姿が見えます。


ストーリー

ストーリーは、男女が劇場で上演していた、2人の部屋を舞台にした演劇について語り始める。しかし徐々にどれが真実でどれが虚構なのか、境界が曖昧になっていく。まるで観客も俳優が生み出したイリュージョンの世界にいるような…。ゆっくりと静かに、ストーリーは進んでいく。

映像に映るのは、椅子、そして俳優たち、そして印象的な音楽のみです。

映像演劇という言葉だけでは理解できませんでしたが、この目で見て初めて理解できる、新しい演劇です。スクリーンとスクリーンを行き交う時に、何もない空間に見えるものが確かにあります。そして岡田さんはその空間を見せる事も意図的におこなっています。

人によって見え方も奥行きも変わる演劇。「演劇とは何か。答えは一つではない。それぞれ自分の定義で固有の舞台を見る、それが楽しいんです」と岡田さんはおっしゃります。そしてそれは観客だけでなく、俳優たちも自らの演技を見て、新しい体験をしているようです。演技する自分を客観的に見つめて演技に反映させるということでしょうか。


新しい演劇の手法

最後に、岡田さんよりコメントをいただきました。「日本を拠点にしており、シンガポールは2008年に公演して以来です。今回、シンガポール インターナショナル フェスティバル オブ アーツに参加しています。特殊なスタイルの演劇で、シンガポールで体験した方はいません。新しい手法「映像演劇」それは何かを、体験してください」

本当に興味深い演劇体験ができます。まずは2日間、計4回しかない機会を逃さないで、ぜひ劇場へ足を運んでその目でお確かめください。

タイトル:「New-Illusion ニューイリュージョン」

出典:Ryohei Tomita

期日:2023年6月3、4日
時間:14:00、17:00
場所:SOTA Studio Theatre
住所:1 Zubir Said Dr, S227968
チケット:S$38
チケットはこちら

WEB:チェルフィッチュ



最高峰のアートを楽しむ

2023 Singapore International Festival Of Arts、SIFA 2023は、 The Arts House Limitedが主催し、National Arts Councilが協賛するイベントです。今年は多くの海外作品やアーティストが参加する、多彩なラインアップとなっています。

作品鑑賞以外に、ダンスなどのワークショップなども開催しています。興味のある方は、海外の一流アーティストのスキルを学ぶチャンスでもあります。どうぞ、シンガポールの、世界の芸術が一堂に会するSIFA 2023、ぜひ体験してください。

2023 Singapore International Festival Of Arts(SIFA 2023)
場所:イベントにより異なります。WEBサイトよりお確かめください。
期間:2023年5月19日〜6月4日
SIFA WEB

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。


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この記事を書いた人

林じゅん子

長崎県出身。バブル期の東京で浮かれて過ごし、そのままシンガポールへ。気がつけば20数年!香港映画がきっかけでアジア芸能にはまり、シンガポール初日本人芸能記者(自称)に。ラジオ、雑誌ともに芸能一筋、出会った芸能人は数知れず。 現在はエンタメ以外の3大好物、イケメン、おいしいもの、アニマルネタ目を光らせる。期間限定&新製品にも目がない、ローカルどっぷりジャパニーズ

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