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駐在夫、子を育てる-5- 夢

これはシンガポールに駐在する妻に帯同し、“駐在夫”として家事や育児に奮闘する日々を綴ったコラムです。シンガポールのフリーマガジン「シンガライフ」誌上で連載しているものに一部加筆して、ウェブでも公開しています。


生後1ヶ月を過ぎた頃だっただろうか。息子・モモタ(仮名)は眠っている間に、笑顔を見せ、さらに時々、何か言葉を発するようになった。「きゃっきゃ」とか「あー」とか意味のないものだけれど、何かに反応しているようだ。夢でも見ているのだろうか。

ただ、よくよく考えてみると、赤ちゃんはどんな内容の夢を見るのだろうか。不思議である。我々大人は、例えば行きたい場所や食べたい食べ物、憧れのあの人が登場などと、夢の内容も多彩?になっている。多彩ではあるものの、どれもネットや本で読んだり、人から聞いたり、実際に経験したりした内容に基づいているはずだ。

想像もできないようなことを夢で見ることはできるのだろうか。例えば「宇宙の外側に行ったらこんな世界が広がっていたのか!」という夢を見ることはきっと難しい、はず。

そう考えると、生まれて間もないモモタが経験したことなんて指で数えられるぐらいだ。「ミルクをお腹いっぱい飲む」「いつもと種類が違うミルクを飲む」「お風呂に入る」「壁や天井を見上げる」そして「寝る」ぐらいである。

モモタが「もうこんなにミルク飲めないよ、お腹いっぱいだぁ」という夢を見て笑っているのだとしたら、私は申し訳ない気持ちでいっぱいだ。ミルク代がなくケチっているわけでは決してない。ミルクでいいならば飲めなくなるぐらい飲ませてあげられるが、そうすると吐いてしまうでしょう、君は。

不思議とこれまでに、モモタは眠りながら苦しい顔を見せない。「このミルクは美味しくないなぁ」といった不謹慎なことは意識にないからかもしれない。夢でまで仕事に追われるなんてことは、大人だけのものなのか。

大きくなった時にぜひ聞いてみたい。「あのとき、君はどんな夢をみて笑っていたの?」と。赤ちゃんには不思議がいっぱいだ。


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