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【スポーツマーケティングってどんな業界?~楽天の岡本さんに聞く仕事の面白さ】

フットボールファン、マラソン愛好家など、スポーツ好きな人も多いシンガポール。そんなスポーツに“マーケティング”の分野で貢献しているのが、楽天株式会社グローバルスポーツビジネス事業部グローバルセールス室ヘッドオブセールスの岡本直也さん

2015年から2018年8月までシンガポールのDentsu Sports Asia(DSA)に所属し、現在は楽天で(日本を拠点に)活動している岡本さんに話を聞いた。

岡本さんは元々スポーツをしていたそうですね?

小、中、高校までバスケットボールプレイヤーをしていました。バスケを通して成長して来たのと、スポーツの分野に興味があった為、スポーツ関係の仕事をその頃から志すようになりました。ただ「英語が話せないとスポーツの分野で活躍できないのではないか」と父に言われたことがきっかけで、卒業後は立命館アジア太平洋大学という、当時開学したばかりの外国人の学生が約半数の大学に進学し、大学時代はバスケのキャプテンをしながら異文化を学ぶことが出来ました。 

スポーツマーケティング業界に携わったきっかけは?

スポーツビジネスの仕事を求めて就職活動をしましたが、当時新卒で就ける仕事はほとんどなく、それであれば社会人として最短距離で成長できる会社に入りたいと思い、2007年にリクルートに入社し、6年半勤務しました。ソリューション営業としてそれなりに自信がついたこともあり、スポーツの分野に身を移すことを考え始めました。どうせやるなら(スポーツ業界の裾野が広く、レベルも高い)海外で行いたいという想いがありました。そこで、ロンドンでスポーツマーケティングの大学院で学びながら、現地で職を探すことに決めたんです。

学業の傍ら、様々なクラブやスポーツエージェンシーなどにメールをしたり、企画書を郵送したりしましたが、40社位に送ったあたりで、運よくマンチェスター・ユナイテッドから返信があり、面接を経てコマーシャルアナリスト、スポンサーセールスのサポートとして(学生Visaの関係で)結果的に三か月位働きました。

その後、来星してDSAに入社されたんですよね?

はい。マンチェスター・ユナイテッドを退社後、まだ海外でスポーツビジネスがやりたかったので、もう一度世界中に履歴書を送り、リバプールFCやボルシア・ドルトムントなどの面接も受けました。スイス、ドイツなどにも行き、色々な企業に面接をして頂いている中で、シンガポールのDentsu Sports Asia(DSA)の森村社長とお話させて頂き、2015年2月に採用が決まりました。

入社後はどんなお仕事を?

マンチェスター・ユナイテッドの時は、セールスリサーチ以外は出来なかったのですが、DSAでは、リサーチからセールス、アクティベーションまで全てを自身で行うことができました。

特に印象に残っているのは、トヨタ・メコンクラブチャンピオンシップの運営です。私はカンボジア、ミャンマー担当で、試合のチケット手配、協会との交渉、放送権の販売、集客のプロモーション等を行い、文字通り全てを担当しました。 

このような経験をたくさん積めたので、短期間で知識や人脈も増え、本当に濃い経験をさせて頂けました。社長には本当に感謝しかありません。

3年7か月勤務しましたが、次なるステップアップを考えて退社しました。 非常に充実していたのですが、社長に頼るばかりではなく、新たな環境下で自分の成長の可能性を再度広げていきたいと思い、退職しました。

楽天での仕事内容は?

楽天のスポーツビジネスを担当しており、ポジションは、グローバルスポーツビジネス事業部グローバルセールス室のヘッドオブセールスです。

具体的には、スポーツの権利を企業に売ること。例をあげると、楽天はヴィッセル神戸のイニエスタ選手を広告塔として起用したい企業を探したりもしています。例えば、イニエスタ選手の宣伝を「菊正宗酒造」と組んで行い、大きな反響を頂きました。同社は神戸発祥の企業で、2019年に創業360周年を迎えた際、神戸の新シンボルであるイニエスタ選手に360周年アンバサダーとして就任して頂き、CMに出演して頂きました。

これまで12社とスポンサーシップを結んでいて、例えば「沖電気工業(OKI)」のアンバサダーにもなっていますが、プロサッカー選手として一度もレッドカードを受けていない彼のフェアプレー精神と「OKI」の企業イメージが合致し、同社のイベントなどに出演する運びとなりました。この他、グローバルアンバサダーとしてイニエスタ選手のフットボールシューズの製造を手がけているアシックスとも契約しています。

また、東南アジアの選手の肖像権を現地クライアントに販売したりもします。アジアの若手アスリートの撮影の権利や肖像権などを、クライアントを見つけて販売するというスキームです。アスリートにフォーカスしてドキュメンタリーの映像を作り、彼らにも出演料をお支払しています

サッカー同様、バスケットボールのスポーツビジネスにも注力しており、企画出しから、プレゼンをし、クライアントを獲得しています。

やりがいはどんなところ?

まだまだスポーツをビジネスにしている人(企業)は少ないと思います。 ニッチな分野なので地道に取り組んでいく必要があり、それが成長に繋がります
何でもそうですが、「こうしたらビジネスになる」と絵を描くだけなら誰でも出来ると思うんです。でも、実際にやるかやらないかは天と地ほどの差があって、やはり最後までやりきれたときの達成感は最高ですね。当然ながら私一人でやっているわけでなく、色々な人に助けてもらいながらやっていることでもあるので、皆様とコラボレーションして関係を築いていく過程も楽しいです。

今後は、東南アジアで色々な選手を増やしていきたいですね。現在はインドネシア、フィリピンなどの選手を獲得していますが、選手を発掘することに比べて、彼らの為のスポンサーを見つけることの方が大変なんです。そのアスリートを支援してくれる良いスポンサーをいかに早く見つけられるかどうかがキーです。

大変そうだけど、東南アジアをフィーチャーする理由は?

とにかく面白い市場だと思いますね。例えば欧米はサッカーやバスケ、テニスなどで有名な権利は沢山あるけど、既に価値が高止まりしている権利ばかりです。しかしアジアにはまだ手をつけられていない権利が沢山あり、それらを開拓していくのが魅力の一つです。

今後の活動予定は?

(日本の話で言うと)イニエスタ選手をはじめとするアスリートや、協業しているクラブのサポートを様々な面からしていきたいです。

そして、シンガポールは様々な地域にすぐ飛んでいける非常に恵まれた地域だと思います。その地の利を生かして、今後も様々なビジネスを創出していけると面白いですね!

岡本直也さん

1982年大阪府生まれ(38歳)。立命館アジア太平洋大学卒業後、2007年株式会社リクルート入社。飲食店への飛び込み営業から大企業へのソリューションセールスまで経験。2013年リクルート退社。2014年にBirkbeck, University of Londonのスポーツマネジメント大学院修了。大学院での学業の傍らManchester United FCのLondon Officeにて勤務。2015年DentsuSports Asia入社。東南アジア域内のサッカーやオリンピックスポーツの権利セールスやアクティベーションを担当。2017年、同社で勤務しながら早稲田大学大学院スポーツ科学研究博士課程入学。2018年楽天入社。スポーツスポンサーシップセールスの責任者として、イニエスタ、NBA、FCバルセロナなどの関連ビジネスを行う傍ら、アジアのアスリートにフォーカスした「LOCAL HERO」プロジェクトを立ち上げ、新たなビジネスを創出している。

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この記事を書いた人
シンガポール在住8年目。ワインと美食をこよなく愛し、日々ワインを楽しむ一方、筋トレも欠かさず行う。“ワインと美活“のスペシャリスト