【芸能×日韓】韓国BTS所属事務所からデビューした日本人が象徴する、世界に続くソウルの扉

元外交官 × エコノミスト 川端 隆史のアジア新機軸

5月10日、韓国でユン・ソンニョル氏が新大統領に就任した。就任式には日本から林芳正外相が出席し、ユン大統領との会談を行った。

近年の日韓関係は、徴用工裁判、日本からの特定品目の輸出禁止などで政治面では悪化の一途をたどってきた。ユン大統領になって日韓関係の改善に期待を寄せる声もあるが一筋縄ではいかないだろう。

一方で、政治的関係が悪化するのと反比例するかのように、文化面では音楽、ドラマ、映画などの韓国カルチャーは日本での人気が上がっている。さらに、熱量のあるファンだけの世界だけでなく、カジュアルに日常的に消費する段階に突入した。おそらく、日本の若者による韓国カルチャーに対する関心は、今後も高まりこそすれ、低下することはなさそうだ。

日本の芸能志望の若者が韓国の芸能事務所に入る、オーディションを受けるということは、もはや珍しい話しではない。

韓国でデビューして一定の知名度のあるグループで活動している日本人は少なくとも10数名はいる。そのなかでも、特に著名な日本人といえば9名の女性ユニットTWICEで活躍するモモ、サナ、ミナの3人だろう。

日本でも話題になったNiziUをプロデュースしたJPYエンターテインメントに所属している。TWICEは、主に東アジアでの人気が高いが、ワールドツアーでの米国公演はアメリカ人のファンが詰めかけた。

そして、さらに期待を抱かせる動きがあった。5月2日、世界的な人気グループBTSの所属事務所HYBEが日本人2名を含む6名の女性ユニット「LE SSERAFIM(ル セラフィム)」を発表した。BTSの事務所であるから、当然、世界市場を見据えているだろう。

LE SSERAFIMに所属する宮脇咲良(芸名SAKURA)の存在は極めて象徴的だ。宮脇は日本ではAKB48の姉妹グループHKT48に所属していた。

宮脇は日本では注目度は高くなかったが、韓国のオーディション番組で他のAKBメンバーを押しのけて、新グループIZ*ONEのメンバーとして韓国でデビューし、日韓で人気を博した。そして、このたび、世界を見据えるHYBEのもとで、3度目のデビューを迎えた。

宮脇の芸歴は、世界に出られない日本のグループから、始めから世界を狙うグループへと発展している。もはや、芸能で世界の扉を開くならソウルから、なのだろうか。

※2022年5月10日脱稿



プロフィール

川端 隆史 かわばたたかし

クロールアソシエイツ・シンガポール シニアバイスプレジデント

外交官×エコノミストの経験を活かし、現地・現場主義にこだわった情報発信が特徴。主な研究テーマは東南アジアや新興国を軸としたマクロ政治経済、財閥ビジネスのグローバル化、医療・ヘルスケア・ビューティー産業、スタートアップエコシステム、ソーシャルメディア事情、危機管理など。

1999年に東京外国語大学東南アジア課程を卒業後、外務省で在マレーシア日本国大使館や国際情報統括官組織等に勤務し、東南アジア情勢の分析を中心に外交実務を担当。2010年、SMBC日興証券に転じ、金融経済調査部ASEAN担当シニアエコノミストとして国内外の機関投資家、事業会社への情報提供に従事。2015年、ユーザベースグループのNewsPicks編集部に参画し、2016年からユーザベースのシンガポール拠点に出向、チーフアジアエコノミスト。2020年12月より現職。共著書に「東南アジア文化事典」(2019年、丸善出版)、「ポスト・マハティール時代のマレーシア-政治と経済はどうかわったか」(2018年、アジア経済研究所)、「東南アジアのイスラーム」(2012年、東京外国語大学出版会)、「マハティール政権下のマレーシア-イスラーム先進国を目指した22年」(2006年、アジア経済研究所)。東京外国語大学アジアアフリカ言語文化研究所共同研究員、同志社大学委嘱研究員を兼務。栃木県足利市出身。




この記事を書いた人

SingaLife編集部

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