【大人の社会科見学】
シンガポールで楽しむイベント296
-日本人墓地 シンガポール日本人墓地公園の歴史と現状-

歴史の始まりと設立

シンガポール日本人墓地公園は、シンガポールと日本の歴史を物語る重要な場所です。この墓地の歴史は、1888年に二木多賀治郎氏が自己所有のゴム園の一部を日本人のための墓地として提供したことに始まります。当時、シンガポールには多くの日本人娼婦や商人が住んでおり、彼らの埋葬場所として設立されました。1891年には、二木氏と協力者たちがシンガポール政庁から正式に墓地としての使用許可を取得しました。

 

墓地の管理と変遷

この墓地は創設以来、多くの変遷を経てきました。特に1957年には、墓地の管理を目的としてシンガポール日本人会の前身日本クラブが設立されました。1974年にはシンガポール政府から墓地使用禁止命令が出されたものの、交渉の末、墓地公園として保存されることになりました。以来、シンガポール日本人会が墓地の維持管理を続けています。


現在の日本人墓地公園

現在、日本人墓地公園はシンガポール日本人会によって管理され、多くの日本人が訪れる場所となっています。墓地内には910基の墓標があり、明治、大正、昭和の各時代にわたる日本人の遺骸が葬られています。特に、ロシアからの帰国途中に亡くなった文学者、二葉亭四迷の墓は有名です。

 

戦時中の慰霊碑

日本がシンガポールを占領していた時期には、マレー作戦での戦没者を慰霊するための記念碑が建立されました。これらの石碑は、戦争の悲惨さとその犠牲者への敬意を表しています。戦犯受刑者や日本軍作業隊の慰霊碑も設置されており、歴史の一部として保存されています。


ボランティア活動と寄付

日本人墓地公園の清掃や維持は、多くのボランティアの協力によって成り立っています。私も日本人学校に勤務をしていたとき、定期的に公園内を清掃し、訪れる人々が快適に過ごせるようにしてしていました。また、墓地の維持・管理のための寄付も広く受け付けています。寄付者の名前は、一定額以上の場合、メモリアルプラザに記載され、長く記憶に残る形となります。私も寄付をさせていただき、メモリアルプラザに記載されています。


公園の将来

日本人墓地公園は、今後も日本とシンガポールの友好の象徴として、多くの人々に訪れてもらいたい場所です。日本人会では、在留邦人や日本人観光客に対して墓地公園の訪問を奨励しており、寄付やボランティア活動の継続的な支援を呼びかけています。2019年には、土地のリース契約が2039年まで延長され、今後も公園としての存続が保障されています。



アクセスと利用案内

日本人墓地公園は、シンガポールのセラングーン地区に位置しており、アッパー セラングーン路を経由してアクセスできます。開門時間は毎日7:00から19:00までで、誰でも自由に訪れることができます。公園内の御堂は無宗教の施設として利用されており、多くの人々が訪れる静かな場所となっています。

シンガポール日本人墓地公園は、シンガポールと日本の歴史を感じることができる重要な場所です。先人たちの苦悩を偲び、今日の繁栄に感謝するためにも、この公園を訪れてみてはいかがでしょうか。

大人の社会科見学 筆者

森山 正明
大人の社会科見学シンガポール版は、シンガポールで生活している方々へ、シンガポールの奥深さを知ってもらいたい思いで活動を始めました。「3カ月も住んでいればシンガポールは飽きてしまう」と巷では言われますが、なかなかどうして、この地ならではの楽しみは、尽きることはありません。

2013年11月からこのサークル活動を始めて約11年。行ったイベントは、200回を超え、その中から読者の方にもシンガポールの文化や習俗について年中行事を軸に紹介をして参ります。
 
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●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。



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この記事を書いた人

SingaLife編集部

シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!

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