【大人の社会科見学】
シンガポールで楽しむイベントその312
-シンガポールの旧正月グルメ 心躍る伝統料理「魚生」で祝う新年の幸せ-

新年のご挨拶も一段落したこの時期、シンガポールではもう一つの新年、旧正月の準備が始まっています。街中が赤と金色に彩られ、提灯のあかりが通りを照らすチャイナタウン。この華やかな雰囲気の中で、地元の人々が心待ちにしているのが「魚生(ユーシェン)」という特別な料理です。

縁起物が彩る芸術的な一皿 「魚生」とは、新鮮な刺身と色鮮やかな野菜を使った、シンガポール発祥の伝統的な旧正月料理。大皿の中央にはサーモンの薄切りが敷き詰められ、その周りに黄色い大根、オレンジ色の人参、緑豊かな青菜が放射状に並べられます。さらに、金色に輝くクラッカーやローストしたピーナッツ、すりごまなどが添えられ、全体に特製の甘酸っぱいプラムソースがかけられています。

この料理の面白さは、その独特な食べ方にあります。「ローヘイ」(広東語で「すくい上げる」の意)の掛け声とともに、参加者全員で具材を高く持ち上げて混ぜ合わせるのです。食べ物が飛び散るほど福が訪れるという言い伝えがあり、普段は静かに食事をする文化の日本人からすると、とても新鮮な光景です。

1960年代生まれの”新しい”伝統 「魚生」は、シンガポールの中華系シェフたちによって考案されました。「魚」の字に「余る」という意味があることから、豊かさと繁栄の象徴として、たちまち人気を集めました。現在では、シンガポールやマレーシアの華僑コミュニティにとって、旧正月に欠かせない伝統料理となっています。

味わいと一体感を楽しむ混ぜ合わされた「魚生」は、サーモンの新鮮な旨味と野菜の歯ごたえ、ナッツの香ばしさ、クラッカーのサクサクとした食感が絶妙なハーモニーを奏でます。しかし、何より魅力的なのは、みんなで具材を持ち上げ、声を合わせることで生まれる一体感。家族や友人との絆を深める特別な時間を演出してくれます。シンガポールのチャイナタウンエリアを中心に、多くの中華レストランで「魚生」を提供しています。旧正月期間中は予約必須です!

日本の「おせち料理」のように、「魚生」には新年の願いが詰まっています。しかし、その賑やかで活動的な食べ方は、シンガポールならではの魅力。伝統と革新が見事に調和した、シンガポールの食文化の奥深さを感じられる一品です。旧正月シーズンにぜひ体験してみてください。

🔶魚生(ユーシェン)の意味をもう少し詳しく紹介
魚生は、その名に込められた発音の縁起が特徴的な料理です。「魚(ユー)」は「余」と同音で、“余りが有る”や“豊かになる”といった福を表し、「生(シェン)」は「升」と同音で、“上昇”を意味します。この料理には縁起の良い食材が用いられ、それぞれに象徴的な意味が込められています。

色とりどりの野菜:家族の調和
刺身:富
ワンタンの皮:金運や黄金
ピーナッツや胡麻:長寿と健康
プラムソース:財

これらの要素が組み合わさることで、魚生は幸福や繁栄を願う象徴的な一品となっています。


大人の社会科見学 筆者

森山 正明
大人の社会科見学シンガポール版は、シンガポールで生活している方々へ、シンガポールの奥深さを知ってもらいたい思いで活動を始めました。「3カ月も住んでいればシンガポールは飽きてしまう」と巷では言われますが、なかなかどうして、この地ならではの楽しみは、尽きることはありません。

2013年11月からこのサークル活動を始めて約11年。行ったイベントは、200回を超え、その中から読者の方にもシンガポールの文化や習俗について年中行事を軸に紹介をして参ります。
 
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●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。


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この記事を書いた人

SingaLife編集部

シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!

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