【居住者全員が携帯義務に?】シンガポール政府がコロナ追跡専用端末の配布を開始。QRコードで所有者と紐付け
※写真提供=Smart Nation and Digital Government Group (SNDGG)
シンガポール政府が開発を進めていた新型コロナウイルスの感染者を追跡するための専用端末が6月28日から配布され始めました。
まずはシンガポールに住む高齢者に配布されています。それ以外の人たちへはいつ頃の配布になるのかはまだ明かになっていません。
アプリではなく携帯型端末
この端末は新型コロナウイルス感染者と接触したかどうかを調べるための機械です。スマートフォンにダウンロードして利用するアプリとは異なります。
端末を開発したSmart Nation and Digital Government Group(SNDGG)によれば、端末には所有者と紐づいたQRコードが記載され、1回の充電で6〜9カ月間利用できるということです。
写真からは小さめのサイズのように見えますが、重さはどれくらいなんでしょう。プレスリリースには「軽くて使い方も簡単」という記載があるだけです。
位置情報は取得せず
この端末は、ブルートゥースという近距離で通信できる機能を使って、他の人が持つ端末の情報を記録します。そして、もし新型コロナウイルスの感染者と近い距離に一定時間いた場合に、自分が持つ端末に通知が届きます。
SNDGGによれば、所持者のプライバシーに配慮し、いつどこに滞在していたのかという位置情報自体を記録することはありません。シンガポール政府はこの端末を国内に暮らす全ての住民に配布する予定だということです。
アプリは利用者が増えず
シンガポール政府はこれまでに、スマートフォン用のアプリ「trace together(トレース・トゥギャザー)」をリリースして国民に利用するように呼びかけていました。
トレース・トゥギャザーは210万ダウンロードされましたが、位置情報を政府に取得されてそれが監視につながるのでは、という心理的なハードルや、アプリ利用中にスマートフォンの電池の減りが早いといった問題があり、政府の期待した以上に普及していません。
全住民に携帯を義務付け?
シンガポール政府は、今回開発した携帯型端末を約560万の住民(日本の外務省調べ、2019年1月現在)に配布する意向です。
配布する以上、外出時の携帯を義務付けることも十分に考えられますが、気になるのは、不携帯だった場合の罰則があるかどうか、だと思います。
義務となっている外出時のマスク着用違反でも、厳しい罰則が設けられているので、この端末のケースでもなんらかの罰則はあると考えられます。
マスクを着用していなかった場合には、
初回で$300
2回目で$1,000
の罰金が科せられることもあります。
違反を繰り返すと起訴されて裁判にかけられる可能性もあります。
では、端末を友人と交換するなど悪質な場合はどうなるのでしょうか。その場合は、労働ビザの取り消しや国外退去など非常に厳しい罰則が待ち受けていることが容易に想像できますね。
不慮の紛失や故障時の対応など、運用面での課題は多そうです。
死者は26人、感染者数は4万3千人突破
6月29日現在、シンガポールの新型コロナウイルスによる死者は26人、感染者数は43,661人となっています。
ドミトリーで集団生活をする外国人労働者間での感染者数は、1日1,000人を超える日もありましたが、今が200〜300人に減っています。
ただ、感染者が発生し続けている状況に変わりはありません。
世界では感染拡大局面が継続
新型コロナウイルスは、シンガポールや日本では拡大の落ち着きを見せていますが、アメリカやブラジルでは1日当たりの感染者数の最多記録を更新しました。さらに、世界全体での新型コロナウイルスの感染者数は累計1,000万人を突破するなど、世界ではまだまだ感染拡大の局面が続いています。
WHOは「追跡が最重要」と警鐘
WHO(世界保健機関)は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)はまだ続いているという認識を示しています。さらに、WHOのテドロス事務局長は、これ以上の感染拡大を防ぐには「感染者の追跡が最重要だ」と述べています。
シンガポール政府も、経済活動の一層の活発化と諸外国との往来を認めるためには、追跡が重要との考えを持っています。
日本へ一時帰国する際にも持っていかなきゃならないのかどうか、もし旅先で紛失したら再取得するためにいくら支払うのだろう、などまだまだ不明点が多い政策です。
シンガポール政府からの更なる発表が待たれます。
この記事を書いた人
SingaLife編集部
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