【大人の社会科見学】
シンガポールで楽しむイベントその333
-海老の旨味が溶け込む一杯・蝦麺(プラウン ミー)の魅力-

東南アジア、とりわけシンガポールやマレーシアを訪れると、屋台やホーカーセンターで必ずと言っていいほど目にする人気麺料理が「蝦麺(プラウン ミー)」です。ぷりっとした海老と濃厚なスープ、そして麺が織りなすハーモニーは、地元の人々のみならず、多くの観光客の心を掴んで離しません。今回は、その歴史や特徴、現地での楽しみ方まで、蝦麺の奥深い世界をご紹介します。


ルーツと発展―福建移民がもたらしたソウルフード

「プラウン ミー(Prawn Mee)」は、中国南部の福建省から渡ってきた移民によってシンガポールやマレーシアにもたらされた料理です。福建語で「蝦麺」は「ヘイミー」と呼ばれ、福建系中華料理のエッセンスが詰まっています。もともとは手に入りやすい海老や豚肉を使った家庭の味でしたが、南国の食材や多民族社会の味覚と融合し、独自の進化を遂げてきました。

現在では、ホーカーセンターやフードコートなどで手軽に味わえる庶民の定番料理として広く親しまれています。朝食やランチ、時には夜食としても愛される、生活に根付いた一杯です。

濃厚な海老スープが生み出す深い旨味

プラウン ミーの最大の魅力は、何といってもスープの深い旨味です。大量の海老の殻や頭をじっくりと煮込み、海老のエキスを余すことなく引き出したスープは、鮮烈な香りと凝縮した旨味が特徴。そこに豚骨や豚バラ肉、時には干し魚やイカを加えることで、さらに奥行きのある味わいが生まれます。

スープは一見澄んでいますが、ひと口飲めば海老のコクと香ばしさが口いっぱいに広がり、ついついレンゲが止まらなくなる美味しさ。店ごとにスープの濃度や塩味、香辛料の効かせ方などに個性があり、食べ歩きで自分好みの味を見つけるのも現地ならではの楽しみです。



麺と具材の多様な組み合わせ

プラウン ミーに使われる麺は、イエローミー(中華卵麺)とビーフン(米麺)のミックスが定番。2種類の麺が同時に入っているため、もちもちとした食感とつるっとした喉ごしの両方を楽しめます。もちろん、どちらか一方だけを選ぶことも可能です。

具材は、ぷりぷりの海老のほか、豚バラ肉のスライス、もやし、ゆで卵、青ねぎなどが一般的。店によっては魚のすり身や揚げラード、フライドオニオン、サンバルチリ(辛味調味料)などが添えられ、味のアクセントとなります。特にサンバルチリを加えると、スープの甘みと辛みが絶妙に混ざり合い、より深い味わいを楽しめます。

現地流の楽しみ方

シンガポールやマレーシアでは、朝食から夜食まで幅広い時間帯でプラウン ミーを楽しむ人が多く、ホーカーセンターの人気店には行列ができることもしばしば。地元の人は、まずはそのままスープと麺、具材をじっくり味わい、途中からサンバルチリや酢、コショウなどを加えて自分好みに味変していきます。

各店スープの濃さや海老のボリューム、麺の太さやトッピングに違いがあり、地元グルメたちはお気に入りの一杯を探して食べ歩きを楽しんでいます。



まとめ―一杯に詰まった東南アジアの豊かな食文化

蝦麺(プラウン ミー)は、東南アジアの豊かな海の幸と多民族社会が育んだ庶民の味です。濃厚な海老スープと多彩な麺、シンプルながら奥深い具材の組み合わせは、どこか懐かしさと新鮮さが共存しています。

その一杯には、地元の人々の暮らしや歴史、食への情熱がぎゅっと詰まっています。まだ食べていない方はぜひ食してみてください。

大人の社会科見学 筆者

森山 正明
大人の社会科見学シンガポール版は、シンガポールで生活している方々へ、シンガポールの奥深さを知ってもらいたい思いで活動を始めました。「3か月も住んでいればシンガポールは飽きてしまう」と巷では言われますが、なかなかどうして、この地ならではの楽しみは、尽きることはありません。

2013年11月からこのサークル活動を始めて約11年。行ったイベントは、200回を超え、その中から読者の方にもシンガポールの文化や習俗について年中行事を軸に紹介をして参ります。
 
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●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。


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この記事を書いた人

SingaLife編集部

シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!

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