【ベトナムは米の自販機設置!?】新型コロナ対策、シンガポールと東南アジア諸国はどうなの?各国在住者にインタビュー

シンガポールのコロナ対策、今までの流れと第三国からの反応は?

シンガポールでは、新型コロナウイルス感染拡大を防止するため、4月7日から導入された外出制限措置「サーキットブレーカー(CB)」は6月1日で終わり、6月2日からPhase1に入りました。

が、すぐに全面的な経済活動の再開とはならず、まだまだ段階的に緩和されているだけ。Phase2に入れば日常に近い生活が送れるのではと期待されています。それでも第2波への懸念や心配は在シンガポール外国人の私を含めて、色々な思いを抱えている方が多いことと思います。

シンガポールのコロナ対策概要

ー3月20日 
全ての国からの入国者に14日間の自主隔離

(すでに中国本土、フランス、ドイツ、イラン、イタリア、韓国、スペインへの旅行歴がある短期訪問者は入国または通過不許可)*18日に新規感染者数47人と、1日当たりの増加幅が過去最大になったため

ー3月24日 
全ての外国人旅行客、短期滞在者は入国、飛行機乗り継ぎ禁止。
バーやディスコ、カラオケ店、映画館などの娯楽施設を4月末まで営業停止にすると発表。
学校や職場を除く場所での10人以上の集まり禁止
会議やスポーツ大会、コンサートなどは中止もしくは延期
礼拝など宗教上の集まりは禁止

ー4月7日
サーキットブレーカー発動 
*4月以降連日70人以上の感染者が確認されたことを受けて、生活不可欠なサービスとエッセンシャル業種を除き、職場の大半を閉鎖、学校は8日から在宅学習に。国民の外出を原則禁止。

ー4月12日〜5月4日 
対策をさらに強化
*11日の新規感染者が191名にのぼり、うち119名の感染経路不明だったことによる。スーパーやコンビニ、薬局、モールでの買い物客はマスク着用が義務付け。規則違反者の罰則も強化。違反者には300Sドルの罰金を科す規制。食料購入の外出は1人での買い物を推奨。エクササイズの1人で行うことの推奨。

ー4月21日
感染拡大の防止策をまだしばらく敷く必要があるとし、サーキットブレーカーを延長。6月1日までとする
20日、21日と連続で感染者数が1000人以上。ほとんどが、専用寮に住む外国人労働者から。

ー5月2日
5月12日から一部の経済活動を再開すると発表。
外国人労働者の感染者数は高いままだが、シンガポール人の感染者数は減少しているため。再開が認められるのは、製造業、一部小売業、理髪店など。

ー5月19日
政府はサーキットブレーカーを6月2日から緩和すると発表。
*段階的緩和で、第1弾は製造業や金融、情報通信などのサービス業の出勤が可能に(テレワーク推奨、出社の際はソーシャルディスタンス厳守、従業員や訪問者の出入りを記録するアプリの使用の義務付け)。学校は分散登校が条件。飲食店は引き続き持ち帰りと宅配のみ。
*第1弾の規制緩和後、4~6週間後を目処に第2波がないことを確認した後、小売店やスポーツジム、少人数での外食、学校などが認められる方針。

4月中旬より、外国人労働者の爆発的感染が続き、それをニュースなどで知った日本の友人から、「シンガポール大丈夫?」と心配の連絡が私に届きました。確かに不安はあったけれど、「クラスターになった外国人宿舎は隔離されているし、大丈夫だよ」と返事をしながらふと思ったのは、住んでいる人に聞かないと実際の状況って意外と外の人は分からない、ということ。

そこで、気になったのが周辺国の状況です。10年以上海外転居を繰り返し、友人がアジア各国散らばっている私から、各国のコロナ対策や、感じた思いなどを友人達に聞いてまとめてみることにしました。

恐怖政治代表のフィリピンのドゥテルテ大統領、でも厳しさはエリアによって様々!

◯フィリピン(感染者数2万5930人、回復者5954人、死亡者1088人※6月15日)

・1月30日 
武漢から入国した中国人女性が陽性反応
、31日に中国湖北省からの渡航を禁止、2月2日に禁止範囲を中国本土、香港、マカオに拡大。

・3月7日 
海外渡航歴なしの国内5例目の陽性症例
。3月8日に政府は公衆衛生上の緊急事態を宣言
・マニラ首都圏での症例が増加していることから、3月15日からロックダウンスタート。強化されたコミュニティ隔離措置ECQ(Enhanced Community Quarantine)を感染者の多いマニラ首都圏、ラグナ州、セブ市などに対し発動。
*マニラ首都圏への国内陸路、空路、海路の移動制限
*学校の休校措置は自治体の判断に委ねられる
*新型コロナウイルスの症例が確認された国からの外国人入国は禁止
*商業施設で営業を許可されたのは、雑貨店、薬局、銀行、一部の飲食店

・4月14日までのECQの予定を4月末まで延長。その後、出稼ぎ労働者が強制帰国、感染者増により5月15日までさらに延長。

・5月16日から5月31日までMECQ (modified enhanced community quarantine) 、モールなど一部店舗のオープンが許可。ECQにおいて認められなかったエッセンシャルな物資・サービスの調達のための公共交通機関の運行、一部産業の操業を許可。スーパーには一家族につき一枚発行されるquarantineパスの保持が必要。

・6月1日からGCQ(general community quarantine) 。GCQは、公共交通機関が制限付きで始動。操業できる業種を広げ、商業施設や工場の一部も再開できるように。ただし、スポーツクラブ、映画館、カラオケバー、ナイトクラブなどは引続き閉鎖。

【補足】
・首都マニラでは、3月中旬から続いていた世界でも長いロックダウンが6月1日で緩和。
-ただし可能な限り自宅から出ないよう政府は強調。
-ショッピングセンターは再開したが、店舗スタッフは半数、残りは在宅勤務。
-セメントや鉄鋼など、エッセンシャルではない業種の事業は、フル稼働時の半分まで稼動可能。

・4月4日、コロナ対策による自宅待機を国民が破った場合、警官らが射殺も辞さない事態が有り得るとドゥテルテ大統領が警告
・4月5日ドゥテルテ大統領はコロナウイルス対策に1ヶ月分の給与、閣僚の年内月給は75%を寄付すると発表。5000万ペソ(約1億700万円)の初期費用を集めるため。


【感想】マニラ在住Nさん(旦那さん、高校生の息子さん、Nさん・15年在住)

フィリピン特有なことかもしれませんが、今後この国のコロナの状況がどうなっていくのか不安な中、「◯月◯日に今後の方針を発表します」と事前に発表しながら、大統領のアナウンスがその日の深夜もしくは翌日に延期されたり、行き当たりばったりな印象がありました。

ロックダウン中もエリアによって規則が守られていなかったり、取り締まりが緩いところがあったりするとの報道もあり、不安になりました。買い物も、各家庭1人しか一度に外出できなかったのは、厳しいと思いました。そういった国の事情もあり、3月中旬になって日本人駐在員の多くは日本に一時的に避難する家庭も多くあったようです。

・生活で大きく変化したこと
フィリピンはエクササイズでの外出もコミュニティ隔離措置(ECQ)の段階では無理、買い物も1家族に1人のみだったので、家で過ごすことが当たり前になり過ぎて、逆に外に行く時に構えてしまうほどになりました。外の人との会話は全てオンライン、仕事もオンラインでした。

・政府の対応について思うこと
発表、対応がいつも遅い。あまりに、市町村での対応に違いがありすぎて温度差が大きい。貧困層が暮らすエリアはあまり厳しくないようで、もっと全体的に厳しく取り締まってもらいたいと思いました。


〜続いては、アジアでは新型コロナ対策が成功したと言われるベトナムのコロナ対策について。

早い段階からの制限、学校休業で、死者はゼロ人!お米の支給などベトナムらしい補償も

◯ベトナム(感染者数334人、回復者323人、死亡者0人※6月15日)

・2月3日 
全学校の休校、祭典、観光名所などの活動を一時停止
。コンドのプールや公園が閉鎖。5日からは過去14日以内に中国に渡航歴のある外国人のベトナム入国を禁止。

・3月13日 
政府より「アパートでのコロナに関する17のガイドライン」を公表
(共有スペースでの会話の制限推奨,疑いがあれば管理者への通知等)

・3月16日 
公共スペース(スーパー、公共交通機関等)でのマスク義務化
。ディスコ、バー、居酒屋など180店、カラオケ店、マッサージ施設、映画館、ゲームインターネットカフェなど500店を営業停止。

・3月18日 
30日間、入国者のビザ発給を原則停止。
3月22日よりすべての外国人の入国を停止。

・3月28日から4月15日まで
集会の制限。行事職場・学校・病院の外部での10人以上の集合の制限。ハノイ・ホーチミンから国内のその他の地域への移動の制限の実施。3月30日0時から国内線の運行を制限。

・4月1日 
15日間ロックダウン開始。
自宅に待機を原則とし、スーパー、病院への外出、エッセンシャル業務従事者以外の外出を禁止。2m以上の間隔。公共の場で3人以上で集まらない。

・4月15日
政府から4月30日までのロックダウン継続が決定。

・5月8日
ベトナム政府は、感染防止措置の緩和を発表

*面白い補償
-政府→ATMを設置して無料で米を配給
-民間→1万人の雇用創出キャンペーンを実施、ホームレスに食べ物を配る、スーパーで好きなもの5品無料対応

【補足】
・感染者が出たコンドミニアムは封鎖、強制的にPCR検査を受けなければいけない。あちこちで防護服を来た人達を目にした。
・3月中旬には、日本人が道路で公安から声をかけられるケースも多発、Grabの運転手から日本人の乗車を拒否されたり、タクシーも含めて窓を全開にした上で乗せられた人もいて、日本人の間で不安が広がる。3月中旬以降、不安を感じた多くの日本人が帰国。
・2月にマスク、消毒液などが品薄となり、マスク等便乗値上げの取り締まり。 
・3月に移動式消毒キャビンを設置、新型コロナ検査キッドを輸出。
・4月にハノイで風邪薬購入者情報を管理し、体調不良者を徹底的にチェック。


【感想】ホーチミン在住Mさん(旦那さん、小学生・中学生の息子さん、Mさん・1年在住)

とにかく国の動きが早いと思いました。2月14日〜3月5日まで感染者がいなかったのに学校、プール、公園がクローズされたのが不思議で、やりすぎじゃないかと個人的には思っていました。とにかくベトナム人がコロナウイルスを怖がっていて、国民の半数以上が学校再開に反対していたのが印象的でした。

ベトナムは感染症の専門医が少なく医療施設も整ってないのでベトナムで感染したら最後と言われ、私たち家族も9割帰国する方向で当初は考えていました。でも結果的にほとんどの人が完治し死者は0人、きちんと検査して徹底的に管理してくれたので、結果ベトナムに残って正解だと思えました。日本と違い、政府の国民への強制力が強く、規制が厳し過ぎると思った事もありましたが、感染症に関してはそこまでやらないと駄目なのかも、と考えが少し変わりました。


〜最後は、徹底した早期の取り組みで感染拡大阻止に成功した台湾のコロナ対策について。

コロナ対策優等生の台湾。対策スタートは昨年から。マスク在庫マップをデジタルで管理!

◯台湾(感染者数443人、回復者431人、死亡者7人※6月15日)

・12月31日 感染者0人の時点で入国検疫を強化
・1月11日 国内初の感染者発生のデマを政府が速やかに否定。
・1月20日 緊急対策本部の立ち上げ。
・1月24日 マスク輸出の禁止。
・2月2日 学校の旧正月休みを2週間延長。
・2月5日 中国からの入国を全面禁止、6日にはマスク在庫マップの公開。
*パニックで買い占めのないようにするため。
*デジタル総括大臣オードリー・タン氏の活躍。タン大臣が台湾全土の店舗のマスク在庫状況データをリアルタイムで公開。
・3月21日 海外渡航を禁止
・3月24日〜4月7日 航空でのトランジット渡航者を禁止
・4月3日 マスク生産量を1月から7倍に


【感想】台北在住Tさん(旦那さん、小学生息子さん、Tさん・在住9年)

台湾はコロナウイルスの対策が早く、結果的に都市封鎖もなかったので、外出禁止にもならず大きく生活が変わったという感じはありませんでした。

旧正月(1月23日〜29日)明けに休みが2週間延長され、台湾国内の学生に対して7月15日まで海外への渡航禁止が発表されました。うちのような小学生のいる家庭は、日本を含む海外に出られなくなりました。他国同様、台湾でも公共交通機関を使う時にはマスク着用が義務づけられ、1.5メートル離れるなどのルールもできましたが、買い物なども普段と同じようにできたので、日常生活でこれといった変化はあまりありませんでした。

学校も分散登校はなく、4月末から再開して5月末までは4時間授業、6月からは弁当を持って午後までの授業になりました。行事などは例年よりは減らす予定のようです。

・政府の対応について思うこと
政府中枢にいる大臣などが皆プロフェッショナルで、対応が的確で迅速だったことはニュースでも知られていることですが、台湾は昨年末からとかなり早い段階でコロナ対策をするなど、正しい判断を正しいタイミングでできたと思います。マスクが一時的に手に入りにくくなる状況もありましたが、すぐ入手できるシステムが導入され、安心しました。政府と国民との距離も近いと感じました。政府のコロナの対応に国民が満足しているのも身近で見ていて肌で感じたことでした。

台湾の衛生福利部長・陳時中氏の、自粛する市民へお礼参り。徹底したコロナ対策で一躍ヒーローに※6月一週目撮影

・印象的だったこと
様々な対策を取っている台湾にこの時期にいられることはかなり安心で有り難いと思いましたが、一方で、日本で感染者数が増えてきた2月頃、日本語を話していると罵倒されたり、嫌な顔をされるといったことも耳にしました

あと台湾人は普段そこまできっちりルールを守らない印象もありましたが、マスク着用などのルールはしっかり守っていて正直驚きました。罰金制度もあり、事実、違反者に罰金が科されたニュースが連日放送されていたので、罰金制度が功を奏しているんだと感じました。

◎まとめ

どの国も今年に入ってから早いタイミングでコロナ対策を取っていることに驚きました。また、興味深かったのは駐在経験のある台湾、フィリピンに関しては、住んでいた時に感じていたその国の特色や問題点がコロナ禍によってより強く表面化しているように思いました。

例えば、フィリピンは国民の貧富の差が激しいため生活環境がバラバラで規制に統制が取りにくい点です。ドゥテルテ大統領は以前から麻薬の取締りなど厳しく罰し、それが国の安全のためには必要との姿勢を取ってきました。独裁的で国内外から批判も多いのですが、一定の支持水準を保っていることが特徴的です。「外出制限違反者は射殺する」といった恐ろしい発言がありながらも、コロナ対策のために給与を寄付するといった態度を見せていることは正直意外でもあり見方が変わった部分でもありました

また、台湾は感染症への意識が以前からとても高く、幼稚園の学級閉鎖が手足口病に対してでも行う等、「少し厳しいな」と感じることもありました。なので昨年からWHOにコロナの警告していたことは、納得です。また、基本的に親日ですが、「それとこれは別」というはっきりした態度も台湾人らしいと思いました。

ベトナムは住んだことはありませんが、旅行で行ったホーチミンで感じた社会主義国ならではの国民の真面目さが、コロナ対策へ国民が積極的に参加し戦うという姿勢に自然となったのではないかな、と思いました

シンガポールにおいては特に労働者への劣悪な環境問題が浮きぼりになりましたが、それに対しリー首相が「あなたたちの健康を必ず守る」と誓い、「味方である、必ず保障する」とはっきり表明したことは素晴らしいことです。外国人労働者のあり方について今後検討すべき点は多いですが、多民族国家としての方向性は、昨今世界で問題になっている有色人種への差別問題のニュースを見ていても、シンガポールから見習うべきポイントがあるのではないかなと思います。

一時、「シンガポールはコロナ対策を失敗したか」とも報道されましたが、それは早急な見方ではないでしょうか。現地の感染者数のみで感染症対策が成功、失敗とは判断しにくいコロナ対策。どの国においても、これから起こるかもしれない第二波、第三波に備えてどういった対策を打ち出していくかが重要課題であり、世界で有効な対策方法、治療技術などを情報共有し、1日も早いコロナウイルスの収束に注力していく時だと思います

この記事を書いた人

Natalie

駐在4ヵ国目、2児の母。 日本で旅行情報誌の制作・編集を経て、在住国の海外邦人向け情報誌のライターへ。 お値打ちで美味しいもの、安く手に入る雑貨などを好むプチプラ・ラバー。激辛激甘に目がない。推しのKPOPを聴くこと、ドラマや映画を観ること、ゴミ拾いが趣味。

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