【6月一時帰国レポート】娘2人を連れてシンガポールから日本へ。新型コロナ対応のハイヤーを事前手配。
シンガライフウェブで5月に公開したこちらの記事【シンガポール→日本への一時帰国(20年4月)詳細レポート】。
この記事をご覧になった読者の女性(高田さん=仮名、30代)が、6月にシンガポールから日本に一時帰国したそうです。その際の体験談をメールでお寄せいただきました。
関連記事:「<幼い娘2人連れて日本からシンガポールに“帰国”>14日間の隔離が自宅からホテルに変更。トラブル続きの帰国記録」。高田さんが日本からシンガポールで“帰国”した際のレポートです。
家族の事情でどうしても日本へ帰らざるを得なくなった高田さん。2人の幼い娘(0歳と4歳)を連れての帰国は、様々な方のサポートがなければ不可能だったと振り返ります。
帰国に当たって「到着した空港で何時間ぐらい待たされるのだろう?」「ホテルではどんな風に過ごすのだろう」といった情報を、シンガライフの記事から把握できて、それが心の準備に役に立ったと高田さんは話します。「同じように一時帰国をしなければならない状況の方々にとって、私の体験談が少しでも役に立てば」との思いから体験談を話してくださいました。
一時帰国の時期:6月下旬
一時帰国理由:親の終末期病院への入院手続きのため
◆事前準備
高田さんは、シンガポールから日本へ一時帰国する前に、次のような手続きを行いました。
・幼稚園の一時退園手続き
高田さんはシンガポールに7月中旬に戻ってくる予定ですが、シンガポールでは、帰国後14日間は自宅からの外出を一切禁止する「ステイ・ホーム・ノーティス(SHN)」となることから、幼稚園に通うことができません。そのため、一時退園の手続きをしました。
・入院保険加入手続き
シンガポールでは現在、海外からの渡航者(長期ビザ保持者を含む)がシンガポール国内で新型コロナウイルスの治療を受けると、入院費用や治療費が全額自己負担となります。
それらの金額が高額となることから保険が適用できるように契約内容を変更したそうです。
・旦那さんの会社への依頼
※編集部注意
日本からシンガポールに戻ってくる場合は、あらかじめシンガポール政府から入国の許可を取らなければなりません。DPの場合は、EP保持者の配偶者の勤務先企業がその申請を行う必要があります。そして、申請すれば必ず許可されるわけではありません。
高田さんが在シンガポール日本大使館に確認した情報によれば、6月24日現在で、運輸や医療関係といったエッセンシャルサービス以外の仕事に従事する日本人がシンガポールに戻って来られたケースはない、とのことです。
そのため、高田さんも旦那さんの勤務先にシンガポールに戻ってくる際の帰国許可の申請を依頼。旦那さんの会社では、2020年3月に日本へ出張している間にシンガポールの「国境が封鎖」されてしまい、未だにシンガポールに戻って来られない社員がいるそうです。
※公開日現在では、シンガポール政府が許可するケースが出てきているそうです。
・ハイヤーの手配
到着する成田空港から各自の滞在先までの移動に公共交通機関(電車やバス、飛行機、タクシー含む)を利用することはできません。
空港からの移動手段は実質的に、自家用車かレンタカー、そしてハイヤーに限られます。高田さんはハイヤーを選択し、手配しました。
※編集部注意
ハイヤーには、帰国者が利用しても問題ないと厚生労働省が認定するハイヤー会社が4社あります。この4社のハイヤーは、運転席と後部座席との間に、仕切りを設けるなどの感染予防策が施されています。
厚労省認定ハイヤー(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00020.html)
(1)一時帰国スケジュール
6月
25日早朝 チャンギ空港発成田空港行きフライト
25日午後 成田空港に到着
25日夕方 浦安市のホテルに到着、宿泊
26日午後 事務局からPCR検査陰性の連絡、宿泊
27日午前 成田空港検疫所からPCR検査陰性の連絡、チェックアウト
27日午後 ハイヤーで千葉県松戸市の実家に移動
7月9日 14日間の自主隔離期間が終了
(2)日本到着まで
チャンギ空港へはいつものようにグラブを利用しました。
チェックインカウンターがあるチャンギ空港ターミナル1は、私たちが利用したANA以外のカウンターは全て閉鎖していたように思いました。
人影もほとんど見られず、閑散とした雰囲気でした。出国ゲートを通過した後のフロアにある免税店は閉まっていました。
今回は成田空港行きのANAを利用しましたが、乗客は座席に半分ほどで空席が目立ちます。日本人だけではなく欧米系の方々も多かった印象です。
大荷物を抱えた日本人の方は、本帰国でしょうか。
機内に乗り込むとすぐに書類が配布され、1枚は検疫所に提出する書類、もう1枚は成田空港に到着後の検査の流れが書かれています。
私の周りの方々は、自分の座席に座ると持参したアルコールシートで、肘掛けやモニター、テーブルなどを拭いておられました。これまでに見られなかった光景だったので、驚きました。
キャビンアテンダントさんは、マスクとゴーグルを着用されてのお仕事で、緊張感が伝わってきました。
娘のおむつを交換するためにフライト中何度かトイレを利用しましたが、利用するたびにトイレ内が清潔に保たれており、こまめに清掃と消毒をして下さっていることが感じられました。
(3)成田空港に到着
成田空港には6月25日の午後に到着しました。
成田空港に到着すると、3つのパターンに対応が分かれます。
1:トランジットの方
→こちらは成田空港から日本各地の空港に向かう人たちになります
2:お迎えのある方
→家族、親戚、友人など空港に迎えにきてくれる車で帰る人たち
3:政府指定の宿泊施設に滞在予定の方
→PCR検査の結果が出るまで、政府が用意する宿泊施設に滞在します
私は③でしたので機内から出てから、数人のグループに分かれて、PCR検査場まで移動しました。検査場は入国審査の前に行われます。
※編集部注意
自宅に帰る場合に限ってPCR検査の結果が出る前に空港から移動することが許可されています。ただ、公共交通機関(電車、バス、飛行機、タクシー)の利用はできず、自家用車かレンタカー、ハイヤーに限られます。
高田さんの実家は千葉県松戸市にあるので、PCR検査の結果が出る前に帰ることもできました。しかし、実家には持病のある高齢の父親がいるため、万が一の2次感染リスクを考えて、政府が指定する待機用ホテルで検査結果を待つことにしたそうです。
話をPCR検査場の場面に戻します。
2人の子どもを連れていたので、優先的に案内してくださり助かりました。検査場では、検査官の方と面談を行い、今後の滞在場所(私の場合は千葉県松戸市の実家)とそこまでの移動方法を報告します。
※移動方法の詳細については後述します。
PCR検査の方法は、テレビでも何度も流れているのと同じように、鼻に綿棒を挿入し、検体を採取します。娘たちも同じ方法で検体を採取しました。
PCR検査を終えると、手荷物受け取りレーンに移動し、預けていた荷物をピックアップします。
(4)ホテルへの移動
手荷物を受け取ると、ホテルへの移動となります。
ホテルまでは専用のバスで移動することになりますが、手荷物受け取り場所の空きスペースに段ボールで簡易スペースが設けられおり、そこで一時的に待機できるようになっています。
簡易スペースは、写真のように個室のようになっており、プライバシーも守られている作りになっていて安心できました。
今回、幼い娘2人を連れていたので、空港でのアシストサービスを利用させてもらいました。空港職員の方が飛行機を降りたところから、バスに乗るまでずっと付き添ってくださり、大変助けられました。
ご自身も感染するリスクがある中で、親身になって私たち親子に付き添って下さった空港職員の方には本当に感謝しかありません。
この場で改めてお礼をさせていただきます。ありがとうございます。
段ボールで作られた待機場所では、軽食やお菓子、水や果物などを自由にとることができます。
長時間のフライトで疲れたであろう子どもたちにとって、束の間ですが気を落ち着けることができたようで、安心しました。
待機場所でおよそ50分間過ごしたあと、バスの準備が整ったようで乗り場まで移動します。
(5)ホテル到着
バス車内では、ホテルで配布される食事に関するアンケートが配られ、記入します。
内容は、離乳食のチェックとアレルギー対応はできない旨の説明の他、ホテルの部屋を家族と同じにするか、別々の部屋にするかを選びます。
アンケートを記入すると部屋番号が知らされます。滞在する部屋は1人部屋と4人部屋が用意されていたようで、私は4人部屋です。
千葉県浦安市のホテルに到着し、部屋まで移動しますが、その間もエレベーターの行先ボタンは事務局の方が押したり、エレベーターには1組みずつ乗ったりするなど、感染者がまぎれていた場合に感染が拡大しないように徹底されているのが印象的でした。
4人部屋に到着すると、ベッドの上にメッセージカードが置かれていました。
「ご移動お疲れ様でした。ごゆっくりお過ごしください」
と書かれたメッセージカードを見て、シンガポールを出てから初めて安堵感を抱くことができました。
(6)検査結果が出るまで
部屋の中には、2リットルの水のペットボトルが2本とアメニティ類、タオル、粉末のコーヒーやお茶は十分すぎるほどの量が用意されており、事務局の方の優しい心遣いを感じました。
食事は、午前8時、正午、午後6時の3回配布されます。
お弁当は、なるべく接触しないようにドアノブに掛けられる形で配られます。
食べたあとの空き容器は、ビニール袋に入れて袋の口を縛って部屋のドアの外に置くように指示されます。
ホテル滞在中は原則として部屋から出ることができません。子どもがお腹を空かしてぐずついてしまったことがあったので、子どもが好きなお菓子をシンガポールから持参しておけばよかったと思います。私自身の気分転換にもなったかな、と思います。
(7)PCR検査結果は陰性
成田空港で受けたPCR検査の結果は、陰性でした。
陰性の連絡は、
26日午後に事務局から部屋に備え付けの電話に、
27日午前に成田空港検疫所からそれぞれいただきました。
事務局から陰性という連絡を受けたとき、ほっと胸を撫で下ろしたのを覚えています。
3人のうち誰か1人でも陽性となってしまえば、3人とも検査入院などをしなければなりません。
陰性となったことで、ホテルをチェックアウトできるようになります。
(8)滞在先の実家へ移動
日本での滞在先となる千葉県松戸市の実家には、浦安市のホテルからハイヤーで移動します。PCR検査の結果が陰性となっても、日本に到着後14日間は公共交通期間の利用は控えるように要請されていることから、ハイヤーを手配することにしました。
他にもレンタカーでの移動もありましたが、成田空港に到着してみるまで滞在するホテルの場所が分からない上、ホテルからレンタカーを借りる成田空港まで再び戻る手間を省きたかったのもあり、ホテルまで来てくださるハイヤーにしました。
写真のアンケート用紙にも記載がありますが、成田空港まで戻るには、事務局が手配したバスで成田空港まで戻ることになります。
ハイヤーの運賃は3万5000円でしたが、成田空港に到着するまでどこのホテルに行くか、PCRの結果がいつ出るのかも分からない状況でも予約を取らせていただき、フレキブルに対応して下さったのでとても助かりました。
(9)実家での過ごし方
到着から14日間は極力、外出を控えるようにとの通達があったため、日用品の買い物などはネットスーパーを活用し、基本的には自宅で過ごしています。
ただ、厚生労働省の担当の方にお聞きしたところ、自宅待機中であっても「最低限の食料品の買い物であれば、外出をしてもよい」とのことだったので、それが気分転換になっています。
子どもたちは、シンガポールでの外出制限措置(サーキットブレーカー)期間もシンガポールの自宅内で過ごしていたこともあり、日本でも自宅内にとどまっていることに大きなストレスを感じてはいないようです。
4歳の長女は、KUMONを行うことが日課となっており、週に2回はZOOMでレッスンをしています。
何よりも、シンガポールでは入ることがほとんどなかった湯船に毎日浸かり満喫していて、それが親として微笑ましいです。
(10)日本に到着してみて
・日常と変わらない風景
PCR検査の結果が出るまで滞在していたホテルの窓から外を見やると、6人以上でピクニックをしているグループや、サッカーや野球を楽しむ子どもたちの姿が見えました。
自宅から見える公園では、保育園児たちがソーシャルディスタンスなどの規制を受けずに、元気に走り回って遊んでいました。
シンガポールではまだ6人以上で集まることが許されていませんので、シンガポールでは目にすることができないこのような光景に、心が和みました。
日本では、シンガポールのように自宅待機期間中に、1日に数回テレビ電話で在宅しているかどうかを確認されることもない上に、罰則もありません。
マスクを身に着けている人にが大半ですが、ピリピリした雰囲気がなく、比較的いつもと変わらない日常を過ごされているように見受けられました。
日本は日々、感染者が増えたりしている点は不安ですが、シンガポールより規制が少ない分、緊張感は少なく、自由度は高く過ごせる点は良いなと思いました。
(11)一時帰国を考えている人へ
一時帰国をした私自身が、このようなことを申し上げるのは大変心苦しいですが、シンガポールを出てから実家に着くまで、本当にたくさんの方々にお世話になりました。
検疫所の事務局の方々、空港職員の方々、ハイヤー会社の方々、医療関係者の方々、、、
ホテルに到着する時に、事務局の方がバス車内で今後の流れを説明して下さっていましたが、その説明する声や書類を配る手が震えておられて、、、
連日、羽田空港や成田空港でも感染者が発見される状況が続いている中、緊張と恐怖と日々闘っておられるのだな、と実感しました。
本当に頭が下がる思いです。
1人に対応するだけでも多くの労力と時間を割いていただいて、感謝しかありません。不要不急の用事で帰国するには、まだまだ早いと感じました。
高田さん日本からシンガポールで“帰国”した際の模様もレポートしています。こちらの記事「<幼い娘2人連れて日本からシンガポールに“帰国”>14日間の隔離が自宅からホテルに変更。トラブル続きの帰国記録」からご覧ください。
この記事を書いた人
SingaLife編集部
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