大麻の危険薬物指定除外めぐる国連決議にシンガポール閣僚が懸念表明
シンガポールのシャンムガム法相兼内相は12月5日、国連麻薬委員会が大麻を“最も危険な薬物”リストから除外した決定について、「科学や合理性よりもマネーパワーや権益に基づくものだ」として、これに反対する考えを明らかにしました。
同委員会は2日、大麻の医療利用に関する研究がより簡単に行えるよう求める世界保健機関(WHO)の勧告を受け、大麻をリストから除外するべきかを問うことを採決。反対25カ国、棄権1カ国に対し、27カ国が除外に賛成しました。
シャンムガム氏は、今回の票決に関し、大麻が企業に巨額の利益をもたらしている実態に触れるとともに、大麻乱用に伴う精神障害のリスク増大や知能低下といった悪影響を指摘する研究結果に言及し、「大麻が有害である証拠は明確だ」と主張。
合わせて、「医療目的のための大麻の必要性を論じるのは、医師や医学団体であるべきで、利益を追求する企業が、医療目的だと称して、販売する薬品を決定するべきではない」との認識を示しました。
シャンムガム氏はさらに、大麻を合法化した国・地域における状況に懸念を表しており、たとえば、米コロラド州においては、窃盗が8%、その他の凶悪犯罪が約19%、大麻関連の事故死が151%、それぞれ増加した結果、薬物販売による税収1米ドルに対し、薬物使用のマイナスの影響への対応費として4.50米ドルが費やされていると見積もられています。
そのうえで、同氏は、「国内から麻薬をほぼ撲滅したシンガポールは麻薬対策に成功した世界で数少ない国の1つだ」と述べると同時に、「麻薬対策は公共の利益につながる」として、国際社会に麻薬対策の意義を説く必要性を強調しています。
大麻の医療利用が広がりつつあるなか、各国の今後の対応に注目が集まりそうです。
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SingaLife編集部
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