シンガポール人の16歳少年がイスラム教モスク襲撃を計画、当局が検挙
シンガポールの治安当局は2020年12月、シンガポールのイスラム教徒を狙ったテロを計画した容疑で、16歳のシンガポール人の少年を国内治安法(ISA)に基づいて検挙しました。
極右過激派に触発された計画的犯行
1月27日の国内治安局(ISD)の発表によると、少年はインド系のプロテスタントキリスト教徒。イスラム教に対する強い反感と、暴力への魅力が、少年を犯行の準備行動に駆り立てたとのことです。
少年は、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」による宣伝動画を観て、「ISISはイスラム教の代表で、イスラム教信者は非信者を殺すつもりだ」と誤った認識をしていました。
少年は、ニュージーランドのクライストチャーチにある2つのモスクで2019年3月15日に発生した、銃乱射事件のライブ配信動画を視聴。また、モスクを襲撃したオーストラリア国籍のブレントン・タラント容疑者の、犯行に至る経緯などを記した声明書を、オンラインで入手し読んだとのこと。
刃物でモスクを襲撃する計画
少年が立てた犯行計画は、自宅近くのアドミラリティにあるAssyafaahモスクと、ウッドランズにあるYusof Ishakモスクを襲撃し参拝者を殺害するというもの。襲撃を予定していた日は今年の3月15日、クライストチャーチでの襲撃事件が起こってから2年目となる日です。
少年は攻撃の前に、これら2つのモスクの偵察・調査をオンラインで実施。2つのモスク間を移動する目的で、電気自動車サービス「Blue SG」を利用し運転する計画を考案しました。
少年は、右翼過激派のシンボルのタクティカルベストを、フリマアプリ「カルーセル」で購入。さらに、タラント容疑者と同様に攻撃をライブ配信できるよう、モバイル端末にストラップをつけることを予定していました。
少年は当初、犯行にライフルを使用することを考えましたが、シンガポールの厳格な銃器規制法のもとで銃を入手するのは困難だと判断し断念。
爆弾を作ることや、タラント容疑者と同様にガソリンでモスクに火をつけることを考えたものの、個人の安全を懸念し作戦を断念。
最終的に少年は、ナイフ攻撃を企て、YouTubeにある動画を見て犯行の準備をしていたとみられています。
2つの声明書を用意
少年は攻撃前に犯行を広める目的で、2つの声明書を用意。タラント容疑者の文書から多くが引用されており、タラント容疑者を「聖人」と呼び、クライストチャーチの銃乱射事件を「イスラム教徒の正当殺人」と指摘しています。
少年の近親者を含め周囲の人々は、少年の犯行計画やイスラム教に抱く憎しみの感情に気づいていませんでした。
少年に対し保護処分を講じる
ISDは、これらの綿密な計画と準備は、犯行を実行するという少年の意思を示していると指摘。少年法の適用により、調査および拘束期間中は保護処分が講じられます。現在少年は、宗教的、心理社会的アプローチを含むリハビリを受けています。
ISDは、疑わしい道具や人物を見つけた場合やテロに関する情報を得た場合は、以下の連絡先より当局に通報するよう促しています。
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●ISDテロ対策センター
電話:1800-2626-473
ファックス:6282 8473
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SingaLife編集部
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