シンガポールのフードロス問題、ミレニアル世代はどう考える?
サステナブルに関心の高いミレニアル世代
デロイト社が行った世界的な調査によると、ミレニアル世代(※)は「最も関心があること」について、健康や仕事など個人的な人生の不安より、気候変動や環境保護といった社会的な課題を挙げる割合が高いことが明らかになっています。
※ミレニアル世代:2000年代に成人する世代のことを指し、デロイト社の調査では1983年~1994年生まれの世代と定義されている。
さらに、ミレニアル世代の83%は「気候変動の原因は主に人間にある」と考え、環境保全のための現在の取り組みが成功すると考えているのはわずか40%という調査結果もあり、環境問題に楽観的な見方をしている人は少ない状況です。
デロイト・シンガポールのリードディレクター・チャン氏によると、「ミレニアル世代は、サステナビリティの観点に基づいて人生の重要な決断を下している」と言います。ミレニアル世代は、子供を産むべきか、また何人産むかといった人生の重要な選択から日々の食生活まで、サステナブルかどうかという視点を常に持っているようです。
「ミレニアル世代は、単に利益を追求するだけでなく、私利私欲を超えた領域に関心を持っています。消費を減らし、旧来の偏見や障害を乗り越えて、環境問題や社会問題を解決したいと考えているのです。」
シンガポールのフードロス削減を目指し生まれた「UglyFood」
そうした中、2016年にシンガポールの大学発のプロジェクトとして生まれた事業が「UglyFood」です。UglyFoodは傷があって店頭に並べられない果物や野菜を輸入業者やスーパーマーケット・卸売業者から引き取り、フードロスの削減を目指しています。
シンガポール環境評議会とデロイト社の2019年の調査によると、シンガポールでは年間約200万トンの食品を輸入していますが、そのうち約20%にあたる約39万3,000トンが製造〜販売までの過程で、形や見た目が基準に合わず廃棄されています。
UglyFoodの共同設立者であるタン氏は、「私たちは、シンガポールで発生する食品廃棄物の少なくとも1/8〜1/7を削りたいと考えています。いずれは生鮮食品のフードロス削減の分野で、世界的なブランドになりたいです。」と語ります。
2019年には「ゼロウェイスト」が目標に掲げられ、政府主導でも資源の使い方の見直しを国民に啓蒙するようになったシンガポール。今後、ミレニアル世代が消費者、生産者、投資家、政治家としてのポジションの中心になるにつれ、企業も変革の時を迫られているのではないでしょうか。
この記事を書いた人
SingaLife編集部
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