シンガポール外務省が、LGBT支援団体とオンラインセミナー開催の米大使館に不干渉を要請

シンガポール外務省(MFA)は5月19日、在シンガポール米国大使館が17日、LGBTQI+(性的マイノリティー)の権利向上に関するオンラインセミナーをシンガポール国内の性的マイノリティー支援団体「Oogachaga」と共同開催した件をめぐり、「シンガポール国内の外国公館は、性的指向をめぐる政策方針など、わが国の社会・政治問題に関与すべきではない」と、米国大使館に通達したと発表しました

同セミナーは、5月17日が性的マイノリティーの権利に対する認識を広め、関心を高めることを目的とした「国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日(International Day Against Homophobia, Transphobia and Biphobia=IDAHO)」にあたるのに合わせて開催。性的マイノリティーをめぐる経済問題が専門の米国人大学教授を招いて、性的マイノリティーに対する平等やインクルージョン(包摂)が経済競争力を高める効果について、議論が行われました。

MFAの報道官は、今回のセミナーが開催されたことについて、遺憾の意を示すとともに、「(シンガポール国内における)性的指向などの問題を議論・決定するのは、シンガポール人に限られるべきだ」と主張。

一方、米国大使館の報道官は、地元紙ストレーツ・タイムズの取材に対し、「米国は世界中の性的マイノリティーの人権を促進しており、米国大使館はあらゆる人の人権と意識向上に向け、さまざまな問題に関し、市民社会のパートナーと定期的に活動を行っている」と回答しています。

IDAHOに際し、米国をはじめ、英国、オランダ、スイス、スウェーデンなどの欧州諸国や、カナダ、オーストラリアの在シンガポール外国公館が、性的マイノリティーとの連帯を呼びかけるメッセージや、性の多様性を象徴する虹色の旗「レインボーフラッグ」をソーシャルメディア上に掲載しました。

なお、米国大使館とOogachagaは、2020年のIDAHOにも米国の性的マイノリティー支援団体からゲストを招き、オンラインイベントを開催しています。

性的マイノリティーの権利拡大を求める動きが世界的に広がるなか、シンガポール政府の今後の対応に注目が集まりそうです。

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SingaLife編集部

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