シンガポール政府がデング熱への警戒を呼びかけ。媒介する蚊の生息数が増加
国家環境庁(NEA)は6月1日、デング熱を媒介する蚊の生息数が増加していることから警戒を呼びかけました。デング熱を媒介するネッタイシマカの個体数は1月から4月にかけて約30%増加しています。
NEAは、次の地域において依然としてネッタイシマカが多く生息していると述べています。
・西部のClementi West Street 1
・北東部のHougang Avenues 6、8、10
・西部のJurong East Avenue 1
・西部のJurong East Street 32
・南部のMei Chin Road
・南部のMei Ling Street
・南部のStirling Road
NEAによる発表は下記から確認できます。
NEA Urges Vigilance As Aedes Aegypti Mosquito Population Remains High In Residential Areas
シンガポールでは、今年に入ってから2,700件以上のデング熱患者が報告されており、現時点で22の拡大中のデング熱スクラスターが確認されています。直近のデング熱患者数は、シンガポールにおける歴史的な大流行となった昨年の同時期に比べて減少しているものの、2017年や2018年よりも多くなっています。
NEAは、「これまで珍しかったデングウイルスの血清型が流行していることや、多くの人々が自宅にこもり仕事をしたりしていることが、デング熱のリスクを高めることになるでしょう」と懸念を示しています。
NEAによると2月以降にサンプリングされたデング熱の症例では、DENV-3とDENV-4という血清型が半数以上を占めていました。DENV-3は約30年前に流行した血清型であるほか、これまでDENV-4の発生率は一貫して高くありませんでした。このため「DENV-3とDENV-4に対する集団免疫は低く、より多くの人がウイルスの感染を受けやすい状態にある」と述べています。
加えて、自宅にこもることで蚊に刺される機会が増えていることも指摘。2020年に実施した新型コロナウイルスの感染拡大防止のための外出制限措置「サーキットブレーカー」の期間中に報告されたデング熱感染者数が、外出制限のない前提の場合よりも50%近く多かったという研究結果を示しています。
NEAは、蚊の繁殖を防ぐために、少なくとも週に一度、植木鉢の皿を持ち上げる、花瓶の水を交換する、屋根の雨どいを掃除するなどして水の滞留を解消するための対策を行うことをすべての市民に呼びかけています。
さらに、デング熱のクラスターが発生している地域に住む人に対しては、虫除けスプレーの定期的な使用、長袖・長ズボンの着用などの対策を推奨しています。
この記事を書いた人
SingaLife編集部
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