両親がシンガポール人の場合と比べ、母親が外国出身の子どもは問題行動を起こす傾向。シンガポール国立大学が調査

外国出身の母親とシンガポール人の父親との間に生まれた子どもは、両親がともにシンガポール人の子どもと比べ、「言うことを聞かない」、「すぐにかんしゃくを起こす」、「うそをつく」といった問題行動を起こす傾向が強いことが、調査により明らかになりました

シンガポール国立大学(NUS)家族・人口研究センターの創立者兼ディレクターのジーン・ユン教授らが行った調査は、3~6歳の子ども2,658人の母親を対象に実施し、約30項目から成るチェックリストを用いて、子どもが問題行動を起こす頻度を数値化しました。

数値が高いほど、問題行動を起こす頻度が高いことを意味し、両親がシンガポール人の子どもが5点だったのに対し、外国出身の母親とシンガポール人の父親との間の子どもは平均5.6点に上りました。

ユン教授は、調査結果に関して、外国出身の母親は、シンガポール人の母親と比較して、より多くの心理的・経済的ストレスを抱え、家庭内のあつれきも多いという実情に言及。

外国出身の母親とシンガポール人の父親の家庭の世帯員1人あたりの月収は、夫婦ともにシンガポール人の家庭の2,586Sドルに対し、1,580Sドルにとどまります。加えて、外国出身の母親は、シンガポール人の母親と比べて、学歴が低く、社会的支援が不足しているとのことです。

そのため、ユン教授は、「こうしたストレスを抱えた親は、より厳しく、愛情に欠けた子育てに陥る傾向にあり、子どもの問題行動の増加につながっている」と分析しています。

ただ、収入と家庭内の感情面のストレスが同水準の場合、母親が外国出身者とシンガポール人の家庭の間で、子どもの問題行動の程度に差は見られず、ユン教授は、各家庭の経済的困窮を減らし、家庭内のストレスやあつれきを和らげる政策の大切さを強調しています。

2019年の人口統計によりますと、同年に生まれた子どもの母親のうち、約3分の1が外国出身者というシンガポール。多様性に富んだ社会を支えるインクルーシブ(包摂的)な政策の実現が、期待されます。

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SingaLife編集部

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