【シンガポール×マレーシア】切っても切れない関係のシンガポールとマレーシア。国境開放で経済正常化へ向かう

元外交官 × エコノミスト 川端 隆史のアジア新機軸

各国が国境を開き始め、ポストコロナ時代の到来が本格化しつつある。シンガポールにとってはマレーシアのジョホールとの陸路の国境が開いたことが大きいだろう。

コロナ前は、シンガポールのウッドランドからコーズウエイを使ってジョホール・バルを行き来するルートだけで毎日30から40万人もの人々が国境を越えて往来していた。

シンガポールとマレーシアの陸路の往来ではコーズウエイが最も主要な手段であり、他の陸路ではシンガポール側のトゥアスからマレーシア側のタンジョン・クパンを通過するセカンドリンクがある。

ジョホール・バルの商業の中心が東側のため、コーズウエイがまだ主要ルートだが、西側に用事があるときは空いているセカンドリンクが便利だ。

また、このほかにも、日本人が使うことは殆どないだろうが、チャンギ・フェリー・ターミナルから出発し、マレーシアのコタ・ティンギにあるプンゲランに入国する海路もある。

シンガポールの長期滞在外国人も含む人口が約545万人(2021年6月末時点)である。うち労働人口が357万人である。コロナによる行き来ができない状態でこの数字である。

コーズウエイを利用する人々には労働人口以外もいるが、その多くが仕事のために移動している人だろう。こうした数字からは、30から40万人の人々の移動ができない状況がいかにインパクトのあるものだったのかが分かる。

また、2019年時点でシンガポールに住むマレーシア人は100万人近いことを国連のデータに基づいてマレーシアのメディアが報じている。コロナ禍でマレーシアへの往来が大幅に制限されて、目の前にある故郷に入国できない状態が続いていた。

日常的な移動から長期滞在まで、シンガポールとマレーシアは人材や人的なつながりからみて、切っても切れない存在だ。

シンガポールのマクロ経済やビジネス活動の正常化のためには、ジョホールを行き来する往来が戻ってくることが不可欠である。

新型コロナウイルスの状況が悪い方向に戻らなければ、2年以上を経て、いつも通りの国境の活気が戻ってくることになる。

※2022年4月5日脱稿

プロフィール

川端 隆史 かわばたたかし

クロールアソシエイツ・シンガポール シニアバイスプレジデント

外交官×エコノミストの経験を活かし、現地・現場主義にこだわった情報発信が特徴。主な研究テーマは東南アジアや新興国を軸としたマクロ政治経済、財閥ビジネスのグローバル化、医療・ヘルスケア・ビューティー産業、スタートアップエコシステム、ソーシャルメディア事情、危機管理など。

1999年に東京外国語大学東南アジア課程を卒業後、外務省で在マレーシア日本国大使館や国際情報統括官組織等に勤務し、東南アジア情勢の分析を中心に外交実務を担当。2010年、SMBC日興証券に転じ、金融経済調査部ASEAN担当シニアエコノミストとして国内外の機関投資家、事業会社への情報提供に従事。2015年、ユーザベースグループのNewsPicks編集部に参画し、2016年からユーザベースのシンガポール拠点に出向、チーフアジアエコノミスト。2020年12月より現職。共著書に「東南アジア文化事典」(2019年、丸善出版)、「ポスト・マハティール時代のマレーシア-政治と経済はどうかわったか」(2018年、アジア経済研究所)、「東南アジアのイスラーム」(2012年、東京外国語大学出版会)、「マハティール政権下のマレーシア-イスラーム先進国を目指した22年」(2006年、アジア経済研究所)。東京外国語大学アジアアフリカ言語文化研究所共同研究員、同志社大学委嘱研究員を兼務。栃木県足利市出身。




この記事を書いた人

SingaLife編集部

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