ヘアドネーションで自分の髪の毛を寄付できる!主催者の非営利団体Project Haircatchersとドネーション体験者にインタビュー!
「ヘアドネーション」という言葉を聞いたことはありますか?髪の毛を寄付して、ウィッグにするということはご存じの方も多いかと思います。筆者はその程度の知識しかありませんでしたが、ここシンガポールでもヘアドネーションができることを最近知りました。
今回は、シンガポールでヘアドネーションを主催している学生団体と、日本人でヘアドネーションを体験された方にインタビューしました。どのような人に役立つのか、どのように寄付する形となるのか色々お話を聞きました。
ヘアドネーションとは?
自分の髪の毛をカットし、寄付するのがヘアドネーション。基本的に寄付した髪の毛は、ガン、白血病、先天性脱毛症、不慮の事故で髪を失ってしまった子どもために、医療用ウィッグとして使用されます。アメリカでヘアドネーションの活動が始まり、その後日本や他国でも同様の活動団体が増えていきました。
ここシンガポールでも活動している団体があり、その一つProject Haircatchersの主催者にお話を伺いました。
Project Haircatchersの主催者にインタビュー
――Project Haircatchers は南陽女子高校(Nanyang Girls’ High School) の生徒たちで発足したグループだと聞いています。この活動がどのようにして始まったのか教えてください。
地域社会に還元することを目的としたProject Haircatchersは、2017年に南洋女子高等学校の100周年記念のイベントとして、南洋女子高等学校の生徒たちによって行われました。
一年後の2018年にも同様のヘアドネーション活動が行われ、ウィッグ作りの資金を集めるために、学生や学校スタッフが気軽に寄付ができるよう食堂に寄付ブースを設置しました。さらに、学校のコンサートで販売したブーケの売上金も資金にあてました。
このイベント期間中、協力してもらったHair and Cosmetology Association Singapore (HACOS) は髪の毛の寄付者に無料のヘアカットを提供。その結果、ウィッグメーカーSingapura Hair Wigs Pte. Ltd.と乳がん財団のウィッグ貸与プログラムは、200人を超えるドナーの支援を受けて、2年間で78個のウィッグを製造し、必要とされる人々に提供することができました。
――ここ数年どういったイベントを行い、どのような団体にウィッグを寄付しましたか?
2020年から 2022年にかけてProject Haircatchersでは、初めての試みとして公的なヘアドネーションイベントを開催しました。その結果トータル136個のウィッグをBreast Cancer Foundation Singapore、FeM Surgery、Cancer Society of Maldivesなどに寄付することができ、シンガポールだけでなくBali Pink Ribbon にも提供することができました。
主に私たちは、資金を集めて髪の毛を集め、シンガポールの乳がん財団などに 毎年80個のウィッグを作ることを目的としています。余剰毛が見込めた場合に、海外の団体に寄付しています。
――ウィッグを作る際に人毛を使用する利点は何ですか?近年の人工毛も質がいいという話を聞いたことがありますが、違いはありますか?
人毛ウィッグの良さは、自然な見た目と感触だと思います。さらに、適切なお手入れをすることで、耐久性も向上しやすくなります。人毛ウィッグの保ちは1〜3年です。
一方、人工毛は使いやすさといった利点がありますが、どうしても汎用性に欠けてしまいます。人毛ウィッグと異なり、スタイリングも自在ではありません。
――ウィッグを作るには、かなりのお金がかかると聞きます。どのように資金を調達し、ウィッグを作っていますか?
ウィッグ1個の製作費は約180S$です。Project Haircatchersでは、Give.Asiaのオンライン寄付を通じて資金を調達しています。
――Project Haircatchers のヘアドネーションに興味のある読者がいる場合、どうすれば寄付できますか?
4月29日にオフラインイベントとして、OCBCスクエアでヘアドネーションドライブを実施します。 参加希望の場合は、このフォームに興味がある方はこちらのフォームに入力をお願いします。 サインアップの締め切りは3月31日まで。 サインアップ後、割り当てられた時間帯を私たちがメールで連絡します。 また、当日参加できない場合は、メールまたは Instagram @haircatchers のDMで、髪の寄付の仕方の詳細を確認してください。 |
今回は、SportCaresと協力して、Project Haircatchersがこのイベントを開催します。SportCareによるブースを設け、一般の方向けに無料で実施します。若者の参加により、がん患者に対する若い世代の意識が高まることを願っています。
このプロジェクトでは、資金を集めて髪の毛を集め、Breast Cancer Foundation Singaporeのために80個のウィッグを作ることを目的としています。余剰毛が回収された場合、その髪の毛は海外の受益者に寄付します。
――これからもProject Haircatchersの活動を続けていきますか?読者にメッセージをお願いします。
はい、私たちのチームは17人の学生で構成されていますが、これからもProject Haircatchersを続けていきます。興味のある方はぜひ今回のようなオフラインイベント、またSNSのDM、Emailにて問い合わせください。読者の皆さまが興味を持ってくださることを期待しています。
Project Haircatchersでヘアドネーションをした後藤先生にインタビュー
こちらの団体に寄付をされたという早稲田渋谷シンガポール校で勤務している後藤先生。どのように髪の毛の寄付をするに至ったのかお話を伺いました!
――どのようにしてProject Haircatchersを知りましたか?寄付しようと思ったきっかけは?
コロナのCB中に美容院に行けなかったことでいつもより髪が伸びて、「せっかくだからこのまま伸ばしてヘアドネーションをしようかな?」と思ったのが最初のきっかけです。
ヘアドネーションという取り組みは私が日本にいたときに先輩の先生がやっているのを見て知ったので、私もドネーションをすることで生徒に知ってもらえたらと思い、始めることにしました。
日本やアメリカの方がヘアドネーションを受け付けている団体は多いのですが、せっかくシンガポールに住んでいるのでシンガポールに貢献したいと思い、受け付けている団体を探していたところ、the straits timesのニュース記事でProject Haircatchersに辿り着きました。
――伸ばし始めて寄付するまでどのくらい時間がかかりましたか?
ドネーションをすると決めた時点では鎖骨下くらいまで長さがあり、そこから3年近くかけて伸ばしました。腰まであった髪を肩につかないくらいの長さまでバッサリ切って、改めて長さを測ると37cmありました。
Haircatchersでは9インチ以上(約23cm以上)と定められているのでもう少し短くてもよかったのですが、切ってから「長さが足りない!」とならないよう、余裕を持たせるために長い期間伸ばしていました。
――伸ばしている期間大変だったことは?
とにかく髪が絡まるのが大変でした 笑
洗うのも乾かすのも時間がかかりますし、シンガポールは暑いのでその点も苦労しました。我慢できずに途中で少し切ってしまったりもして、そのせいで伸ばす期間がより長くなったと思います。
――最後にカットする美容院は普段から通うところでしたか?美容院では、特別な説明が必要でしたか?
普段から通っているところです。ヘアドネーション用に伸ばしているときも前髪だけは美容院で切っていただいていたので、そこで切っていただきました。Haircatchersは当日イベントで切ることも含めてチャリティーにしているので、できるならそちらで切った方がいいと思いますが・・。
特別な説明はいりませんでした。ドネーションしたいですと言って、自分で持ち込んだ輪ゴムで髪を束ねて切って、束ごとにジップロックに入れて、あとは普通のカットと同じです。
――カットした髪をどのように団体に持ち込みましたか?
Haircatchersは、ドネーションを希望する人を集めて一斉に髪を切るという当日イベントを企画しているので、そこに参加するのが一番良いと思います。
私はどうしても予定が合わなかったので、Project Haircatchersに直接コンタクトを取り、切った髪を自分で持参する”drop off”をさせてもらいました。Project HaircatchersのInstagramのDMから連絡ができるので、当日参加できない人はそこから相談すると良いと思います。
Project Haircatchersと体験者にお話を伺って
ヘアドネーションがシンガポールでできると思っていなかったのもあり、どこか遠い話だった筆者。しかし知り合いの方がヘアドネーションした話を聞いて、シンガポールの学生たちが毎年目標を持ってイベント計画や資金集め、ヘアドネーション収集方法などを取り決めて仕切っていることに感動しました。
これを機会に、ガンで苦しでいる人に寄り添ったり、人に役立てるさまざまな形を知れる機会になればと思っています。
【詳細】
Project Haircatchers Eメール:projecthaircatchers@gmail.com |
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この記事を書いた人
Natalie
駐在4ヵ国目、2児の母。 日本で旅行情報誌の制作・編集を経て、在住国の海外邦人向け情報誌のライターへ。 お値打ちで美味しいもの、安く手に入る雑貨などを好むプチプラ・ラバー。激辛激甘に目がない。推しのKPOPを聴くこと、ドラマや映画を観ること、ゴミ拾いが趣味。