【大人の社会科見学】
シンガポールで楽しむイベントその311
-チャイニーズニューイヤー2025-

シンガポールは多民族国家でありながら、最大の人口を占めるのは中華系で、その割合は75%に達します。その中華系の人々にとって一年で最も重要で楽しみにしている行事が、チャイニーズニューイヤーです。
このお祝いは「春節」や「旧正月」とも呼ばれ、中国正月を指します。シンガポールだけでなく、中国本土、台湾、香港、そして華人が多く住む東南アジア各地でも盛大に祝われるため、地域全体が一大イベントのような賑わいを見せます。クリスマスが終わると、早くも新年を迎える準備が始まり、街全体が期待と興奮に包まれていきます。
2025年のチャイニーズニューイヤーは1月29日(水)から始まります。多くの企業ではその前日の大晦日「除夕」から休業に入り、この期間を家族で過ごすことが一般的です。特に新年初日から3日間は非常に重要とされ、家族とともに新年を祝いながら絆を深める時間が大切にされています。シンガポール全土がこの時期特有の明るく華やかな雰囲気に包まれ、人々は街のいたるところで春節ならではの風景を楽しむことができます。


中華系文化において、赤と金色は特に重要な色です。赤は幸福や繁栄を象徴する縁起の良い色として、衣服や飾り付けに多く取り入れられます。一方、金色は富や成功を表す色として尊ばれ、赤と金色の組み合わせが街中を彩るのがこの時期の特徴です。2025年は巳(蛇)年にあたるため、蛇をモチーフにした装飾も多く見られることでしょう。
縁起物として欠かせないのが柑橘類、特にマンダリンオレンジです。この果物は漢字で「桔」と書き、「吉」と同じ発音で縁起が良いとされます。また、葉がついているものは「長寿」を象徴すると考えられ、さらに喜ばれます。このため、春節前になると市場や店先には柑橘類がずらりと並び、人々は偶数個のマンダリンオレンジを贈り合いながら新年の幸福を祈ります。
春節のもう一つの重要な習慣が「紅包(アンパオ)」です。これは「福を分け与える」という意味が込められた赤い封筒にお金を入れて渡す風習で、日本のお年玉に似ています。ただし、主に既婚者から未婚者、上司から部下、あるいはお世話になった人へ渡すのが一般的で、その点が日本の習慣と異なります。紅包を渡す際には「新札」であることが重要で、銀行では春節前に新札への両替サービスが開始されます。オンライン予約システムを導入するなど、混雑を避けるための工夫も行われています。
この時期のシンガポールは、どこを訪れてもチャイニーズニューイヤーを祝う装飾で華やかな雰囲気に満ちています。特にチャイナタウンは、春節の中心地ともいえる賑わいを見せ、屋台が立ち並び毎日が縁日のような光景となります。夜になるとライトアップが施され、幻想的な美しさが街を包み込みます。また、マリーナベイエリアでは春節をテーマにした特別なライトショーが開催され、多くの観光客や地元の人々を魅了します。


シンガポールでのチャイニーズニューイヤーは、文化や伝統を感じながらその華やかさに触れられる特別な体験です。チャイナタウンの賑やかな雰囲気、街中に漂う縁起物の香り、そして夜のライトアップに包まれた幻想的な光景は、訪れる人々に忘れられない思い出を与えてくれることでしょう。新たな年の幕開けを、この活気溢れる祝祭の中で迎えてみてはいかがでしょうか。
◆大人の社会科見学 筆者
森山 正明 大人の社会科見学シンガポール版は、シンガポールで生活している方々へ、シンガポールの奥深さを知ってもらいたい思いで活動を始めました。「3カ月も住んでいればシンガポールは飽きてしまう」と巷では言われますが、なかなかどうして、この地ならではの楽しみは、尽きることはありません。 2013年11月からこのサークル活動を始めて約11年。行ったイベントは、200回を超え、その中から読者の方にもシンガポールの文化や習俗について年中行事を軸に紹介をして参ります。 ●大人の社会科見学の電子書籍版完成! 詳細はこちらから |
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
【大人の社会科見学 バックナンバー】
最新ニュースやプロモ情報をLINEとInstagram、メルマガでお届けしています!ぜひお友だち追加・フォローしてね!
この記事を書いた人
SingaLife編集部
シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!