【大人の社会科見学】
シンガポールで楽しむイベントその319
-シンガポールのシンボル「マーライオン」の知られざる物語-

「『シンガポール』といえば、まず何を連想されますか?」と質問すると、「マリーナベイ サンズ」と回答される方が多くなりましたが、やはり最も象徴的なのは「マーライオン」ではないでしょうか。そのマーライオンの由来について簡単に説明します。

シンガポールは700年前、「テマセク」(マレー語で「海の町」)という名前で知られていました。シンガポール歴史博物館でもこの史実が紹介されています。伝説によると、パレンバンの王子サン・ニラ・ウタマがこの島を目指して渡航した際、海が激しく荒れたため、王族の王冠を海に投げ入れたところ、海が静まり無事に到着できたといわれています。

その際、王子は不思議な生き物を見つけ、地元の人に「それはライオンである」と教えられました。そのため、この地はサンスクリット語のライオン(Singa)の町(Pura)という意味の「Singapura(シンガプラ)」と名付けられたのです。しかし、歴史上マレー半島にはライオンの生息は確認されておらず、王子が見たのは実際には虎だったという説が有力です。

シンガポール政府観光局が設置されるにあたり、国のシンボルを作る構想が立ち上がりました。シンガプラの由来であるライオンの頭部と、海に面した国を象徴する魚の胴体を組み合わせた「マーライオン」が誕生しました。1972年9月15日に故リー・クアンユー元首相によって除幕式が行われ、一般公開となりました。高さ8.6m、重さ70tという巨体が、シンガポール リバーの河口先端に置かれたのです。

当初、陸側からはマーライオンの正面を見ることができず、水を吐くポンプがたびたび故障するなど、「世界三大がっかり」と揶揄されるほど存在感に欠けていました。しかし2002年の移転に伴い、「マーライオンパーク」の整備や「マーライオンのプロジェクションマッピング」などで人気が回復。朝8時頃から夜中まで観光客が訪れる、シンガポール随一の観光スポットとなっています。実際、多くの観光客で賑わい、インスタ映えを意識した様々なポーズで写真を撮る人たちを多く見かけることができます。

一番多いポーズはやはり、マーライオンから吐き出される水を飲むシーンや手で受け取るポーズではないでしょうか。その撮影風景を見ているだけでも楽しい光景です。マーライオンはホテルになったり、プロジェクションマッピングで特別な姿を見せたり、いつでもシンガポールの話題となっています。

ここでマーライオンに関する裏話ですが、シンガポール政府観光局から正式に認められているマーライオンは、マリーナベイのものだけではありません。マウントフェーバーやシンガポール政府観光局の裏庭にあるマーライオンも公式として認められています。かつてはセントーサ島に高さ37mの巨大マーライオンが存在していましたが、取り壊されて現在は存在していません。以前は正式に認められていたのが5体だったのですが、現在は4体となっています。

また、公式なマーライオン以外にも、「野良マーライオン」と呼ばれる像が意外な場所に点在しています。正式なマーライオン以外を探す散策も面白い楽しみ方ではないでしょうか。さらにインターネット上でもさまざまなマーライオンデザインを発見することができます。

マーライオン探しは、在住者にとってトレジャーハンター気分で楽しめる活動であり、シンガポールのシンボルについての理解をさらに深めることにつながるでしょう。定期的に訪れて「いま私はシンガポールにいるんだ!」を実感するのはいかがでしょうか。

大人の社会科見学 筆者

森山 正明
大人の社会科見学シンガポール版は、シンガポールで生活している方々へ、シンガポールの奥深さを知ってもらいたい思いで活動を始めました。「3か月も住んでいればシンガポールは飽きてしまう」と巷では言われますが、なかなかどうして、この地ならではの楽しみは、尽きることはありません。

2013年11月からこのサークル活動を始めて約11年。行ったイベントは、200回を超え、その中から読者の方にもシンガポールの文化や習俗について年中行事を軸に紹介をして参ります。
 
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●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。


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この記事を書いた人

SingaLife編集部

シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!

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