【大人の社会科見学】
シンガポールで楽しむイベントその328
-シンガポールの“国民的ごちそう”フィッシュヘッドカレーの魅力-

シンガポールといえば、チキンライスやラクサ、バクテーなど多彩なローカルフードが有名ですが、実はもうひとつ外せない“名物料理”があります。それが「フィッシュヘッドカレー」です。
旅行者にも地元民にも愛され、今や“シンガポール料理の代表格”と呼ばれるほど。今回は、その奥深い魅力と歴史、食べ方のバリエーションについてご紹介します。
シンガポールは、まさに東洋と西洋が交わる場所。多民族国家として、中国系、マレー系、インド系、そして西洋の文化が絶妙に混ざり合い、多様な人々や文化、食材が行き交うことで、独特の食文化が花開いてきました。だからこそ、シンガポール料理はひとくちに説明できないほど多様で、各国の美味しさが絶妙にミックスされています。
さて、今回の主役「フィッシュヘッドカレー」は、そんなシンガポールの“融合文化”を象徴する料理の一つ。ルーツは20世紀初頭、南インドからの移民が多く暮らすリトルインディア周辺で生まれたと言われています。インドのスパイス文化と、中華系住民が好む魚の調理法が出合い、両者の“いいとこ取り”で誕生したのがフィッシュヘッドカレーです。
料理名の通り、“魚の頭”が主役。なかでもレッドスナッパー(鯛の一種)の大きな頭を豪快に使うのが伝統的なスタイルです。

まずは唐辛子、ターメリック、コリアンダー、シナモンなど数種類のスパイスをたっぷりと効かせたカレーペーストを作り、そこに玉ねぎやトマト、オクラなどの野菜を加えます。じっくり煮込むことでスープにとろみと旨味が生まれ、最後に新鮮な魚の頭を丸ごと加えてさらに煮込むと、見るからに豪快な一品に仕上がります。
実際のテーブルでは、ご飯やナン、ロティプラタ(インド風パン)などの主食と一緒に食べるのが一般的です。個人的には、ふっくら炊いた白ご飯にカレーをたっぷりかけ、魚のほろほろとした身や目の周りのゼラチン質を味わうのが最高の贅沢だと思います。
ちょっと大胆に、手やスプーンで魚の頭をほぐしてみるのもローカル流。ピリッとした辛さと魚のダシ、野菜の甘みが混ざり合い、一口ごとに“シンガポールの多様性”を感じられるはずです。

また、フィッシュヘッドカレーにはプラナカン(ニョニャ)料理バージョンも存在します。プラナカン料理とは、中国系移民とマレー文化が融合した伝統料理で、ココナッツミルクやタマリンド(酸味のある果実)を使った、まろやかで甘酸っぱい味が特徴です。プラナカン式フィッシュヘッドカレーは、一般的なインディアンカレーよりもコクが深く、食べ比べてみるのも面白いですよ。
フィッシュヘッドカレーの魅力は、その歴史やレシピだけでなく、シンガポール各地のレストランやホーカーセンター(屋台村)で味わえる“バリエーションの豊かさ”にもあります。有名なリトルインディアの老舗店から、ショッピングモールのカジュアルな食堂まで、どこでも気軽に楽しめます。
シンガポールでまだ未体験の方は、ぜひ一度はフィッシュヘッドカレーに挑戦してみてください。スパイスの香りと魚の旨味、そして異文化が融合したダイナミックな味わいは、きっとあなたのシンガポールライフの記憶に深く残るはずです。
◆大人の社会科見学 筆者
| 森山 正明 大人の社会科見学シンガポール版は、シンガポールで生活している方々へ、シンガポールの奥深さを知ってもらいたい思いで活動を始めました。「3か月も住んでいればシンガポールは飽きてしまう」と巷では言われますが、なかなかどうして、この地ならではの楽しみは、尽きることはありません。 2013年11月からこのサークル活動を始めて約11年。行ったイベントは、200回を超え、その中から読者の方にもシンガポールの文化や習俗について年中行事を軸に紹介をして参ります。 ●大人の社会科見学の電子書籍版完成! 詳細はこちらから |
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
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この記事を書いた人
SingaLife編集部
シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!



















