【ホテル・観光業界の事情】ステイケーションでどこまで赤字の穴埋めができるのか?
観光も大きな収入の柱となっているシンガポールにとって、大打撃を受けている観光産業は大問題。
2019年度のシンガポールの観光収益は277億ドル(日本円にして約2兆1385億)でしたが、コロナ禍で営業が3か月以上中断され、まだ国境がほぼ閉鎖されている現在、ホテル・観光業界は国民・国内在住者に頼るしかない状況。
しかし、今後ステイケーションでコロナ赤字の穴埋めがどのくらいできるのか?
「90%の予約は海外からなので、このままの状態ではホテル業界は非常に厳しい状況に追い込まれる」とシンガポール最大のホテルオペレーター、アコー・アジアパシフィックのCEOマイケル・イッセンバーグ氏。
シンガポールは、先週ようやく国内在住者向けのステイケーションのゴーサインが出たばかり。なかには、わざわざ近所のホテルに泊まるくらいなら、お金を貯めておいて海外旅行が解禁になるのを待つという意見も。
2019年4月の海外からのシンガポールへの来訪者は約160万人でしたが、今年の4月の来訪者数は、過去最低の750人で、5月は880人。
「短期的には、ステイケーション・娯楽施設・レストランのプロモーションで需要を確保できるが、長期的な問題解決策にはならない」とOCBC銀行のセレナ・リン氏。
GDP4%は観光収入
近年、シンガポールにとって金融・石油精製・船舶以外では、観光産業が重要な位置を占めてきており、観光セクター全体では6万5千人の雇用もあり、GDP全体の4%貢献しています。
「海外渡航が制限されている今、地元の人々にお金を使ってもらえるようにしてもらわないといけないし、人々もそうしたいと思っているはず」と観光局長は話している。
ラッフルズホテルの宿泊もお得に
8月の宿泊率が15%ほどの見込みであるラッフルズホテルは、2泊で約$795のプロモーションを打ち出しています。しかもシンガポールスリングと朝食が無料。市内観光やスパの割引もついているそうです。
割引や新しいコンセプトで集客を狙う
幾つかのツーリストスポットでは、料金の割引を行って集客を狙っており、マダムタッソー蝋人形館やUSSをマネージメントするセントーサ・デヴェロップメント・コーポレーションは、9月末まで料金の据え置きをすると発表しています。
また、タンジョンビーチクラブを経営するロー&ビホールド・グループは、洗練されたダイニングスタイルを求める人たちに向けて、Dine In Nature(自然の中でお食事)という、選び抜かれたグルメ・ピクニック・バスケットを提供する新しいコンセプトを打ち出しています。
完全な復活まで数年はかかる見込み
南洋理工大学のウォン・キン・イン氏は、「2022年までにシンガポールの観光産業の完全な回復の見込みはかなり厳しい。他国のコロナ感染症の波がどうなるか、ワクチンの開発がどうかにもよる」と話している。また、初期は国内需要で景気を盛り返すことができるが、ステイケーションだけに頼っていくにも限界があるとも話している。
夏休みも目前。海外渡航はしばらくお預けなので、この機会にお得なプロモを使って、シンガポールを違った角度から見てみるのも楽しいかもしれません。
シンガポールを応援することにもつながりますね。
それとも、あなたは海外渡航が許可されるまでお金を貯めておく派ですか?
この記事を書いた人
SingaLife編集部
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