英語のコツは超シンプル☆ リーゼントマネジャー直伝、英語がペラペラになる極意とは!?
シンガポール在住の日本人から聞こえてくるお悩みの一つが・・・・「仕事で英語を使うけど、実はちゃんと聞き取れていなかったり、ミーティングで適切な表現が出てこなくて焦る」、「夫の赴任で来星したが、日頃英語を話す場がなく、結局英語を話せない」「外資系に転職したいが、英語力に自信がなく踏み切れない」などなど。
来星前から培った確かな語学力を持っている人を除き、シンガポールに住んでいても英語で悩む人は少なくない。そこで今回は、コンプレックスだった英語を克服し、伝わる英語力を育む方法を確立した、リーゼントマネジャー、岡田兵吾(ひょうご)さんに「伝わる英語」の極意を聞いた。 波乱万丈でパワフルな人生を送る兵吾さんのこれまでの人生論やポジティブなメッセージも交えてお届けしよう。
兵吾さんは色々な活動をされていますが、本業は何でしたっけ(笑)?
おかげさまで様々な機会を頂いています(笑)。本業は、マイクロソフトのアジア統括であるシンガポール法人に勤務してまして、役職はライセンスコンプライアンス業務の本部長です。マイクロソフトの製品をご利用されるお客様やパートナー様とのコンプライアンスやリスク管理業務を行っています。例えば、お客様やパートナー様が事業を行うのに必要なライセンスを調達・管理されているか、適切なプライバシーやセキュリティ管理を行っているかなどのコンサルティング業務などを行います。現在、日本、オーストラリア、韓国、ニュージーランドなどアジア域内の業務責任者も兼ねています。日本だけを見る仕事ではないので、ダイバーシティがあり、とても刺激的ですね。
本業以外では、「リーゼントマネジャー」と名乗って、ビジネス書の執筆や、コワーキングスペース「One&Co」運営オンラインサロン「兵吾村塾」を主宰したり、情報経営イノベーション専門職大学(iU)で超客員教授をさせて頂いたりしています。
多彩ですね! 兵吾さんは、仕事柄英語を流暢に使いこなしていますが、英語コンプレックスはなかったんですか?
とんでもない!!!苦労の連続でした。大学は工学部だったし、全然話せなかったし。でも、私は学生の頃からグローバルな世界に憧れていて、国際ジャーナリストになることを夢見ていました。同志社大の工学部に入学後、アメフトの運動サークルに加えて、ESS(English Speaking Society:英語でディスカッション、スピーチなどを行う部活)に所属し、インド放浪した先輩の話に影響を受けて、大学1年の夏に中国に一人旅にでました。船で(笑)。
当時まだ格安航空券がなかったので、二泊三日かけて船で渡ったんですけど。途中台風になって死ぬほど揺れて本当に死ぬかと思いました。中国に着いたら着いたで、海外でほぼ日本人に会えない状態だったので、治安も悪いし心細くなって、上海外語大学に勝手に訪問したんです。今だと考えられないのですが、当時、日本人がまだ珍しかったので、大歓迎を受けました。2日間もタダで学生寮で滞在させてもらったんですよ。
中国人学生と交流した2日間のお陰で、海外での不安が一気になくなりました。それで、その後はモンゴルまで北上して、香港経由で日本に帰国しました。この旅で、イギリス人・ドイツ人・フランス人・バングラデシュ人などさまざまな国の外人たちと交流できて、世界観・人生観が一気に広がりました。これが刺激になって、英語力をもっと磨くことに目覚めたんです。
なるほど。私も同様の経験がありますが、そういう体験をすると、一気にテンションがあがりますよね☆
本当にそう!!帰国後、英語勉強への熱量が上がっていたので、京都の外国人観光案内のボランティアに応募したんです。でもまさかの、ボランティアの英語試験で不合格!そこで、奈良東大寺で人力車引きのアルバイトを始めました。なるべく外国人に声をかけて、英語を使うように練習したんです。
そんな中、大学で交換留学の案内を見つけました。英語が苦手だったので、応募最低点のギリギリの点数で応募したんですが、工学部には英語が出来る学生が少ないこともあり、アメリカの大学に10か月編入できることになりました。
工学部でしたが、国際ジャーナリストになりたいという気持ちが強く、国際関係学と宗教学のダブルメジャーに専攻を変えました。このせいで1年留年することになったので、親への後ろめたさから、人一倍成果を上げてやろうと決意しました。その一環としてボランティア活動を凄く頑張りましたね。
ボランティアでは、古い中古家をリノベーションして障がい者の方が住めるようにしたり、炊き出しの活動などを毎週行っていました。この活動で、話すことが少し不自由な障がい者の方と交流することが多くなったのですが、英語が苦手な私と話すことが上手でない彼らでも、気持ちが凄くつながり合って、温かい気持ちになったんですね。そこで、英語は“想いさえあれば伝わる”言語であることを実感しました。
それまで私は上手く話せないと言い訳ばかりして、英語を話すことを躊躇していましたが、この経験以降は、自分が感じるまま・思うままに英語を話して、多くの人との出会いを楽しむようにしました。実際、英語は最低限の語順、発音が下手でもはっきりというようにすると伝わる言語なので、思っていた以上に英語での交流ができるようになりました。
在学中一番印象的だったのは、アメリカ公民権運動の母と呼ばれたローザ・パークス女史の40年ぶりの集会に参加できたことです。大学も出てない小柄で普通の女性であった彼女が、黒人差別がひどかった時代に、公共バスで白人に席を譲らなかったことで投獄された事件から、キング牧師やマルコムXと言ったリーダーたちが立ち上がり、公民権運動が広がりました。
集会では、ローザ・パークス女史が現れた瞬間、静寂に包まれ、皆真剣に彼女の声に耳を傾け、黒人霊歌を歌ったときには私よりも大柄な黒人たちが涙していました。こんな小柄な普通の女性が、40年たっても多くの人の心を動かす様子を見て、「One person can change the world」(たった一人でも世界は変えられる)を痛感しました。
私も、自分自身に力がなくとも、強い想いさえあれば多くの人をまき込んで世界を変えることができると、人生目標である「ソーシャル・チェンジ」(社会変革)を決意しました。
興味深い! それで一気にグローバルな世界に進んだのですね。
ところが、そう甘くなくて・・・国際ジャーナリストへなるための全てを経験して就活に挑んだのですが、すべて全敗。ジャーナリストへの道は途絶えて途方にくれました。
国連や外務省を目指そうかなど色々考えた末、最終的に外資系コンサルティング会社アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社し、「企業のお医者さま」と言われるコンサルタントとして、人生目標である「ソーシャル・チェンジ」を実現しようと気持ちを入れ替えたんですね。
幸いにも、初めての部下が日本人とイタリア人・アルゼンチン人、2度のアメリカ駐在にも恵まれ、「グローバルプロジェクトといえば岡田だ」と言われるようになりました。大好きな海外に関わる仕事でとてもやりがいを感じていました。しかし海外に移住して、外国人たちともっと関わりたいという思いから、16年前にシンガポールのマイクロソフトに転職しました。
ここで本題を伺います。自信がなかった英語を話せるようになったのは、飛び込んでいく勇気や経験があってのことだと思うんです。でも、そういうタイプじゃない人もいるし、状況的にも海外と積極的に行き来するのも難しい。日常生活の中で出来る努力やマインド設定などはありますか?
Good questionですね。私もそうでしたが、シンガポールに来た16年前、英語が聞き取れない、分からないから、議論についていけなかった。上司からも「発言しないなら会議に出るな」と実質クビ宣告。その後も何度も英語ができず、「地蔵」のように無言状態。外国人たちの会話にとにかく入れず、「海外でのグローバル環境での仕事は、英語ができない日本人がやるものではない」とも思い、何度もへこみ日本への帰国も考えました。
しかしマインドセットを変えたんです。本気で戦う前からあきらめていたところがあるので、なら人一倍努力してやろう。と思い直し、シンガポールで色々な外国人たちと出会える環境を活かして、苦手な英語をどんどん使って、とにかくサバイブすることを考えました。そんななか、私以外の「非ネイティブの英語コミュニケーション」に注力し、彼らの英語や振舞いを徹底的に研究し、これがとても参考になりました。
「非ネイティブ英語」が参考になった?
まわりを見渡すと、中国・韓国、タイ・ベトナム人など、英語が母国語でもない非ネイティブの人の中にも、グローバル企業でそれなりのリーダー的な役職をこなしている、「できる非ネイティブ」が多く、彼ら彼女らを研究したんですよ。で、分かったのが、ビジネス英語にはルールがあること。簡単で伝わりやすい、ポジティブな表現を多用し、あとは相手をおもんばかって丁寧な言い方で、「信頼」と「尊敬」を勝ち取りながらコミュニケーションを進めていました。
考えたら英語人口の8割が非ネイティブなので、言ってしまえば彼らの英語が世界標準なんですよね。きれいな英語の発音ではなく、要は、「High Contents, Simple, Short and Slow」(高いレベルの内容を語りながらも、簡単な言葉で、短文で、ゆっくりと話す)ことです。そこに尊敬の気持ちを入れる。
その為には、発言の前にまず自分が言いたいことを固めるべきでしょうね。言いたいことが明確なら、それを「簡単な言葉で、短文で、ゆっくりと話す」ようにすれば良いんです。
最近、英語の新刊も出されましたよね?
はい、昨年12月24日に4冊目の新刊「残念なビジネス英語」(アルク)を出版しました。日本で習った英語は、自分はそのつもりがなくても外国人をカチンとさせる「残念な英語」が混在しているのです。
なので、今回は初の音声ファイル付きで、何が「残念」かを知り、考える→学ぶ→トレーニング で、「本当に使えるビジネス英語」、間違いない 「ビジネス英語」 がバッチリ身につくように、今の英語力で少し工夫して、ビジネス英語を効果的・効率的に進める、「サバイバル英語」の極意をすべて詰め込んでみました。英語を向上させたいと思っている方にとって実用的な内容になっています。
最後に、2020年はなかなか厳しい一年でしたが、振り返ってみて如何でしょう?
コロナで始まり、コロナで終わる一年になりましたね。仕事で言えば、リモート化についていけなかったり、色々不安になっている方も多いと思います。でも、私はリモートだから出来ることもあると思っているし、シンガポール政府も「コロナ前には戻れない」と明言しているように、ニューノーマルな働き方が長期に続くと思われているので、いつかコロナ前に戻ったらという考えよりも、ニューノーマルの中で新たに仕事の在り方を構築していくことに注力する方が大事だと思います。
私も出張は減ったけど、モノ・カネの動きは国を超えて活発なので、グローバルビジネスは加速していると言えます。グローバルビジネスが広がる中、人の往来がなくとも、成果を効率的に出すことがニューノーマルの評価基準となるのです。
ヒトの動きに制限がありながらグローバルが加速する、こんな時代だからこそ、外国人と働く上で知っておかないといけない「異文化間の相違」と「グローバルの常識」や、「GrowthMindset(成長思考)」に基づくグローバルの仕事術、オンライン会議やメールで効果的につたわるビジネス英語を身に付けることが大切だと思います。既存概念を捨てて、成長思考でコロナ禍を前向きにチャンスに変えるように万進していきたいですね。
STAY GOLD!
2、新刊『残念なビジネス英語』紹介記事も公開中
アクセンチュア、デロイトコンサルティング、マイクロソフトにて、日本・アメリカ・シンガポールを拠点に活躍。マイクロソフトではアジア太平洋地区本部長を務める。「組織文化変革リード」、「CSR&ダイバシティ推進リード」も兼任。アジア全域の働き方改革をはじめとした活躍
が認められ、数々の社内アワードを受賞する。世界トップレベルのIEビジネススクール・エグゼクティブMBA取得。米国PMI認定PMP。情報経営イノベーション専門職大学(iU)超客員教授。 「リーゼントマネジャー」と名乗り、テレビ・ラジオ・雑誌等メディア出演多数。シンガポールにあるコワーキングスペース「One&Co」が運営するオンラインサロン「兵吾村塾」主宰。
2020年12月24日発売の新著『残念なビジネス英語』(アルク)は発売後、Amazonランキング「ビジネス英会話」部門ベストセラー「1位」を獲得。2020年7月発売『武器になるグローバル力 外国人と働くときに知っておくべき51の指針』(KADOKAWA)はAmazon「海外進出」部門でベストセラー1位を獲得。『ビジネス現場で即効で使える 非ネイティブエリート最強英語フレーズ550』(ダイヤモンド社)は、Amazon「ビジネス英語一般」カテゴリーで9か月連続ベストセラー1位を獲得。人生目標は「ソーシャル・チェンジ」(社会変革)、座右の銘は「STAY GOLD!」
Twitter:@phoenix_hugo
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この記事を書いた人
SingaLife編集部
シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!