シンガポールの鉄道、車椅子や高齢者優先車両の試験導入を延期。新型コロナの在宅勤務拡大で鉄道利用者減が遠因

シンガポール陸上交通庁(LTA)が検討していた高齢者・車椅子利用者・妊婦向けMRT優先車両の試験導入が、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、保留になったことが地元英字紙ストレーツ・タイムズの取材で明らかになりました。

LTAは2019年、乗車マナー向上とよりインクルーシブ(包摂的)な交通システム構築に向けた国の取り組みの一環として、優先車両の試験導入を提案。

2020年に南北線の駅のエレベーター付近に止まる車両を対象に、高齢者や妊婦の優先乗降車、車いすスペースの確保、座席の譲り合いを乗客に促す掲示を増やす計画でした。

ただ、新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務や時差出勤が広がるなか、2020年のMRT・LRTの乗客数は、前年比59%となる1日あたり216万2000人に減少。朝・夕のピーク時の混雑も緩和されました。

交通政策を担う政府関係者らは、優先車両の導入延期について、「理解できる」としつつも、「インクルーシブな交通システムの確立は、引き続き優先事項であるべきだ」との認識を示しています。

なお、LTAは、優先車両の導入に先がけ、乗客サービスセンターや事務所において、心臓病など、外見上、症状がわかりにくい疾患を有する人や義手・義足の利用者、妊娠初期の妊婦などの乗客を対象に、「席を譲っていただけませんか?(“May I have a seat please”)」と記されたネックストラップ付きカードも配布しています。

新型コロナウイルスの感染拡大収束とともに、優先車両の普及が待ち望まれます。


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SingaLife編集部

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